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世界的な「エネルギー危機」、韓国経済も襲う

登録:2021-10-05 05:58 修正:2021-10-05 07:44
今月2日(現地時間)、英ロンドンにあるガソリンスタンドに「ガソリンなし」と書かれた表示板が立っている=ロンドン/AFP・聯合ニュース

 欧州とアジアを同時に襲った世界的なエネルギー価格の上昇が、コロナ禍を乗り越えようとする世界経済に影を落としている。今回のエネルギー危機の原因が「気候変動」に対応するため全世界が先を争って出したエコ・脱炭素政策にあるとし、「グリーンフレーション」(環境を考慮した政策による物価上昇)を指摘する声が上がっており、欧州では当初の計画から一部後退しようとする動きも現れている。しかし今回の危機の原因は「各国の政治的力関係」にあり、より積極的なエコフレンドリー措置が必要だという反論も少なくない。

 最近急騰している欧州の天然ガス価格は1日、1メガワット時(MWh)当たり93.63ユーロを記録した。前日に比べやや下落したものの、前年同期に比べて6~7倍も値上がりした。この影響で9月に入り、英国ではガスや電力小売業者が相次いで倒産し、肥料などエネルギー消費が多い工場の操業が中止された。家庭用電気料金も7~8月から急騰し、フランス政府が9月に580万世帯に100ユーロの補助金を支給すると発表するなど、各国が対応策作りに頭を悩ませている。フィナンシャル・タイムズや日本経済新聞など外信は「各国が脱炭素政策を推進し、発電所用燃料を温暖化ガス排出が少ない天然ガスに変えた」影響が大きいと分析している。このような中、ロシアが欧州への天然ガス供給の拡大を求める国際エネルギー機関(IEA)などの要求に応じておらず、価格高騰の勢いは依然続いている。

 「世界の工場」を掲げてきた中国でも先月下旬、江蘇省など一部地域で電気供給が中断され、工場の稼動が止まった。中国の習近平国家主席が激しい戦略競争を繰り広げている米国を意識し、昨年9月の国連総会で2060年まで「炭素中立」を達成すると発表したからだ。その後、国が定めた炭素排出目標に従い、地方政府がエネルギー消費規制を強化した上、発電用石炭供給に支障が生じ、中国国内の電力需給に穴が開いてしまった。このため、米国のアップルやテスラなどに部品を供給する台湾企業の操業が中断し、「グローバルサプライチェーン」(供給網)への悪影響を懸念する声があがっている。李克強首相は先月30日、中国に「生産供給網の安定のためにエネルギーと電力供給を保障する」と鎮火に乗り出した。中国国家統計局の統計によると、今年1~8月の電力消費量は前年より14%増えたが、石炭生産は4%増にとどまった。輸入で不足分を埋めなければならないが、主要石炭輸出国であるオーストラリアとの関係が悪化し、解決策作りが容易ではない。

 全世界がエネルギー需給不安に苦しみ、「グリーンフレーション」を指摘する声が出ると欧州では関連論争が本格的に繰り広げられている。欧州議会は交通手段と暖房にまで炭素税を課す今年7月の計画の撤回を求める折衷案を示した。

 今回の事態は、エネルギー輸入の割合が大きい韓国経済にも相当な負担になるものと見られる。産業通商資源部の原材料価格情報によると、1日現在、電力用燃料弾は前年に比べ125.5%(1トン当たり206.3ドル)、液化天然ガスの韓国輸入価格は68.4%(1トン当たり534.6ドル)値上がりした。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「韓国は資源が不足している上、 重化学工業中心の構造なので原資材依存度と中国に対する貿易依存度が高く、他の国よりも深刻な打撃を受ける可能性がある」と懸念した。

シン・ギソプ、ハン・グァンドク先任記者、チェ・ヒョンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/1013837.html韓国語原文入力:2021-10-04 21:48
訳H.J

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