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米国の元高官ら「対北朝鮮ビラ禁止法、バイデン政権で大きな摩擦要因にはならない」

登録:2020-12-23 09:30 修正:2020-12-23 11:18
今年5月31日、北朝鮮向けてビラを散布する脱北者団体=自由北朝鮮運動連合提供//ハンギョレ新聞社

 朝鮮半島問題を長く扱ってきた米国の元高官らは、いわゆる「対北朝鮮ビラ禁止法」と呼ばれる南北関係の発展に関する法律に関連して、米国のジョー・バイデン新任政権が文在寅(ムン・ジェイン)政権と摩擦を起こす可能性は低いと予想した。これまで米国社会の一部では同法が「表現の自由」を侵害する一方、北朝鮮人権改善活動を阻害し、バイデン政権発足後、韓米同盟に悪影響を与えると警告してきた。

 クリントン政権時代、北朝鮮核問題の解決に向けた6カ国協議の米国首席代表を務めたクリストファー・ヒル元国務次官補(東アジア太平洋担当)は21日、「対北朝鮮ビラ禁止法」をめぐる論争と関連し、「(バイデン政権と)主な摩擦の素地にはならないと思う」と述べたと、「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)が報じた。彼は「バイデン政権は北朝鮮政策を立案するためにはやるべきことが多く、現実的な計画を立てなければならない」と述べた。 ヒル次官補は「(韓国国会での対北朝鮮ビラ禁止法の成立は)バイデン政権発足前に起きたこと」である上、「(バイデン側が)韓国と意見の相違を生むかもしれない問題が北朝鮮政策に対する議論を圧倒するようにはしないだろう」と述べた。

 ヒル元次官補は「伝統的に民主党が共和党より人権問題を重視するのか」というVOAの質問には「経験からして、そうかもしれない」としながらも、「しかし北朝鮮に対する焦点は引き続き核プログラムであり、核問題の解決と一定の(関係)正常化に向けて進展が見られてから、人権問題のようにもっと幅広い問題を取り上げるだろう」と見通した。

 第1期オバマ政権の4年間、国家安全保障会議で武器統制と大量破壊兵器拡散防止分野を担当し、北朝鮮核問題を扱ってきたゲイリー・セイモア元米ホワイトハウス大量破壊兵器調整官も「バイデン政権はトランプ大統領が問題を起こして傷ついた同盟を復元し、強化するために努力するだろう。したがって、バイデン政権がこの新しい法案をめぐって、文在寅政権との衝突を選ぶことはないだろう」と述べた。また「バイデン政権が失望感を示すかもしれないが、これが論争の主要イシューになるとは思わない」と付け加えた。

 1994年のジュネーブ合意の主役であるロバート・ガルーチ元米国務省北朝鮮特使はさらに「対北朝鮮ビラ禁止法」について「表現の自由に対する問題とは考えない。また、米国の問題ではなく、韓国国内の問題であり、そうしておくべきだ」と述べた。VOAは彼が「米国の下院議員や上院議員が介入する問題でもない」と指摘したと報じた。これに先立ち、マイケル・マッコール下院外交委員会共和党幹事と同党のクリス・スミス下院議員、米国知韓派の集まりである「コリア・コーカス」共同議長である民主党のジェリー・コーナリー下院議員は、同法案の国会通過後、表現の自由を侵害した法案だと批判の声を高めている。ガルーチ元特使は「これは表現の自由に関する問題ではない。韓国人が出版したい内容を出版できないようにするというわけではない。これは国境を越えてビラを送るのが正しいかどうかに関する問題であり、北朝鮮との関係、戦争と平和に関する問題だ」と述べた。

 ブッシュ政権時代に6カ国協議の次席代表を務めたジョセフ・デトラニ元米国務省北朝鮮交渉特使は、少し異なる見解を示した。彼は「どのような形であれ、北朝鮮の人権蹂躙について発言する人を抑制し、阻止し、処罰する法が韓国で通過すれば、米国と米国議員はそのような(批判的)反応を示すだろう」と述べた。また「米国の新政権もこの問題についてこれまで同様、忌憚なく発言するだろう。これは重要な価値に関する問題だ」と述べた。

 こうした中、韓国政府は22日午前、政府ソウル庁舎でチョン・セギュン首相主宰で国務会議を開き、南北関係発展法一部改正法律公布案を審議・議決した。チョン首相はこの場で、イ・イニョン統一部長官に「(改正法に関して)多様な意見が提起されているだけに、関連団体と緊密に話し合い、改正目的に合致して法が履行されるよう徹底的に準備してほしいと要請した」と、統一部が発表した。イ長官は「法案の内容について不必要な誤解がないよう、法案を発議し可決してくれた国会とも緊密に協議しながら国民との疎通を強化し、法案内容に対する理解を深めたい」と答えた。統一部は法施行前までに「ビラなど散布規定解釈ガイドライン」を制定する方針だ。

 一方、統一部は22日、国際社会の一部から改正された南北関係発展法に対する批判が提起されていることと関連し、「先週、50余りの駐韓外交公館を対象に対北朝鮮ビラ規制関連『南北関係発展に関する法律』の改正説明資料を提供」したと明らかにした。

キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/975332.html韓国語原文入力:2020-12-2221:09
訳H.J

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