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会社側が提供した情報だけで遵法監視活動求めるサムスン

登録:2020-01-09 22:48 修正:2020-01-10 07:54
グラフィック=コ・ユンギョル//ハンギョレ新聞社

 サムスングループは、外部の人物が中心となった独立したグループの監視機関「遵法監視委員会」を立ち上げた。同機関は今後、わいろのような腐敗行為だけでなく、系列会社間の内部取引や労働弾圧のような法違反行為はもとより、大株主の継承過程の違法性まで独立的に監視する役割を果たすことになる。しかし、オーナーに権限が集中したサムスングループの特性を考えると、その限界が明確であるという指摘もある。遵法監視活動がオーナーの認める範囲内だけに限られるからだ。

 遵法監視委委員長を務めるキム・ジヒョン元最高裁判事(法務法人地平代表弁護士)は9日、ソウル西大門区法務法人地平の会議室で記者懇談会を開き、「イ・ジェヨン副会長に独立性と自律性を保障され、委員長を引き受けた。サムスンの遵法・倫理経営に対する番人の役割を果たす」と述べ、委員会の構成と運営構想を明らかにした。証券取引等監視委員会は、市民社会団体連帯会議のクォン・テソン共同代表や消費者主権市民会議のコ・ゲヒョン事務総長、ソウル大学のキム・ウジン教授(経営学)、ポン・ウク弁護士(元最高検察庁次長検事)、中央大学法学専門大学院のシム・インスク教授など、委員長を含む外部の人物6人と、サムスン電子で社会貢献業務を総括しているイ・イニョン顧問など7人で構成される。

 監視委は、各系列会社にすでに立ち上げられた取締役会や遵法支援人などを通じて、資料の報告を受けて活動する。最高経営陣の法違反行為に対しては、委員会が直接申告を受ける方針だ。事案によっては監視委が直接調査に乗り出す。法違反が確認されれば、各系列会社の取締役会に是正・制裁要求を行い、監視委の要求が受け入れられない場合は、今後作る監視委のホームページに当該内容を公開する方針だ。

 キム委員長は、監視委が系列会社の取締役会や遵法支援人を通じて受ける内部情報に依存せざるを得ない限界については、明確な代案を示さなかった。「外部機関が敏感な情報をどうやって得ることができるのか」という報道陣の質問に対し、キム委員長は「私も同じ悩みを抱えている」とだけ答えた。監視委が制裁・勧告案を出しても強制できないという点も限界だ。法違反行為について刑事告発の可能性を問う質問に対し、キム委員長は「事案によって異なるだろう」と述べ、慎重な姿勢を示した。

 監視委の独立性が疑われる部分もあった。監視委と協約を締結する系列会社7社に、米国でわいろを供与した容疑で巨額の罰金を支払ったサムスン重工業が除外されたという指摘に対し、キム委員長は「協約締結対象企業に7社が選ばれた経緯については、私もよく分からない」と答えた。

 イ・チャンミン漢陽大学教授(経営学)は、「監視委がうまく機能するためには、イ・ジェヨン副会長と直接話し合うチャンネルを作り、内部告発者の保護対策を講じなければならない。オーナー中心の閉鎖的な構造では、監視委の活動が限られる」と指摘した。

 

 監視委の設置は、イ・ジェヨン副会長の事件を担当しているソウル高裁刑事1部の裁判部が昨年10月、公判で「実効的な遵法監視制度を次の公判(今月17日)まで用意せよ」と注文したことによるものだ。参与連帯は論評を出し、「監視委の設置がイ・ジェヨン副会長の国政壟断犯罪に対する免罪符となってはならない」とし、「サムスンは法的権限や責任のない監視委の代わりに、これまでまともに作動しなかった法的機関である取締役会の独立性・透明性の強化にまず乗り出さなければならない」と主張した。

ソンチェ・ギョンファ、シン・ダウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/923854.html?_fr=st1韓国語原文入力:2020-01-09 21:03
訳H.J

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