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[社説]初の検察総長懲戒、大統領が率直な説明を

登録:2020-12-17 08:07 修正:2020-12-17 08:55
文在寅大統領は16日、ユン・ソクヨル検察総長に対する「停職2カ月月」の懲戒案を裁可した。チュ・ミエ長官はこの日午後、大統領府を訪問し、文大統領にユン総長の懲戒案を要請した。写真は6月22日に大統領で行われた「第6回公正社会反腐敗政策協議会」に参加した文大統領とユン総長(左側2番目)/聯合ニュース

 ユン・ソクヨル検察総長に対し、法務部の検事懲戒委員会は16日、「停職2カ月」の懲戒を議決し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が裁可した。懲戒委員会は徹夜の討論の末にこの日の早朝、「4つの不正」の嫌疑を認め懲戒の度合いを決めた。チョン・ハンジュン委員長職務代理は、「証拠に基づき決めた」とし、「(解任を含む)多くの意見があったが、過半数になった瞬間、ユン総長に有利な量定に決めた」と明らかにした。重懲戒の中では相対的に低い懲戒の度合いを選んだということだ。

 ユン総長は強く反発し、法的対応の方針を明らかにした。ユン総長は立場文を出し、「任期制の検察総長を追い出すための違法な手続きと実体のない事由を掲げた不法・不当な措置」だとしながら、「憲法と法律で決められた手続きにより、誤りを正す」と述べた。元検察総長らも「今回の懲戒手続きは、民主主義と法治主義に対する脅威の始まりになる懸念が極めて強いためやめるべきだ」と主張した。それならば、懲戒委員会で認められた不正の事実は何の過ちでもないということなのか、問わずにいられない。「判事査察」疑惑文書の作成および配布、チャンネルA事件の監察・捜査の妨害、政治的中立に関する不適切な言動などは、検察総長の権限を濫用し検察の生命である政治的中立性を損なった行為だ。法の適用に例外を認めないのが法治主義だ。検察総長を自身の行為に対し責任を負わない聖域に残しておき、民主的統制を無力化することこそ、法治主義と民主主義の否定だ。

 懲戒の過程でユン総長の行為の是非を問う本案より、手続き的な問題をめぐる攻防が目立ったことは、反省する点だ。ユン総長側が執拗に手続き的な問題を提起した側面もあるが、チュ・ミエ法務部長官が押し通す手法で懲戒手続きを進め、口実を提供した責任がある。

 今回の事態をめぐり多くの国民が疲労感を感じているのは、“チュ長官とユン総長の対立”という枠組みに、検察改革という本質が埋没したことによるのも大きい。新型コロナウイルスの急激な感染拡大により多くの人々が日常と生計の危機に直面した今は、より一層不毛な議論に終止符を打たなければならない時だ。チュ長官がこの日の午後、文大統領に懲戒案を要請し辞意を表明したのも、そのような点で注目される。

 文大統領は、ユン総長の懲戒案を裁可し、「検察総長の懲戒という初の事態に至ることになったのに対し、任命権者として重く受け止める。国民に大変申し訳ない」とし、「検察が立ち直る契機になるよう願う」と述べた。今回の事態について所感を明らかにしたものだが、これだけでは不十分だと思われる。史上初の検察総長の懲戒と法務部長官の辞意に帰結した今回の事態に対する大統領の考えを、より詳細かつ明確に知りたい国民は多い。文大統領は、ユン総長を懲戒するしかない理由と、それが検察に対する民主的統制という原則に照らしてどのような意味を持つのか、率直に説明する必要がある。また、検察の中立性の毀損に対する一部の懸念をどう解消するのかも、明確に示さなければならない。

 ユン総長の懲戒は、何より検察改革とは切っても切れない問題だ。検察は、政治権力に隷属してはならず、無制限の権力を統制も受けずに濫用してもならない。現在進行中の検察改革の目標もこれと違わないだろう。改革には生みの苦しみが伴うことは避けられない。今の混乱と対立を一段階成熟した民主主義に進む契機にしなければならない。文大統領の役割が重要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/974575.html韓国語原文入力:2020-12-17 02:44
訳M.S

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