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「ヤングヤングフェミ」の誕生…「江南駅10番出口は私たちの人生を変えた」

登録:2017-05-16 23:35 修正:2017-05-20 06:14
昨年5月、江南駅女性殺人事件が起きた後最初の週末の21日午後、江南駅10番出口の前に集まった市民たちが犠牲者を追悼している=イ・チョンア記者//ハンギョレ新聞社

 昨年5月17日未明、ソウル江南駅付近の商店街公用トイレで凶器で刺された23歳の女性が死亡した。数日間で江南駅10番出口にはポストイットが数万枚はりつけられた。若い女性の多くは、深夜に公用トイレを使用したことが事件の原因であるように糊塗するのに反対した。社会に蔓延した女性蔑視と性差別など「女性嫌悪」が本当の理由だと事件の性格を規定した。彼女らは「江南駅女性殺人事件」をきっかけに“フェミニスト”になり、グループを作り、行動を開始した。1990年代に登場した「ヤング(ヨン)フェミ(young feminist・若いフェミニスト)から取った「ヤングヤング(ヨンヨン)フェミ」(「ヤングフェミ」よりもっと若いという趣旨の単語)の誕生だ。彼女らは「私もいつでも被害者になり得る」という自覚から勇気を出したと告白した。

■江南駅10番出口、フェミニストへの転換

 大学院生のイ・ダウンさん(26)は「昨年5月、江南駅追悼現場にいた4時間が人生を変えた」と話した。彼女は当時、たくさんのポストイットに書かれた言葉と自由発言を見ながら「『私一人だけがこんなに辛かったのではなかったんだ』ということを発見した」とし、「自己検閲する性格だったが、帰り道でずっしりとした熱い思いを抑えることができなかった」と話した。イさんは準備していた中国留学には行かず、今年3月に梨花女子大学女性学科大学院に進学した。イさんは「ジェンダーに全く疎かった1年前の私が想像もできなかったこと」だと話した。

 フェミニストのグループ「花火フェミアクション」で活動する大学生のイ・カヒョンさん(24)は「事件前には偏見が怖くて“フェミニスト”とも言えなかった。江南駅で『私がいつ死んでもおかしくない』と自覚するようになり、勇気を得た」と話した。江南駅事件をきっかけとして活動を開始した「フェミダンダン」所属の会社員のホン・スンミンさん(25)も似ている。事件直後、花一輪でも置いて来ようと思って江南駅に行き、大きな衝撃を受けた。ホンさんは「追悼はデモよりも敷居が低くて行く決心がついたが、そこで『私はフェミニスト、行動する人』という自覚と勇気が出てきた」と話した。「フェミダンダン」は事件直後、江南駅周辺でこの道にいる誰もが被害者になり得るという趣旨で、鏡を持ったまま行進する「鏡行動」を行ったりもした。

■堕胎罪の処罰強化の白紙化、集会での嫌悪発言禁止引き出す

 このように誕生した「ヤングヤングフェミ」たちは、この1年間女性関連の各種問題に声を上げた。「堕胎罪廃止」を要求した「黒いデモ」が代表的だ。昨年9月、保健福祉部が人工妊娠中絶手術を執刀した医師の資格停止期間を従来の1カ月から最大で1年に延ばすという行政規則改定案を立法予告すると、彼女らは「私の子宮は私のもの」と叫びながら、黒い服を着て2回にわたりデモを行った。福祉部は立法予告して1カ月目にこれを白紙化した。

昨年、人工妊娠中絶手術を執刀した医療人に対する処罰を強化する政府の行政規則立法予告案に抗議する女性たちが「堕胎罪廃止」を要求し、「黒いデモ」を進めた=フェミダンダン提供//ハンギョレ新聞社

 彼女らは弾劾ろうそく集会の政局で「集会内のセクハラ」や「集会中の女性卑下発言」問題を水面上に引き上げたりもした。イ・カヒョンさんは「集会現場にいつもあった女性嫌悪・性差別的発言と行動を問題として認識させるというのが最も大きな成果だった」と話した。DJ DOCの歌の歌詞は「女性嫌悪議論」の末に本舞台で歌われなかった。

 昨年7月、声優のキム・ジャヨンさんが、女性卑下を「ミラーリング」することで有名になったインターネット・コミュニティ「メガリア」の後援Tシャツを着たとして、ゲーム会社ネクソンとの契約が解約されると、彼女らは電撃的にネクソンに抗議するデモに乗り出した。女性の体に対する束縛を拒否した「天下第一わき毛大会」や、「盆正月労働ぶっ壊し」イベントを開き、金浦(キムポ)空港の掃除労働者たちが処遇の改善を要求して断食闘争を展開すると「女性労働評価の切り下げを中止せよ」と連帯もした。めまぐるしい1年だ。

 江南駅事件以後登場したフェミニストグループたちは3月、連帯団体「汎フェミネットワーク」を発足した。汎フェミネットワークが主管し、17日夕方に江南駅近くで開かれる1周年の追悼祭の名前は「私たちの恐怖は勇気となって帰って来た」である。

パク・スジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
昨年6月、花火フェミアクションがソウル中区太平路のプレスセンター前で加害者中心的なマスコミの報道と社会の女性嫌悪を助長する江南駅殺人事件関連のマスコミ報道を批判する記者会見を開いている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

「女性嫌悪の犯罪」「弱者対象の犯行」論争、いまだに

 江南駅女性殺人事件から1年がたったが、この事件が「女性嫌悪犯罪なのか」をめぐって議論が続いている。

 警察と検察は事件発生直後から「精神疾患者の通り魔犯罪であり、女性嫌悪犯罪ではない」という立場を維持した。裁判所も「キム容疑者が女性を嫌悪したというより、男性を恐れ、相対的に弱者である女性を犯行の対象にした」と判決文で明らかにした。

 しかし、女性界は事件の脈絡にもっと注目しなければならないと見ている。江南駅事件も数多くの女性対象犯罪の一つであり、そのような犯罪の背景には構造的な性差別や女性に対する蔑視やからかいなど「女性嫌悪」が充満しているという見方だ。キム・ミンジョン元刑事政策研究院委嘱研究員(フロリダ州立大学犯罪学博士修了)は「当該犯罪を『嫌悪犯罪』で処罰してほしいというのではなく、そのような犯行が社会的に蔓延した『女性嫌悪』から始まったものだと主張している」と話した。刑事政策研究院のチャン・ダヘ副研究委員は「スコットランド政府は『女性を対象とした暴力は性差別構造に起因している』という判断によって2014年から暴力予防政策の一環として各種の性平等政策を展開している」とし、「女性嫌悪が蔓延した社会を直視し、予防策を策定することが重要だ」と指摘した。

コ・ハンソル、パク・スジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/795000.html 韓国語原文入力:2017-05-16 21:51
訳M.C(2888字)

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