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1年8カ月ぶりに法廷に立ったサムスン副会長に、裁判長が不適切な“経営への口出し”

登録:2019-10-26 09:43 修正:2019-10-27 07:02
25日、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長がソウル瑞草洞のソウル高等裁判所で開かれた国政壟断の破棄差戻し審の初公判に出席するため車から降りている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領らに賄賂を渡した容疑で起訴されたサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の破棄差戻し審の初公判が開かれた。イ副会長側は「量刑」を減らすことに力を注ぐという意向を示し、検察と特検は「減刑」を防ぐためサムスンの経営権継承作業を立証する更なる証拠を提出すると対抗した。両者が拮抗する中、裁判部が法廷に出席したイ副会長に対し「サムスン経営」を後押しするような言葉をかけ、不適切との指摘が出ている。

 25日、ソウル瑞草区(ソチョグ)のソウル高等裁判所刑事1部(裁判長チョン・ジュニョン)の審理で開かれたイ副会長など5人の「国政壟断」差戻し審で、イ副会長側弁護人は「最高裁の判断を尊重し、別途(有罪無罪を)を争わない。主に量刑を争う」と明らかにした。この日、弁護人は執行猶予で最高裁の確定判決を受けたロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)会長の裁判記録を見せてほしいと要請した。国政壟断にかかわったものの執行猶予が確定した辛会長のケースを挙げ、「量刑の公平性」を強調するという戦略を示したものだ。

 一方、特検と検察は、経営権継承作業の実体をさらにしっかりと裏付ける計画だ。現在検察は、サムスンバイオロジックス会計詐欺疑惑を捜査し、イ副会長の経営権継承作業を立証できる具体的な資料を確保している。検察はこの資料を通じて、グループ内で継承作業があり、イ副会長の利益のために無理に進められたが、その過程で朴前大統領の友好的な措置が必須だったという点を証明するものとみられる。特検側は「検察の捜査過程で非常に重要な資料が確保された」と説明した。

 特検側は追加の証拠提出で、イ副会長が私益の「経営権継承」のために賄賂を提供したという事実を裏付ける予定だ。経営権継承作業はイ副会長事件の核心争点であり、「イ・ゴンヒ→イ・ジェヨン」という経営権継承のため不正な要請をしたと見て、第3者贈賄容疑が適用された。最高裁は一、二審の食い違った判断を整理し、このような不正な要請と継承作業を認めている。私益追求が明確になれば、執行猶予の可能性はさらに低くなる。特検側は「辛東彬会長の事件は(調べる)必要性があるのか疑わしい。より密接な関連がある李明博(イ・ミョンバク)元大統領の事件のサムスン贈賄事件の記録を要請する」と弁護人に対抗した。

 一方この日、裁判長のチョン・ジュニョン部長判事は裁判が終わる頃、イ副会長側に向かって異例の言葉を残し、波紋を呼んだ。チョン部長判事は「実効的な遵法監視制度が作動しなければ、また同じような犯罪が再発するだろう」とし、「財閥体制の過度な経済力集中などが、韓国の経済が革新型モデルに発展するのに障害になっているという警告音が聞こえている。厳しい時期に財閥トップは財閥体制の弊害を是正し、革新経済へと進むことに貢献すべきだ」と述べた。続いてチョン部長判事はイ副会長に「1993年当時51歳のイ・ゴンヒ・サムスングループオーナーは、古くて腐った慣行を全て捨てて、事業の質を高めようとする、いわゆるサムスン新経営を宣言して危機を果敢な革新で克服した」とし、「2019年に同じく満51歳になったイ・ジェヨン・サムスングループオーナーの宣言は何であり、また何でなければならないか」と問い返した。

 裁判長の発言後、「サムスンが倫理経営システムを再整備すれば刑を軽減する」というメッセージを与えたのではないかと懸念する声が出た。法曹界の関係者は、「裁判長の発言は量刑事由を教えてやるような印象を与えた。不適切だった」と批判した。

コ・ハンソル、イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/914641.html韓国語原文入力:2019-10-26 02:35
訳C.M

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