フードデリバリー・プラットフォーム「配達の民族(ペミン)」を運営する(株)優雅な青年たちは10日、今年3月から配達労働者の週当たり配達遂行時間を制限すると明らかにした。「20/60政策」と名づけたこの施策は、副業として働く人が多い「ペミンコネクター(以下、コネクター)」は週当たり最大20時間、専業が多い「ペミンライダース(以下ライダー)」は週当たり最大60時間に配達業務時間を制限するという内容だ。優雅な青年たちは、「長時間配達を行う場合、事故の危険性が増大し、安全な配達の遂行が難しいということを考慮し」労組との協議を経てこのような決定を下したと明らかにした。
だが肝心の労組の反応は冷たい。優雅な青年たちが「協議」したという全国民主労働組合総連盟サービス連盟サービス一般労組側は、「専業であるライダーの時間制限はそのまま受け入れることはできない。今後労組側と交渉を行い、決め直すべき」と主張した。もう一つの配達労組であるライダーユニオンは、「本質的な問題は放置したままコネクターとライダーの対立を煽る決定」と強く批判した。労働時間短縮の流れに合わせ、会社が先頭に立って配達労働者の労働時間も減らすというのに、なぜ労組は批判的なのだろうか。
一義的には、配達労働をしているのは主に経済的に脆弱な階層で、収入構造が1件当たりの手数料であるからだ。何時間かかろうともより長く、より多く配達しなければ手に入る金も増えないため、経済的に苦しい人々や金が緊急に必要な人々にとっては、配達時間の制限は迷惑ということだ。そのような人々が中心となり配達時間の制限に不満を表明したため、サービス連盟側は「交渉」で問題を解決しようとしているわけだ。専業で働くライダー約2300人のうち、現在週60時間以上働いているのは9%ほど(約200人)とされている。
しかし真の問題は、優雅な青年たち側が、労働時間は制限する一方でコネクターの数は増やし続けているという点にある。現在ペミンコネクターの規模はライダーの7倍近い1万5千人あまりと推算される。昨年7月、優雅な青年たちは「やりたい時に、走りたいだけ」という宣伝文句を掲げて副業を求める人々が中心のコネクターを大々的に募集した。配達1件当たりの手数料に1500ウォンを上乗せするプロモーションを行い、短距離注文はコネクターに優先的に配分した。昨年11月に開始した生活必需品の配達サービス「Bマート」の注文もコネクターだけに任せた。既存のライダーよりずっと良い待遇だ。
これではライダーとコネクターの間で軋轢が生じざるをえない。副業とはいえ、コネクターもライダーのように配達業務時間の制限がないため、コネクターに移るライダーも少なくなかった。その結果、コネクターのうち、専業として働いている人はおよそ20%にのぼるとされる。このような状況で急にペミンコネクターの労働時間を制限すれば、専業配達労働者は非常に困る。ライダーユニオンのク・ギョヒョン企画チーム長は、「何の制限もなしにコネクターの数字ばかりを増やしておきながら、今になって何の協議もなしに労働時間を制限するというのは、嫌なら出て行けという話だ。人をただの数字として見ているか、自分たちが好きなようにできる存在だと思っているということ」と指摘した。
しかも、コネクターの労働時間を制限したからといって、「ライダー逆差別」が解消されるわけでもない。「短距離注文」や「Bマート注文」は依然として「ペミンコネクター」しか受けることができないうえ、限られた注文をめぐってコネクターとライダーが競争する構造も変わらないからだ。何よりも優雅な兄弟たち(優雅な青年たちの親会社)は、毎晩変わる翌日の配達手数料、ばらつきのある配車制限、契約期間終了による切り捨て、ライダー間の勤務条件差別など、根本的な問題には答えを出していない。これこそ、先述のように配達時間制限の発表にライダーユニオンが「本質的な問題は放置したままコネクターとライダーの対立を煽る決定」とした理由だ。配達労働者の安全を心配したという優雅な兄弟の「優雅な」この決定は、実は会社の安全のためのものだということではないか。