一般人より発病率が高ければ
統計と関係なく問題がある
職業病認定可否 最初の調査機関を
被害者が選択できるようにすべき
サムスン電子に続きSKハイニックスも白血病など半導体労災問題の公論化を受け入れたが、問題の根本的解決のためには未だ先が長い。 ペク・ドミョン ソウル大学保健大学院教授(産業保健専門医・写真)に韓国半導体産業環境の今日と明日を尋ねた。 ペク教授は2009年にサムスン電子・ハイニックスなど業界の依頼を受け、半導体事業場危険性評価を遂行したソウル大産学協力団の調査団長を務めるなど、この分野の国内最高権威者だ。
-サムスン電子とハイニックスは相変らず作業環境と白血病などの因果性は否定している。
「(白血病の発病率などが)統計的に有意ではなく、現時点で発ガン物質が発見されていないという論理で職業病を認めようとしない。 だが(政府の疫学調査結果のとおり)一般人より発病率が高いならば、統計的有意性とは関係なく問題があると判断できる。 発ガン物質の場合、現時点で発見されないからといって、以前にもなかったという証明にはならない。 実際、以前には発ガン物質管理という概念自体がなかったし、発ガン物質を管理したという資料や根拠も全くない」
-政府の疫学調査は信頼に足るか?
「与えられた条件で最大限の資料を土台にしたが、最善の資料ではない。企業らが設立初期から勤務した全員に対する人的資料を提供しなかった。 1990年代に退社した大部分の人々の資料も(政府研究機関が)得られなかった。 (政府が)会社を圧迫して人的資料をきちんと確保し、彼らの勤務履歴も分析できるならばさらに意味ある調査になるだろう」
-職業病であることを事実上労働者が立証する仕組みになっているのは不合理だという指摘がある。
「職業病に対する調査を行う時、公式的な最初の調査機関を被害者が選択できるようにすれば、問題提起がより容易になるという長所がある。 これはあたかも特別検事を誰が選ぶのかという問題と同じだ。 そして被害者が一定の基準を越える根拠を提示すれば、次の段階で事業主がこれに反証する責任を負わせることもできる」
-先端産業であるため機密が過度に多い。職業病であることを証明することは極めて難しく見える。
「先端産業という特性のために、企業秘密が非常に広範囲で無批判的に受け入れられている。 半導体産業では新たな物質や工程が頻繁に導入されたり変更される。 (その危険性に対する)疑いが確信になるまでには多くの手続きを必要とする。 したがって、安全と健康を損傷する秘密は保護せず、新物質は一定の危険性を濾過する装置と段階を経て導入することを原則にしなければならない」
-半導体産業の持続可能な成長は不可能なのか?
「現在の半導体産業の原型は1960年代にアイビーエム(IBM)が作った。 だが、ガスと有機溶剤の管理が重要なイシューとして登場し、アメリカのシリコンバレー工場は撤収した。 現在、有機溶剤を使わずに液化二酸化炭素を使う他の方式の半導体製造工程が完成されつつあると理解している。 特にメモリーではないシステム半導体の場合、少量で多品種を生産することが必要で、そのために生産方式は現状とは異なると承知している」
イム・インテク記者