キム・ソヌ、キム・ミンジョン、パク・ソンウなど
詩人 34人が生徒たちの誕生日の詩を書き
治癒空間「イウッ(隣り)」のプロジェクトを本に
青々とした生命が真っ黒い海の底に水葬された後も、死んだ子の誕生日は間違いなくやってくる。当然祝いと感謝の席であるはずの誕生日の席は、悲しく恋しい思いが支配する涙の宴となり、親と友人達は最後にただの一度だけでも死んだ子の言葉を聞きたいと思う。 しかしあの世との距離が厳然としてある以上、死者の声をこの世の者がどうやって聞くことができようか。
ギリシア神話のヘルメスでも呼んで来なければ到底不可能なこの至難の課業のために、詩人たちが動いた。 詩人が死んだ子になって、誕生祝いに集まった家族と友達にあいさつを伝えることにしたのだ。セウォル号で犠牲になった檀園高の生徒たちの声を詩人 34人が書いた「誕生日の詩」のプロジェクトはこうして生まれた。
『あたし、チョンスルだけど、これまで育ててくださって、ありがとう』 / この言葉は、いくらあたしが遠く旅立っても/ いつでも戻ってきて聞かせてあげたい言葉、/ この言葉は、いくらあたしが帰って来ることができなくても/ 紙の船にでも乗せて聞かせてあげたい言葉
亡くなったパク・チョンスルさんの声をホ・スギョン詩人が書いた「あたし、チョンスルだけど、これまで育ててくださって、ありがとう」の詩で、チョンスルは叔母と祖父祖母そして母親に、順番に暖かいあいさつの言葉を掛けた後、友達に向かって言う。
手をしっかり握って/ 行こう / 堂々と / 私たちは失ったものがあるから/ これからは守らなければならないものもあると言おう / 堂々と、悲しみをのんで
この詩に見るように、誕生日の詩は悲しみよりは慰めと励まし、誓いという方向で書かれ、読まれる。セウォル号の惨事以後、安山に治癒空間「イウッ(隣り)」を設けて遺族を助けている精神健康医学科専門医チョン・ヘシン氏と心理企画家のイ・ミョンス氏夫妻が、死んだ子供達の誕生日に合わせて詩を一篇ずつ詩人に依頼し、遺族と友達が集まった誕生日の席で皆一緒に朗読する方式で献呈される。 詩人は前もって遺族や知り合いが死んだ生徒について書いた文や写真などの資料を受け取って検討し、最大限その子の声に近い詩を書こうと努めた。
アン・ジュングン君の誕生日の詩「父さん母さん、僕、チュングンです」を書いてこのプロジェクトの扉を開いたキム・ソンウ詩人は「セウォル号の苦痛に共に加わり、その苦しい思いを解く方法をどんなことをしても探さなければと思っていたので、依頼が来た時とにかく書かなければならないと思った」と言い、「詩に何ができるかについての問いと懐疑が増大している時代にあって、私だけでなく参加した詩人が皆、詩人としての自己更新を経験しただろうという気がする」と語った。
名前も似ているパク・ソンホ君の誕生日の詩を書いたパク・ソンウ詩人も「普段飲んでいなかった酒を飲まなければならないほど心が痛み、書くのが本当に辛かった」と言い、「けれども、詩を書いたあとソンホのお母さんと何度も携帯メールを取り交わしながら、ソンホに代わって慰めて上げて甲斐を感じた」と話した。 キム・ジェフン君の誕生日の詩を書き、この詩集を本に出しもしたキム・ミンジョン詩人も「詩を書いた後チェフンのお母さんが電話で『うちのチェフンはほんとに元気でいますか?』と尋ねてこられて『もちろんです、全く元気です。明るいです!』と申し上げました」と言い「その電話の後、お母さんが元気を出して全国を回って奉仕をされるなど、とても状態がよくなられたと聞いたし、私自身もとても幸せだった」と語った。
お父さん、お父さん/ 私は悲しみの大きな洪水のあとに浮かぶ虹のような子/ 天国で一番素敵な名前を持った子にしてくれてありがとう/ お母さん、お母さん/ 私が歌いたい歌の中で一番澄み切った歌/ 真実を明らかにする歌を一緒に歌ってくれてありがとう//お母さん、お父さん、あの日以後も、もっともっと愛してくれてありがとう/ お母さん、お父さん、痛いほど愛してくれてありがとう/ お母さん、お父さん、私のために歩いて、私のために食を断ち、私のために叫び、闘って/ 私はこの世で最も誠実で正直な父さん母さんとして生きようとするお二人の子、イェウンです/ 私はあの日以後も永遠に愛される子、私たち皆のイェウン/ 今日は私の誕生日です(ユ・イェウンさんの声をチン・ウニョン詩人が書いた「あの日以後」から)
『母さん。あたしよ』には、チョン・クッピョル、 キム・ソヨン、パク・ヨンジュン、イム・ギョンソブなどの詩人が参加した。 表紙絵の「春の遠足」のキム・ソンドゥ画伯とデザイナー、外注編集者、印刷所まで皆が才能寄付をし、印税収益は全て次の誕生日の詩集を出すのに使われる。
韓国語原文入力2015-12-17 20:43
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