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北朝鮮、「極超音速」否定した韓国軍に見せつけるかのようにマッハ10ミサイル発射

登録:2022-01-12 05:51 修正:2022-01-12 07:01
米日両国の外務・防衛相は7日午前、オンラインで安全保障協議委員会(2プラス+2会議)を開催した。左から日本の林芳正外相、岸信夫防衛相、米国のトニー・ブリンケン国務長官、ロイド・オースティン国防相(下)/ AP・聯合ニュース

 北朝鮮が11日に発射した弾道ミサイルの最大速度がマッハ10を超え、韓国軍当局が5日に発射されたミサイルと比べて進展したと評価し、北朝鮮の極超音速ミサイルの開発が予想より速く進んでいるという指摘が出ている。北朝鮮は昨年9月と今月5日、極超音速ミサイルを発射したと主張したが、軍はその可能性を否定している。しかし、北朝鮮が国防部の主張に反論するかのように、6日間で速度を2倍近く上げたうえ、軍が把握したマッハ10の速度が上昇段階なのか、それとも滑空段階なのか明らかにしていないため、軍当局の判断に対する疑問の声が高まっている。

 極超音速ミサイルはロケット推進体の力で高く打ち上げられ、大気圏を離れた後、再び大気圏に入って進行方向を変えて、約30~70キロメートルの高度でマッハ5以上の極超音速で滑るように滑空する。単純な放物線軌道の弾道ミサイルに比べ、レーダー探知と方向予測が難しい飛行軌跡を見せるため、現在のミサイル防衛(MD)システムで迎撃することは非常に困難だ。戦場の構図を変える「ゲームチェンジャー」と呼ばれるのもそのためだ。

 さらに、北朝鮮の極超音速ミサイルの開発は当初の周辺国の予想よりも速い。北朝鮮は昨年1月、労働党第8回大会事業総和報告で「新型弾道ロケットに適用する極超音速滑空飛行戦闘部をはじめとする各種戦闘的使命の弾頭開発研究を終え、試作に入るための準備をしている」と明らかにした。米国、ロシア、中国が極超音速ミサイルを実戦配備水準まで開発するのに10~20年ほどかかったことから、厳しい北朝鮮経済の状況を考えると、北朝鮮が極超音速ミサイルを開発するのに相当な時間がかかるというのが大方の予想だった。しかし、北朝鮮は公式開発宣言から1年で極超音速滑空体などを3回発射し、射程や速度など極超音速ミサイル能力を段階的に高めている。

 また、米国と中国の戦略競争の中で、北朝鮮の極超音速ミサイル開発の動きが加わり、北東アジアの軍拡競争が過熱すれば、地域の平和が脅かされるという懸念の声もあがっている。現在、北東アジアは極超音速ミサイル開発の角逐の場となっている。ロシアは2020年12月、軌道変則飛行が可能な極超音速ミサイル「アバンガルド」を実戦配備した。中国は昨年11月、極超音速ミサイル「東風17」を数多く実戦配備したと発表した。韓国国防部も2020年12月に極超音速誘導弾を開発するという意志を明らかにし、2030年代の実戦配備を目標に国防科学研究所が極超音速巡航ミサイルの開発を進めている。米国と日本も極超音速ミサイルを開発している。

 米国と日本は今月7日、外務・防衛の閣僚会議(2プラス2)で北朝鮮、中国、ロシアを取り上げ、極超音速ミサイルに対応するための防衛装備を共同研究・開発する協定に署名した。北朝鮮はミサイル発射が周辺情勢とは関係のない国防力強化の一環だと主張しているが、米国や日本などは北朝鮮の脅威を理由に極超音速兵器の軍拡競争を合理化している。これについて北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授はフェイスブックに「平和を作る兵器はない。南北ともそれを忘れている」という書き込みを残した。平和を作る極超音速兵器はないのに、北東アジア諸国がそれを忘れていると指摘したのだ。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1026926.html韓国語原文入力:2022-01-12 02:02
訳H.J

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