北朝鮮が米国に公開要求する非核化相応措置の焦点を「終戦宣言問題」から「制裁問題」へと急速に切り替えている。今月7日のマイク・ポンペオ米国務長官の第4回訪朝以降、目立つ変化だ。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とポンペオ長官の「平壌談判」を機に、終戦宣言問題は解決したためと分析される。第2回朝米首脳会談の事前「実務協議」の性格を帯びるチェ・ソンヒ外務副相とスティーブン・ビーガン米国務省対北政策特別代表の会談を前に、終戦宣言のほかにも「制裁緩和」問題を交渉のテーブルでの主要議題にするという強い意志をうかがわせる。
北朝鮮の対外用メディアである「朝鮮中央通信」は16日、「米国から聞こえてくる荒っぽい声は何を物語っているのか」という個人筆名の論評で、「我々が核実験をやめて、大陸間弾道ロケットの発射を中止してから、かなりの時間が経った。ならば、これに対する『制裁措置』も消えるのが順当であろう」とし、米国側の「制裁維持・強化」方針に狙いを定めた。「もらった分だけ返すのが筋なのに、もらうだけで返すことを知らないから、『鶏を飲み込んでもげっぷ一つしない米国』という非難の声が聞こえるのも当然だ」と指摘した。3247字の同論評には、「制裁」が17回も登場した。一方、「終戦宣言」に関する言及は一度もなかった。
これに先立ち、北朝鮮はポンペオ長官の3度目の訪朝(7月6~7日)に関連した外務省報道官談話(7月7日)で、終戦宣言の問題を公に取り上げて以来、米国の相応措置の代表的な例として「終戦宣言」を挙げてきた。6・12朝米首脳会談以降、北朝鮮の高官が公式・公開発言で「制裁」に触れたのは、「制裁が我々の不信を増幅させることが問題だ」というリ・ヨンホ外務相の国連総会基調演説(9月29日)が初めてだ。ただし、北朝鮮はその後も終戦宣言の問題を強く提起してきた。「終戦は、誰が誰かに与える贈り物ではない」という今月2日の論評が代表的な事例だ。
しかし「金正恩・ポンペオ談判」以降、対米要求の焦点が変わった。今月9日、ロシアのモスクワで開かれた朝中ロ3カ国外相交渉後に発表した共同報道文で、「対北朝鮮制裁措置の見直しに着手しなければならない」と明らかにしたのも同じ流れだ。朝米関係に詳しい外交消息筋は「ポンペオ長官の4度目の訪朝のときに、終戦宣言問題はある程度片付いたと判断したためだろう」と指摘した。実際、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は欧州歴訪前の12日、英国のBBCとのインタビューで、「終戦宣言は時期の問題にすぎず、必ず実現する」と述べた。