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韓国政府、国連演説で「北朝鮮の人権に対する懸念が人道的関心を妨げてはならない」

登録:2021-02-26 06:53 修正:2021-02-26 09:42
チェ・ジョンムン外交部第2次官が今月23日(現地時間)、第46回国連人権理事会ハイレベル会合での基調演説を事前収録した映像の一場面=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は「北朝鮮の人権状況に対し、深い関心と懸念」を伝えながらも、「人権状況をめぐる懸念が、北朝鮮の人道的状況に対する関心を妨げてはならない」と明らかにした。

 チェ・ジョンムン外交部第2次官は23日(現地時間)、スイス・ジュネーブの本部で開かれた第46回国連人権理事会ハイレベル会合での基調演説で、そのように述べた。彼は「人権の向上と保護は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の最優先課題のうちの一つだった」とし、「私たちは国際社会と協力し、北朝鮮の住民の人権を実質的に向上するために努力してきた」と前置きした。各国が事前録画したビデオを回していく形式で進められた今回のハイレベル会合でチェ次官は、「韓国政府は、1000万人を超える北朝鮮の人々が栄養欠乏状態にあると推定する国連の報告に、懸念を表明する」とし、「このような人道的状況は、経済制裁やCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)および自然災害を含む要因が結合し、より悪化することがあり得る」と述べた。それとともに「国連人権メカニズムや人道支援団体などとの持続的で緊密な協力」を約束した。外交部はこの日、報道資料を出し、チェ次官が「最も急がれる人道的・人権問題のうちの一つである離散家族問題の解決のための私たちの持続的な要請に、北朝鮮が応じてくれるよう願う」と言及したとも伝えた

 チェ次官はまた、紛争関連の性暴力問題の解決の至急性を挙げ、「現在と未来の世代は、第二次世界大戦のいわゆる『慰安婦』の犠牲者の苦しい経験から貴重な教訓を学ばなければならない。『慰安婦』の悲劇は普遍的な人権問題として扱われなければならず、紛争におけるこのような重大な人権侵害の再発を防止しなければならない」と強調した。

 チェ次官はこれ以外にも、新型コロナウイルス感染症による経済・社会的不平等および憎悪、差別問題の悪化を指摘し、新型コロナウイルスのワクチンと治療薬に対する公平なアプローチを支持する一方、文大統領の提案により昨年12月に発足した「北東アジア防疫協力体構想」に対する関連国の参加を希望した。また、最近のミャンマー情勢に対する深い懸念も表明した。

 様々なテーマを扱ったが、韓国政府の人権理事会ハイレベル会合の基調演説での関心は、常に「慰安婦」被害者問題と北朝鮮の人権問題関連への言及に置かれた。政権や情勢により、二つの問題をめぐる基調が異なって現れたためだ。2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪を契機に朝鮮半島の平和が話題になった2018年や、朝米非核化・平和構築交渉が稼働した2019年には、進展する情勢が北朝鮮の人権状況の改善につながることを願う雰囲気の強さが言及された。一方、韓国政府の対北朝鮮制裁と圧迫政策が最高潮に達した2017年には、北朝鮮の人権状況を人道に対する犯罪に規定し、国際刑事裁判所(ICC)に回付することを促した。韓国政府が国連人権理事会ハイレベル会合のたびに欠かさず提起した「慰安婦」被害者問題も、2015年の韓日政府間の「慰安婦」被害者合意後の2016年と2017年の演説では言及されず、議論になったことがある。

 一方、今回のハイレベル会合にチョン・ウィヨン外交部長官が参加しなかったことに対し、一部からは「北朝鮮の顔色をみている」のではないかなどの批判も提起された。しかし、外交部は「人権理事会ハイレベル会合は必ずしも長官が参加するものではなく、状況に応じ、首脳級、長官・次官級、室長級などの参加が可能だ」とし、そのような解釈に一線を引いた。9日に就任したチョン長官の「多忙なスケジュールなどの諸般の事項を総合的に考慮」し、チェ次官が参加したという説明だ。

 これまでだと、カン・ギョンファ前長官は、2018年から2020年まで毎年、国連人権理事会ハイレベル会合に参加した。その前任のユン・ビョンセ元長官は、任期中に3回は本人が、残りは外交部第2次官と外交部多国間外交調整官が1回ずつ参加した。外交部の説明の通り、常に長官が参加したわけではないが、国連人権理事会ハイレベル会合には主要国の外相などの高官が参加し、二国間会談の場として活用されたことも事実だ。ビデオで進行される今回のハイレベル会合で、中国の王毅外交担当国務委員兼外交部長は22日(現地時間)に演説し、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は24日に演説する予定だ。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/984227.html韓国語原文入力:2021-02-24 09:13
訳M.S

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