本文に移動

「30代の女が部長だと?」…いまだに厚い“ガラスの天井”

登録:2019-03-08 09:19 修正:2019-03-09 10:18
上位30グループの女性役員現況//ハンギョレ新聞社

 「『まだ年も若い女が…30代で部長だと? 』とされて(部長昇進から)1年落とされたんです」(Aさん)

 「次長から部長になったとき『あなたは今昇級したばかりだから子どもを持つの1年ぐらい延ばしてほしい』と直接言われました」(Bさん)

 Aさんは600人ほどの規模の家具会社で19年間勤続している。女性職員の割合は23%だが、女性役員はたった1人(6%)だ。修士号を取得したBさんは、社員10人のうち4人が女性である建築会社で設計の仕事をしている。女性役員は一人もいない。

 韓国女性政策研究院は最近、報告書「企業内の女性役員の比率拡大のための戦略研究」(研究者:カン・ミンジョン、ムン・ジソン、クォン・ソヨン、キム・ヤンヒ、パン・セリン)を発行し、部長級の女性21人(次長2人)の声を聞いた。相当数は子どもがいるため昇進から外され、非婚だと陰口を言われた。男性中心の文化を拒否すれば情熱を疑われ、受け入れれば噂に巻き込まれた。ハンギョレは「女性の日」を控えた7日、役員候補群である女性の目で企業を覆っている“ガラスの天井”をのぞいてみた。

■“ガラスの天井”、努力では破れない

 「女性が(役員になって)突き進むケースは1人だけだったが、(その女性を)外部から直接連れてきて、その人がまた他の人を連れてくるパッケージシステムなので…」

 社員約1300人のCさんの会社(IT)で、女性役員は2人だ。その1人も外部から迎え入れられた。外部輸血された専門経営家が連れてくる「パッケージシステム」も多いという。一過性の昇進は内部昇進への期待感を下げ、女性役員を「外部者」にとどめさせると報告書は指摘した。

 「兄貴・弟」のような呼称など男性中心の組織文化は、女性の内部昇進を制約する原因の一つに挙げられた。博士号を取得したDさんは、社員10万人の電子機器開発会社に勤めている。後れを取らないように「タバコの煙を吸い込みながら、宴会の席は2次会、3次会までついていった」が、「むしろ結婚しろ」と言われた。Dさんは役員候補である前に、「若い未婚の」女性だった。

 男性文化を拒否する女性も困難を経験する。金融会社のマーケティング担当であるEさんは、酒やタバコをせずゴルフもしない。実力で競争するという決断だったが、「つきあいが悪いくせによくやるな」という言葉が返ってきた。

■女性だけに聞く「子育て計画」

 Fさんが担当している自動車メーカーは、海外駐在員の経験が昇進の“必須コース”だ。ところが、女性志願者は書類を一つ多く出さなければならない。「子育て計画書」だ。

 「5年分の計画を、子どもを誰がどのように“ケア”するのかについての企画書を出し、仕事に支障がないと判断されれば送り出してやるということ。向こうで『女性駐在員を受け入れる』と言われれば行けるのですが『(女性は)誰も“儀典”(接待)をできない』と見るのでしょう」

 ケア労働は女性がしなければならず、仕事と並行が難しいという見方が女性に対する公正な評価を妨げる。会社の高位職に対する「儀典」が必須業務という前近代的な意識も結びついている。このような状況では女性管理者も本来の業務と無関係な領域に限定されるほかないと、報告書は指摘した。

 「(女性チーム長がいる)組織は新しく作った組織です。女性が昇進すると新しく作った組織、聞いたことも見たこともない組職ができます」(化学会社23年目のGさん)

■ネットワークもロールモデルも女性にはない

 仕事と生活のバランスを重視する雰囲気が増え、請託禁止法が施行されたため、硬直した組織文化は少しずつやわらかくなっている。ただし、女性たちは依然として男性中心のネットワークがリーダーシップの評価に支配的な影響を及ぼすと感じていた。“ロールモデル”になる女性役員が極めて少数で、それさえも相当数が外部出身であるため、ネットワーキングが難しい点も大きな悩みだ。「ジェンダーの多様性」の確保のためには積極的な女性役員の発掘・育成努力が必要だが、このようなプログラムを運営する会社は韓国にほとんどいない。かろうじてあるプログラムも“見せかけ”にすぎず、継続されてもいない。

 「女性役員は絶対に企画され準備されません。役員を選ぶためには企画して役員のプールを育成するんです。育成プログラムはあるけれど、現在の役員や事業部長がサクセサー(後任者)を指名する方式です。どの男性も女性をサクセサーとして指名しません」(Gさん)

 報告書が国内の上位30グループの277社の役員や従業員の現状について調べた結果、女性役員の割合は平均3.0%、女性役員のいない企業は66.1%だった。女性役員のうちキャリアの比重は49.0%で、内部昇進(39.6%)より多かった。内部昇進した男性役員(53.2%)がキャリア出身役員(33.7%)よりはるかに多いのとは対照的だ。

 しかし、女性役員の存在は企業にも「得」になる。報告書によると、女性役員のいる企業はいない企業より営業利益が1.7倍高く、女性役員の数が4.6人を超えれば営業利益に肯定的な影響を与え始めた。

 韓国女性政策研究院のカン・ミンジョン副研究委員は「経営陣に布陣した男性役員たちが男性後輩を導くことで、ジェンダーの不均衡が強化される側面がある」とし、「企業は女性役員の“プール”がないと抗弁するが、育児休職の保障などで部長級の女性人材を強化するために努力したのかと問い返さなければならない」と指摘した。

ヒョン・ソウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/working/885065.html韓国語原文入力:2019-03-08 07:22
訳M.C

関連記事