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韓国の窃盗犯に「高麗仏像」盗まれた日本の寺「裁判で所有権を主張する」

登録:2020-12-21 03:39 修正:2020-12-21 10:08
高麗観世音菩薩坐像//ハンギョレ新聞社

 韓国人の窃盗犯が日本の対馬から盗んできた14世紀の高麗時代の観世音菩薩坐像。この所有権をめぐる控訴審が韓国で行われているが、盗難に遭った日本の寺が、裁判に参加して所有権を主張すると明らかにした。日本に略奪されたと推定される文化財を窃盗犯が盗んだ事件を巡り、この仏像を日本に返すべきかどうか、論争が続いている。

 20日の朝日新聞によると、対馬の観音寺は18日夜に記者会見を開き、韓国政府から裁判への参加を促す文書が届いたとし、裁判に直接参加して所有権を主張し、返還を要求する方針を明らかにした。一審には参加していない観音寺が、二審には積極的な意思を示したのだ。これまで日本は、対馬市議会が仏像返還決議をあげ、官房長官や文部科学相などが韓日長官会談の際に仏像返還を要請している。

 かなり異例の今回の文化財訴訟は、2012年10月に韓国人窃盗犯のK氏らが対馬の観音寺から高さ50.5センチの高麗観世音菩薩坐像を盗み、韓国に持ち込んだことから始まった。この仏像をめぐっては、日本が高麗時代に盗んで行った「略奪文化財」だという主張と、「盗品」という見方が交差している。K氏らは裁判の過程で「日本が略奪した文化財を持ってきたのだから、我々は愛国者」と主張してもいる。K氏には懲役4年の刑が言い渡されている。

 仏像の本来の主人であると主張する忠清南道瑞山(ソサン)の浮石寺(プソクサ)は、「略奪文化財だ」と主張する。浮石寺は「交流などの正常な方法で仏像を日本に贈ったものなら、仏像の中にある腹蔵物を空にして贈っているはず。仏像の中から腹蔵物がそのまま発見されたということは、仏像が略奪されたことを示す重要な証拠」と述べている。浮石寺の信徒と瑞山の住民は「観世音菩薩坐像を元の場所に奉安する委員会」を立ち上げ、仏像返還運動を始めている。

 これに対し、対馬にある朝鮮半島仏像の研究の専門家とされる故チョン・ヨンホ韓国教員大学名誉教授は2017年、本紙への寄稿で「仏像が略奪品だとしても、それをまた別の略奪というやり方で返してもらうことは、正当化できない」とし「日本が浮石寺から略奪して行ったという直接的な証拠もない」と指摘した。そして「これまでの文化財返還の努力が水泡に帰す恐れがある」とし、観音寺に返すべきだと主張している。文化財庁も、国際法に基づき、盗んだ文化財は返すべきだとの立場を取る。

 浮石寺は、政府を相手取って仏像の返還を求める有体動産引き渡し訴訟を起こし、一審では2017年1月に浮石寺が勝訴した。仏像の中から発見された結縁文には「1330年頃、瑞州(ソジュ)にある寺院に奉安するためにこの仏像を制作した」という内容が記録されている。瑞州は忠清南道瑞山の高麗時代の名称。一審はこの結縁文と、1330年以降5回にわたって倭寇が瑞山地域に侵入したという高麗史の記録、贈与や売買ではなく、盗難や略奪などによって持ち出されたと判断されることなどを主な根拠とした。

 政府に代わって訴訟を担当した検察は控訴し、現在3年にわたって控訴審が進められている。観世音菩薩坐像は、大田儒城区(テジョン・ユソング)の国立文化財研究所の遺物収蔵庫に保管されている。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/975042.html韓国語原文入力:2020-12-20 13:32
訳D.K

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