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与党を支持してきたのにTHAAD配備…冷めない星州の怒り

登録:2016-07-28 23:03 修正:2016-07-29 08:52
28日、慶尚北道星州郡星州邑にある星州郡庁前にTHAAD配備に抗議し「国を売った朴槿恵は下野せよ」と書かれた朴大統領を批判する横断幕がかかっている=星州/キム・イルウ記者/ /ハンギョレ新聞社

 86.00%。慶尚北道星州(ソンジュ)郡は2012年12月の第18代大統領選挙で朴槿恵(パククネ)大統領に圧倒的な支持を送った。当時、全国の17市道の中で朴大統領は慶尚北道で最も多い得票率(80.82%)をあげた。星州は、慶尚北道の23市郡の中で朴大統領に投票した割合が4番目に高かった。

 今年4月の第20代総選挙でも、星州は政党に投票する比例代表選挙で、セヌリ党に66.10%の票を集めた。これは全国平均の約2倍であり、慶尚北道でも3番目に高かい数値だ。2014年6月の第6回地方選挙でも、星州では郡守をはじめ慶尚北道議員2人、星州郡議員8人全員がセヌリ党候補だった。

 これまで与党一色だった星州のいたるところに、今月28日には次のような横断幕が広げられていた。

 「次回には騙されない。ケ(犬)ヌリ党(犬とセヌリ党を合わせた造語)を木っ端微塵にしよう」、「来年の大統領選挙は絶対支持しない。セヌリ党に反対する」、「国を売り渡した朴槿恵は下野せよ」、「裏切り者の末路をはっきり見せてやる」、「裏切りのアイコンのケヌリ党、その首長は朴槿恵」、「先頭に立って支持したのに、返ってきたのはTHAAD」。

 これら横断幕は、今月13日、国防部が星州に高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)を配備することを発表した後、登場し始めた。チョン・ジンソク院内代表などセヌリ党指導部が星州を訪ねてきた26日から、星州にはセヌリ党と朴大統領を批判する横断幕がさらに増えている。ユ・スンミン議員に「裏切りの政治家」とのレッテルを貼った朴大統領が、星州で「裏切り者」と非難されている。

今月12日から毎日夕方、慶尚北道星州郡庁前では住民2千人ほどが参加するなか、THAAD配備に反対するキャンドル集会が開かれている。「裏切りのアイコンのケ(犬)ヌリ党!その首長は朴槿恵!」と書かれた横断幕が見える。写真は27日のキャンドル集会//ハンギョレ新聞社

 星州住民たちが作った「THAAD配備の撤回を求める星州闘争委員会」は星州郡庁前にテントを張り、セヌリ党離党届の提出を呼び掛けている。星州は人口が約4万5000だが、そのうち約4100人がセヌリ党の党員だ。13日にTHAAD配備が発表されてから、星州でセヌリ党離党届けを提出した住民はこれまで1000人に及ぶ。イ・ワンヨン議員とキム・ハンゴン星州郡守、星州地域の地方議員たちにセヌリ党からの離党を求める声も高まっている。今月12日から毎晩星州郡庁前で開かれるTHAAD配備に反対するキャンドル集会にも、住民1000~2000人が参加している。

 星州へのTHAAD配備が発表された当初は、住民たちも単に「星州へのTHAAD配備反対」を叫んでいた。ところが今は「朝鮮半島へのTHAAD配備に反対」する声も高まっている。「星州にTHAADが来なければいいというと、地域エゴとしか映らない」とうのがその理由だ。 一部の住民らは闘争委員会が政府との戦いに弱腰だと不満を示している。

 闘争委員会共同委員長を務めるチョン・ヨンギル慶尚北道議員は「星州が田舎で人口も少なく、与党の支持があまりにも強いから、セヌリ党で簡単だと考えたようだ。星州住民からすると、ある日起きたら星州がTHAAD配備地になっていたことになる。セヌリ党を支持していたのだから、それだけ政府与党に対する失望感と裏切られた気持ちも大きいようだ」と語った。

 現在、住民たちはマスコミの報道に対する不満も高い。朝鮮日報やTV朝鮮、連合ニュースなどは、今月15日に黄教安(ファンギョアン)首相が星州を訪れた際、住民約3000人が参加した集会について、「外部勢力の介入」疑惑を持ちだしてきた。住民の間では、これら新聞や放送に対する不買運動に乗り出すべきだという声まであがっており、これらのメディアの取材を拒否している。憲法第21条には「すべての国民は、集会・結社の自由を持つ」となっている。住民の間ではもうこの憲法条項を「すべての国民は自分が居住する地域だけで集会・結社の自由を持つ」に改めなければならない状況だという冗談まで言われている。

 星州郡農民会のイ・ジェドン会長は「セウォル号事故当時、遺族が政府とマスコミにされたことを星州住民が今回、そのままやられている。政府とマスコミが星州を孤立させるために意図的に『外部勢力』というとんでもない話を持ち出した」と批判した。イ会長はまた、「私を含めた本物の星州住民を外部勢力のように書き立てていたのに、今はこれ以上書くことがないのか、少し静かになった」と話した。

 今月13日から星州住民たちはマクワウリ農業のような生業を後回しにしてまで、いつ終わるも知れない厳しい戦いを半月間にわたり続けている。「票田の民心をなだめる」ために星州を訪れるセヌリ党とは異なり、星州に来る野党議員は珍しい。これまで星州を訪問し、住民の声を直接聞いた野党議員は、共に民主党のキム・ヒョングォン議員(初当選)と正義党のキム・ジョンデ議員(初当選)ぐらいだ。再選した無所属のホン・ウィラク議員も星州を訪れた。

 「選挙のたびにセヌリ党に票を集めたのに、THAAD配備は自業自得」という一部の視線に対して、星州住民たちはもどかしさを滲ませる。星州には野党候補が出馬しようとしないから、与党に投票するしかないというのだ。実際2014年の地方選挙で、星州郡守にはセヌリ党候補1人と無所属候補2人だけが出馬した。慶尚北道議員を選ぶ2つの選挙区にはセヌリ党候補だけが1人ずつ出馬し、無投票当選した。星州郡議員を選ぶ3つの選挙区でも、セヌリ党候補と無所属候補だけが出馬した。

星州/キム・イルウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-07-28 17:33

https://www.hani.co.kr/arti/society/area/754305.html 訳H.J

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