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北に向かった列車、この線路で平和が来てほしい…「南北が常時行き来できるように」

登録:2018-12-03 21:38 修正:2018-12-04 07:12
南北を往来した列車の運行が止まって10年ぶりの11月30日午前、南北鉄道共同調査団の乗った列車が、軍事境界線を越えて北へ向かっている。南北の鉄道連結・現代化事業のための北側区間共同調査は18日間1200キロメートルにかけて進行される=都羅山/共同取材団//ハンギョレ新聞社

 京義線鉄道の南側最北端駅である都羅山(トラサン)駅と北側最南端駅の板門(パンムン)駅の間を行き来した貨物列車が、2008年11月28日を最後に運行を中断した。「10・4首脳宣言」の力で2007年12月11日から1年間、週5回計448回運行した南北連結列車が、李明博(イ・ミョンバク)政府発足以後の南北関係悪化で再び停止された。その後10年間、軍事境界線を貫く南北連結鉄道には寒風が吹き続けた。2018年11月30日午前9時5分、鉄道共同調査団28人を乗せた列車が「鉄馬が走る!平和繁栄の未来へ」と書かれた横断幕をつけて都羅山駅を出発し、軍事境界線を越えた。南北連結列車の運行が止まってからちょうど10年たってのことだ。列車には「南北鉄道共同調査着手/南北鉄道共同研究調査団」と書かれた横断幕と「ソウル⇔新義州(シンウィジュ)」と書かれた行先標が鮮明につけられた。

 2007年5月17日、南北鉄道連結区間試験運行行事の時にも運転を務めたというキム・ジェギュン機関士は「10年間列車が通わなかったが、線路のサビが除去されて、南から北へ、北から南へ列車が常時運行され、民族が念願する統一が実現してほしい」と話した。共同調査団長のイム・ジョンイル国土交通部鉄道建設課長は「2007年南北共同調査団員として参加してから11年ぶり」だといい、調査団員中で唯一の女性の「軌道調査担当」ハン・ヨンア韓国鉄道施設公団課長は「女性として最初に参加することになりうれしい」と感想を述べた。

南北鉄道共同調査団を乗せた列車が30日午前、京畿道坡州市長湍面の非武装地帯内の京義線鉄道通門を通過している=坡州/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 南北の鉄道連結・現代化事業のための北側区間共同調査は、京義線(30日~12月5日、開城(ケソン)~新義州(シンウィジュ)区間約400キロメートル)→東海線(12月8~17日、金剛山(クムガンサン)~豆満江(トゥマンガン)区間約800キロメートル)の順で、18日間1200キロメートルにかけて進行される。北側の平羅線(宅奄(テガム)~安辺(アンビョン))を利用して京義線から東海線に移動し、再び南に帰還する日程まで含めれば、南側の列車が2600キロメートルに及ぶ鉄道区間を走ることになる。板門駅で機関車を北側のものに変え客貨車3両を付け加えた。

南北鉄道連結と鉄道現代化事業のための北側区間共同調査が始まった30日、北朝鮮の板門駅で南側の列車(右側)と北側の列車が連結されている=統一部提供//ハンギョレ新聞社

 南側の調査団員は、この期間を通じて列車内で会議をし食事と睡眠をとらなければならない。当然“準備物”が多い。南側の列車編成(機関車+客貨車6両)にタンクローリー(5万5000リットル)-発電車(300キロワット)-客車(72席)だけでなく、寝台車(2階/28席)-寝食車(事務/洗顔)-給水車が用意されたのもそのためだ。特に寝食車には、冷蔵庫・洗濯機・乾燥器・電気釜・電子レンジなど世帯道具が多数用意されている。寝食車両にはミネラルウォーター・即席ライス・カップラーメンなどが満載されている。

 この日午前6時40分にソウル駅を出発した列車が一時停車した都羅山駅では、8時25分から“歓送行事”が進行された。チョ・ミョンギュン統一部長官は祝辞で「今や28人の調査団の皆さんは誰も行ってみることのできなかった北朝鮮の駅と北の山川を訪問することになる」として「寒い季節なので健康と安全に留意して、北側の鉄道部門従事者と協力して任務をしっかり遂行するようお願いする」と明らかにした。キム・ヒョンミ国土部長官は「今日の出征式は、南北共同繁栄の開始を知らせる信号弾になり、島のように閉じ込められていた朝鮮半島の経済領土をユーラシア大陸にまで拡張する触媒になるだろう」と祝辞をした。

 歓送行事には、国会国土交通委員会と南北経済協力特別委員会委員らも共にした。特に文在寅(ムン・ジェイン)政府の対北朝鮮政策に批判的な自由韓国党所属のパク・スンジャ国土委委員長が参加して「南北経済協力がうまくいってほしいですね」と成功を祈る言葉をかけて目を引いた。パク委員長は「京義線が連結されれば、30年間に140兆ウォン(約14兆円)の経済効果があるという予測が出ているが、シルクロードを連想させる」として「北朝鮮のインフラ開発をめぐる中国・ロシア・日本などの周辺強国との競争で主導権を持てるよう、綿密に推進しなければならない」と激励の注文をした。統一部長官出身で国土委所属のチョン・ドンヨン民主平和党代表は「『鉄道は党を超える』という次元でパク・スンジャ議員がこの席を輝かせた。もう一度拍手を送ろう」として「いよいよ経済協力ができる」と喜んだ。

イ・ジェフン先任記者、都羅山/共同取材団 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/872588.html韓国語原文入力:2018-11-30 21:31
訳J.S

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