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食堂の床にシートを敷いて休憩…食事の場所が「きつい労働」

登録:2021-04-28 09:07 修正:2021-04-28 12:13
ヤン・ムンジョンさんがソウル冠岳区のソウル大学の学生食堂で配膳の準備をしている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル大学の生協食堂で調理補助員として7年間働いているヤン・ムンジョンさん(50)は、しょっちゅう病院に行く。「一日に数十回も重い食器や食材を運ぶので筋肉痛はいつものこと。同僚の中には自費で痛みを和らげるステロイド注射を受ける人もいます」

 ヤンさんは食材の下ごしらえ、配膳、食器洗浄を担当する。組を分けて午前6時30分、午前10時、午前10時30分、午前11時にそれぞれ出勤する。新型コロナが発生する前は1日10時間ほど働いたが、最近は学生が減り、時間外勤務がない。午後12時の昼食時間が一番忙しい時間なので、調理員と調理補助員たちは午前11時にあらかじめ昼食を取る。その後、食事の準備から皿洗いまで休まず働くと、毎日精魂が尽き果てる。食器洗浄を終えた後、30分ほど汗を拭いて休むのが唯一の休息だ。

配膳をしているヤン・ムンジョンさん=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 2019年までヤンさんと同僚たちは最低賃金程度の給料で働いた。けがをしたり具合が悪くても、安心して休めなかった。夏、火を使う調理器の前で働き終えて全身が汗でびっしょりになると、男性職員の休憩室の隣でカーテンを引いてシャワーをした。休憩所は食堂の片隅にある1坪あまりのスペースだけなので、食堂の床にレジャーシートを敷いて休んだりもした。

 「学生たちにおいしい食事を提供しているという思いからやりがいを持って働いているが、まるで透明人間であるかのように扱われるのが悔しかった。私たちがここで働いているということを示したかったんです」

 ヤンさんと同僚たちは2019年、学校本部前で集会を開き、待遇改善を要求し、全面ストに突入した。学生たちが支持してくれた。そして学校は賃上げと休憩スペースを作るという約束を守った。

配膳をするヤン・ムンジョンさんの前を学生たちが通り過ぎている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、いまだに食堂の調理補助員は厳しい労働環境に置かれている。待遇はやや改善したものの、労働の強度が高いことから、2019年以降、この食堂だけで60人あまりの労働者が筋骨格系の異常などを理由に退職した。民主労総全国大学労組ソウル大学支部のイ・チャンス副支部長は、「仕事がきついという噂が広がり、ソウル大学周辺の住民は学校食堂での仕事を避ける」と話している。誰かの食事を提供する場所の、劣悪な労働環境が肉体の病として積み重なっている。

パク・ジョンシク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/992908.html韓国語原文入力:2021-04-28 07:10
訳C.M

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