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[ニュース分析]FTA改定に向けた韓米の初交渉…米国の自動車集中攻撃で神経戦

登録:2018-01-08 05:22 修正:2018-01-08 16:28
今月5日(現地時間)、米ワシントンDCの通商代表部会議室でユ・ミョンヒ産業通商資源部通商政策局長(首席代表)やマイケル・ビモン米通商代表部代表補など両国政府代表団が「韓米自由貿易協定(FTA)第1次改定交渉」を開始している=産業通商資源部提供//ハンギョレ新聞社

 「(最初の交渉のテーブルで向かい合ってみると)容易でない交渉であることは事実のようだ。今日把握した互いの敏感な問題を今後いかに処理していくかをめぐり、(両国が)神経戦を繰り広げていくだろう」

 5日夜(現地時間)、米ワシントンで韓米自由貿易協定(FTA)改定に向けた第1次交渉が終わった後、韓国側首席代表であるユ・ミョンヒ通商交渉本部通商政策局長は韓国の特派員団にこのように語った。

 今回の第1次交渉では、韓米はいずれも“突発的なイシュー”は取り出さなかったという。ユ局長は、互いの“カード”をすべて公開したのかという質問に対し、「これからさらに何か出るかも知れないが、ひとまず両者が優先的に関心を持つ事案について十分な意見交換が行われた。互いの立場を詳細に把握する効果があった」と答えた。

対米貿易収支の動向//ハンギョレ新聞社

 両国いずれも具体的な内容は明らかにしなかったが、交渉後の短い会見内容を総合すると、今後は従来の協定文の条項や譲許案の関税撤廃・削減のスケジュール調整よりは、自動車や鉄鋼など、特定品目にわたる“実利の追求”に向けた交渉構図が形成される公算が高くなった。表面的には「改定」交渉にもかかわらず、今後、主要争点が両国間の通商懸案としてすでに浮上した品目をめぐる争いが展開される可能性が高まったということだ。

 「貿易収支不均衡の解消」を目的とした今回の第一次改定交渉で、米国は自動車部品を含めた自動車分野を集中提起したという。自動車分野は2016年、韓国の対米商品収支の黒字(277億ドル・米国の統計)のうち、ほとんど(240億ドル)を占めるほど、対米輸出1位品目だ。米通商代表部(USTR)は交渉後、「自動車と自動車部品などの主要産業品目でさらに公正な相互貿易を進め、多くのまたは特定分野の輸出に影響を与える貿易障壁の解消に向けた提案を議論した」と明らかにした。

 自動車と自動車部品は既に無関税である。米国は、米国産輸入車に対する韓国当局の安全規制や排出ガス環境規制など「非関税障壁」の撤廃を集中的に要求したという。現行協定は韓国安全基準を満たしていない自動車でも、米国安全基準を満たせば、1社当たり2万5千台まで輸入できるようにクォーター(割当)を設けているが、このクォーターをなくすか増やしてほしいということだ。特恵関税を適用される原産地規定と関連しては、現代・起亜自動車蔚山(ウルサン)工場や米国現地工場で使われる自動車部品の一部を特定国(米国)製品だけを使うべきだという敏感な要求もしたという。安価な中国産の鉄鋼が韓国を経て、米国に迂回輸出されるのを防ぐためとして、鉄鋼品目における原産地基準の強化も提起したとされる。

 米国が協定文の条項の改定自体より、既存の協定の“履行問題”や個別品目を問題視するのは、「貿易収支不均衡の解消」という目的の達成に向けた最善の戦略と判断したためと分析される。韓国の通商当局は「米国の貿易収支赤字の拡大は、協定自体よりも両国の経済成長率と産業構造などのマクロ・ミクロ経済環境の相違によるもの」と分析しているが、米国も、従来の段階的関税撤廃あるいは縮減の履行スケジュールを変更するよりは、巨大赤字品目の自動車・鉄鋼で各種非関税障壁や原産地規定を見直した方が有利と考えていると見ている。特に協定文を改めなくても、昨年の対米貿易収支の赤字(179億ドル)が2016年(232億ドル)より大きく減ったという点も、米国が個別品目を中心とした実利型戦略を持ち出した背景に挙げられる。

 韓国通商当局は、自国の優先主義を標榜したトランプ米大統領の任期内には対米貿易収支黒字の減少は避けられないものと見ており、代わりに米国が韓国産鉄鋼や洗濯機、太陽光パネルなどに課している輸入規制など“通商懸案”の解決に尽力する雰囲気だ。通商交渉本部は第1次交渉直後に「当方は投資者対国家の紛争解決(ISDS)や貿易救済などを関心分野として提起した」と明らかにした。

チョ・ゲワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/826655.html韓国語原文入力:2018-01-07 21:56
訳H.J

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