韓国政府は入院治療が必要ない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の軽症患者を、病院の代わりに生活治療センターで診療を受けるようにする方針だ。感染者10人のうち8人は医学的処置が必要でない状況で、患者全員を入院させる代わりに、死亡の危険性がある重症患者の治療に集中しようという趣旨だ。高齢者や基礎疾患のある感染者が自宅で入院待機中に死亡した事態が再発しないためには欠かせない措置というのが、保健当局と医療専門家らの共通した見解だ。
中央災難安全対策本部(中対本)は1日、医療陣で構成された市道別の患者管理班(重症度分類チーム)が感染者を4段階(軽症・中等度・重症・最重症)に分類し、軽症患者は生活治療センターに入所させる一方、中等度以上の患者は隔離入院して治療を受けられるようにすると発表した。中等度・重症・最重症の患者群は重症度に応じて従来通り陰圧隔離病室や感染症専門病院、国指定の入院治療病床などに入院し、治療を受けることになる。重症以上の患者が入院する病床が足りない場合、あるいは市道間の転院が必要な場合は、国立中央医療院の転院支援状況室が病床の割り当てを総括して調整する。中対本は中国の研究と国内患者の疫学的特性を考慮し、感染者の81%は軽症、14%は重症、致死率の高い最重症患者は約5%くらいだと発表した。
入院治療の必要性は低いが、感染拡大の遮断とモニタリングが必要な軽症患者は地域別の生活治療センターの1人部屋に入所することになる。同日午後4時基準で感染者が2705人の大邱(テグ)地域は、2日から教育部中央教育研修院を生活治療センターとして運営する。パク・ヌンフ中対本1次長(保健福祉部長官)はブリーフィングで「大邱で発生する軽症患者数によって生活治療センターをさらに増やすことも考えている」とし、「少なくとも1千室以上は用意している」と述べた。
国家運営施設や宿泊施設を活用した生活治療センターには専門医療陣が常駐し、施設内の感染者の健康状態を随時点検する。医療陣が入院治療が必要だと判断した患者は、迅速に病院へ移送する計画だ。これは、中国の武漢からの帰国者たちを施設に隔離し運営した方式に類似している。逆に、医療機関に入院しても症状が好転すれば、退院し、担当医師と患者管理班の判断によって生活治療センターに移送されるか、自宅で療養することになる。
また、保健当局は退院(隔離解除)の基準を満たした患者たちをまっすぐ帰宅させる代わりに、生活治療センターで伝染力がなくなるまで観察することにした。最近、25人目の患者が退院した後、一週間も経たないうちに再び陽性判定を受けたことと関連し、医療陣が体に残っていたウイルスが再活性化したものと判断したからだ。これまで病院では、2回にわたり検査を実施し、陰性が出れば隔離を解除してきた。
政府の今回の対策と関連し、盆唐ソウル大学病院のキム・ホンビン教授(感染内科)は「患者の重症度分類を初期に一度だけ行うのではなく、患者の状態によって転院が円滑に行われる構造にする必要がある」と指摘した。