ミャンマーの治安部隊が今月8日(現地時間)夜、クーデターに反対するデモ隊を迫撃砲まで撃って鎮圧したという。現地メディアや人権団体を引用した外国メディアの報道によると、8日夜から翌日未明にかけて、首都ヤンゴン近くのバゴー地域で、治安部隊がデモ隊を攻撃し、82人が命を失ったという。当時、治安部隊が迫撃砲や擲弾発射機など殺傷力の高い重火器をデモ隊に無差別に発射したという証言が出た。重火器は軍隊が戦闘状況で小銃よりも強力な火力で敵を制圧するために使う武器だ。このような兵器をデモ隊に向けたという証言だけでも衝撃的だ。
デモ隊は当時、治安部隊が動く対象は有無を言わさず発砲したと主張した。治安部隊が重火器を直接使うシーンは公開されなかったが、市民らはソーシャルメディア(SNS)に重火器による攻撃を受け崩壊したというバリケードや不発砲弾の写真などを証拠として掲載した。この主張が正しければ、ミャンマー軍部は非武装の市民を相手に“戦争”を繰り広げていることになる。
ミャンマー軍部は集団虐殺疑惑を否定したが、市民の命を軽んじる暴言を吐いた。ミャンマー軍事政権の報道官は9日の記者会見で「治安部隊がデモ鎮圧過程で自動火器を使用したことはない」とし、「軍部が本当に市民を殺すつもりなら、1時間以内に500人も殺すことができる」と述べた。軍部が「最大限控えている」ことを強調するためかもしれないが、「その気になれば、いくらでも市民を殺すことができる」という本音をのぞかせたわけだ。罪のない市民を殺すことを軽く考え、民主化デモを脅かすミャンマー軍部の態度に驚愕を禁じえない。
これは1980年の5・18民主化運動当時、戒厳軍によるヘリコプターからの射撃を最後まで認めなかった全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領を連想させる。当時、戒厳軍がヘリコプターから射撃を行ったなら、軍が国民を敵と見なしたことにほかならず、全氏らが主張してきた自衛権発動の論理は崩れる。チョン氏は回顧録で、ヘリコプターからの射撃を否定し、昨年11月、一審で有罪判決を受けた。ミャンマー軍部は、手のひらでは空を隠せないことを認識しなければならない。
最近、市民が鎮圧軍人を攻撃し、少数民族武装団体が警察署を襲撃するなど、ミャンマー事態は悪化の一途を辿っている。ミャンマーの人権団体の集計によると、今年2月のクーデターから今月10日までに618人が死亡したという。国際社会は外交的な圧力や経済制裁だけでなく、より強く直接的な行動に出なければならない。