「わが政府は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府よりさらに進んだ国家バランス発展政策をさらに強力に推進していきます」
昨年2月、世宗市(セジョンシ)の政府世宗コンベンションセンターで開かれた「国家バランス発展のビジョンと戦略宣布式」で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこう語った。7カ月後の9月、イ・ヘチャン共に民主党代表は国会交渉団体代表演説で、盧武鉉政府時代に153の公共機関を世宗市と10カ所の革新都市に移したのに続き、首都圏の122の公共機関をさらに地方に移転すると述べた。だが、まだ盧武鉉政府よりも強力なバランス発展政策や第2次公共機関の移転案は政府・与党から全く出ていない。
今年9月、全国人口に占める首都圏人口の割合が史上初めて50%を超えることが分かった。韓国の全体国土面積10万387平方キロメートルの11.8%にすぎないソウル・仁川・京畿道に、韓国の人口の半分以上が集中して暮らしている奇形な状態が極端化している。人口だけではない。首都圏の地域内総生産はすでに2017年に50%を突破した。2002年に49.5%に達したのを、盧武鉉政府が果敢なバランス発展政策を推進して2011年に48.2%にまで下げたが、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政府時代にバランス発展政策が中止され、首都圏の規制が緩和されたことで再び覆された。
地方分権全国連帯のパク・ジェユル代表は、「盧武鉉政府の時、首都圏と地方の格差を解消するため強力なバランス発展政策を敷いたが、その後の政府でバランス発展政策が期待に及ばず、効果が薄れている。首都圏と地方の総合的両極化が、空間的に深刻にあらわれている」と分析した。
首都圏の人口が増えるのは、首都圏に流入する人口が増えるからだ。終戦後、地方から首都圏への純移動人口は朝鮮戦争時を除いて毎年プラスだったが、盧武鉉政府を経て2011年と2013~2016年には地方に純移動したりもした。しかし、このような流れは2017年から再び覆り、2018年には首都圏に5万9797人が純移動した。特に京畿道には全国で最も多い17万94人が流入しており、京畿道は1989年から全国広域市・道のうちで純流入人口1位の座を保っている。この30年間、京畿道の人口急増はソウルという巨大都市が行政区域を越えて膨張した結果だ。
専門家らは、地方の若者たちが大学進学と就職のために首都圏に集中する現象がますます強まっていると見ている。盧武鉉政府時代に国家バランス発展委員として活動した慶北大学経済通商学部のキム・ヒョンギ名誉教授は「地方の経済活動基盤が弱く、教育や文化インフラが劣悪なため、若者たちが首都圏に集まらざるを得ない。首都圏に流出する地方人口のうち若者層の割合が高いことが、地方の衰退と消滅を助長する悪循環を起こしている」と述べた。
専門家らは、盧武鉉政府を継承した文在寅政府が特別な対策を出さなければならないと求めた。パク・ジェユル代表は「全面的、総合的で中長期的な国家バランス発展戦略を講じるべき時だ。地域再生を国政運営の優先かつ中核の議題にして、政策をまとめなければならない。単純に産業・経済的レベルだけでなく、福祉、文化、サービスなど立体的な政策が設けられなければならない」と述べた。
イ・ミンウォン元国家バランス発展委員長は、何よりも第2次公共機関の移転を急ぐべきだと話した。イ元委員長は「昨年共に民主党のイ・ヘチャン代表が発表した第2次公共機関移転がどうして推進されないのか、理解できない。公共機関の移転を機に、先端企業の地方移転や国公立大学統合による拠点大学育成、地方空港国際化などを同時に推進しなければならない」と述べた。
これと共に、首都圏集中の象徴的存在である国会と大統領府の世宗市への移転も、一日も早く推進すべきだという意見が多い。13日、国会事務処は国会の17の常任委のうち10委員会と予算決算委員会、予算政策処、立法調査処を世宗市に移転する案が経済的に最も妥当だという研究結果を発表した。今年初め、大統領府も二つの大統領執務室を世宗市に設置する案を検討したが、まだこれといった結果は出ていない。