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福島第一原発の事故から10経ったが…除染特別地域の85%がまだ汚染状態

登録:2021-03-05 06:42 修正:2021-08-26 07:58
2011年3月11日、爆発事故が発生した日本福島第一原発一帯=グリーンピース提供//ハンギョレ新聞社

 日本政府が福島第一原発事故による放射性物質の汚染を除去したと発表した地域の85%で、依然として除染作業が行われていないという国際環境団体の分析が出た。

 グリーンピースは福島原第一発事故発生10周年を控え、4日に発表した報告書「2011~2021福島放射性汚染の現実」でこのように明らかにし、日本政府に科学的基盤を無視した被害地域住民の帰還政策の中止を求めた。

 同団体は2011年3月の福島第一原発事故発生から2週間後、現地に放射線専門家チームを送ったことを皮切りに、昨年11月まで計32回にわたって福島現地で災害による放射線の影響を調査してきた。今回発表した報告書は、これまでの調査結果をまとめたものだ。

 日本政府は事故原発に隣接し、特に汚染度が高い帰還困難地域を除いた除染特別地域域は除染作業がほとんど完了したと発表した。延べ3000万人が動員された同作業には、2019年3月まで280億ドルが投入された。

 しかし、グリーンピースが日本政府のデータを分析した結果、840平方キロメートルにわたる除染特別地域のうち、実際に除染作業が完了した面積はわずか15%の120平方平方キロメートルだった。特に行政区域全体が除染特別地域に含まれた7つの地域のうち、最も面積の広い飯舘村では全体の79%である1万8183ヘクタールが除染されておらず、二番目に広い浪江村で少しでも除染されたところは10%の2140ヘクタールにすぎないことが分かった。両地域では2017年3月に住民に対する避難命令が解除されたが、放射性準位が人間が居住するには依然として危険な水準だというのが、グリーンピースの説明だ。

 グリーンピースが昨年11月に調査した結果によると、飯舘村のある住宅では敷地周辺の11の区域のうち、5カ所で放射線量が政府目標値(0.23μSvh)を超え、平均線量が0.5μSvhにも上った。浪江村のある学校のすぐ近くの地域では、測定地点の93%が政府の線量目標値を超過したにもかかわらず、一般人の出入りが認められていることが分かった。

 同報告書は「福島の除染特別地域内にある7つの行政区域の汚染面積のうち85%で除染作業が進んでいないのは山林地域であるため」とし、「この地域は除染が不可能で、今後も福島を再汚染させる長期汚染源になるだろう」と指摘した。同報告書を作成したグリーンピースのショーン・バニー首席原子力専門家は「日本政府は福島の住民保護のため、科学基盤の分析を無視する帰還政策と除染プログラムを直ちに中止しなければならない」と述べた。

 グリーンピースは同日、一緒に発表した「福島第一原発廃炉技術の分析報告書」で、日本政府に高レベル放射性物質汚染水を増加させる現在の廃炉計画の代わりに、溶融した燃料冷却方式を水から空気に変え、原発周辺に海水と地下水の流入を防ぐ堀を設置して、汚染水を減らすことを代案として提示した。

 グリーンピースの気候変動エネルギー・キャンペーナー、チャン・マリ氏は「福島原発事故がもたらした放射性汚染被害は1世紀年以上にわたり解決されない人類の重荷」だとしたうえで、「日本政府は差し迫った汚染水の海洋放出を直ちに撤回しなければならない」と述べた。

キム・ジョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/society/environment/985397.html韓国語原文入力:2021-03-0414:25
訳H.J

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