韓国政府は金剛山(クムガンサン)観光事業問題と関連して「当局と事業者を含む共同点検団を構成し、北朝鮮を訪問する」と北側に提案した。統一部は「5日午前、開城(ケソン)南北共同連絡事務所を通じて、北側の朝鮮アジア太平洋平和委員会あてに」このように通知したと6日、明らかにした。政府の「当局実務会談」提案(10月28日)を北側が事実上拒否して「施設撤去計画・日程」だけを対象とする「文書合意」を繰り返し要求(10月29日)したことに伴う後続対応だ。
イ・サンミン統一部報道官は「(通知文で)施設安全点検次元の共同点検団であり、必要な部分はすべて協議していくと話した」として「(北側が提起した)撤去問題でも(南側が議論を望む)金剛山観光再開問題でも、施設の点検は必須の手続き」と明らかにした。共通点を先に取り、異なる点は後回しにする「求同存異」の接近法だ。キム・ヨンチョル統一部長官は「ひとまず南北が向かい合って座れば、双方が満足でき、実践可能な金剛山地区の新たな発展方案を見つけることができる」と明らかにした。
金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が金剛山観光地区を訪れ「金剛山国際観光文化地区構想」を明らかにし、「南側施設の撤去」を指示(労働新聞10月23日付1面)して触発された今回の局面に関する政府の基本方針は、「出会い」と「合意」だ。イ・サンミン報道官は「政府は合意と出会いを通じて対処すべきという方針」と強調した。金正恩委員長が「南側関係部門と合意して」撤去しろと指示したもので、「合意」処理原則自体には南北間に意見の相違はない。しかし「対面合意」(南)なのか「書面合意」(北)なのかをめぐっては接点を見出せずにいる。韓国政府の対応の最低ラインは、現代峨山など南側事業者の「財産権保護」原則だ。1998年11月、現代と金剛山観光協力事業に合意・署名した北側の主体は、朝鮮アジア太平洋平和委員会だ。北側が二度にわたる通知文(10月25・29日)を「金剛山国際観光局」名義で送ってきたが、韓国政府は実務会談提案に続き今回も対北朝鮮への通知文の宛先を朝鮮アジア太平洋平和委員会としたのもそのためだ。南と北の接近が微妙に交錯する争点だ。
北側が「共同点検団の訪朝」提案を受け入れる可能性は高くないとの観測が多い。ただし、北側の公式返答はまだ来ていないという。2011年6月29日と7月13日に「民官合同協議団」が金剛山観光地区の財産権問題を協議するために北朝鮮を訪問した先例があるが、当時は北側の要請にともなう訪朝であり、今回とは脈絡が異なる。