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[ダウムとカカオの合併] IT大手「ダウム」、「カカオ」、「ネイバー」経営者たちの知られざる因縁

登録:2014-05-27 00:25 修正:2014-05-28 02:26
左からキム・ボムス カカオ理事会議長、イ・ジェウン ダウムコミュニケーション創業者、イ・ヘジン ネイバー理事会議長

26日にダウムコミュニケーションとカカオの合併が発表されたことで、競合するネイバーも含めた三社の経営者の因縁が改めて注目されている。 カカオのキム・ボムス議長は、同社を創業する前に設立して名を馳せた「ハンゲーム」をネイバーに売り渡し、ダウムコミュニケーションの無料メール「ハンメール」に押され苦戦を強いられていたネイバーを飛躍させるきっかけを作った。 ところが今回は、メッセンジャーアプリ「カカオトーク」のサービス業者であるカカオをダウムに奪われ、カカオトークを翼としたダウムに戦いを挑まれることになった。

 さらに、今回の合併を通じ、キム・ボムス議長は「ダウムカカオ」の筆頭株主になった。 ネイバーの筆頭株主であるイ・ヘジン議長との間で、国内モバイル・IT市場だけでなく、世界のモバイルメッセンジャー市場で生き残りを賭けた大勝負が避けられない見通しだ。

 キム・ボムス議長とイ・ヘジン議長の縁は古い。1966年生まれでイ議長より一歳年上のキム議長は、同じソウル大学に一浪して進学したため、学年も同じだった。 キム議長は産業工学科、イ議長はコンピュータ工学科に1986年に入学し、1990年に卒業。キム議長はソウル大学、イ議長はKIST(韓国科学技術研究院)で修士課程を終了した。 二人は1992年にサムスングループの「サムスンSDS」で再会する。その後、キム議長は1998年にゲームポータルの「ハンゲーム」を先んじて創業し、翌年の1999年にイ議長も検索ポータルの「ネイバー」で独自の道を選ぶことになる。

二人は2000年にハンゲームとネイバーを合併させ、NHNを誕生させる。“神の一手”と呼ばれるこの合併で、ネイバーはポータル検索市場で首位だったダウムを凌駕する。 2007年にキム議長はNHN代表を退き、イ議長はNHNをさらに成長させ独走態勢に入る。

 渡米後、ベンチャー企業の産屋と言われるカリフォルニア州サンノゼで新しい道を見つけたキム議長は、2010年にモバイルメッセンジャーの「カカオトーク」を世に出す。カカオトークは“国民メッセンジャー”と呼ばれるほど親しまれ、SNSの「カカオストーリー」やゲームなどに事業領域を拡大した。宿命のライバルであるキム議長とイ議長の戦いが始まったわけだ。ネイバーは“カカオ旋風”に「ライン」で対応したが、国内市場ではカカオトークを越えることはできなかった。ネイバーはグローバル市場で知名度と影響力を増すことで、迂回してカカオを牽制することになる。

 ネイバーのイ議長がキム議長のカカオを脅かしたのとは異なり、キム議長はネイバーの菜園であるPC市場への進出に消極的だった。すでに巨大恐竜になってしまったネイバーを相手にすることは容易でないという判断からだ。だが、ネイバーがラインやバンドなどで、カカオの菜園であるモバイルメッセンジャー市場に対する攻勢を強化するや、キム議長も勝負の賭けに出ざるを得なくなった。 ネイバーをベースに日本をはじめアジアを牛耳るラインの成功は、キム議長をいらだたせた。

 そんなキム議長にとり、ダウムと手を握るのは必須の選択だったいえる。カカオはスマートフォンの普及と共に到来したモバイル インターネットの時代にいち早く対応して、カカオトークを一気に国民メッセンジャーにさせた。 だが、カカオだけでは限界があった。 投資資金は上場を通じて解決できるが、メッセンジャーに入れるコンテンツは金では買えなかった。コンテンツなしではカカオトーク利用者を留めておくことはできない。

 ダウムのイ・ジェウン元代表も同社を創業して今年で20周年を迎え、新たな生命力を必要としていた。過去の栄光を取り戻す思いも強かった。韓国を代表するEメールだったハンメールの栄光と共に、インターネットをリードしたダウムだが、その座を後発のネイバーに渡してしまった。モバイルインターネット時代の開幕と共に「マイピープル」というメッセンジャーアプリで復活を狙ったが、結果は成功的でなかった。 その間にネイバーはさらに遠くに行き、グーグルをはじめ外国業者の攻勢も次第に強まった。 万年NO.2の席に安住したくなかった彼は、これ以上差が広がる前にダウムに新たな翼をつけなければならないと考え、国民メッセンジャーを越え国民プラットホームに成長したモバイルインターネット時代のカカオトークは、最もふさわしい相手だった。

 結局、1955年にダウムを創業したイ元代表は、ハンメールにより一時は韓国を代表するポータルとなった馴染みの深い会社を、生まれてわずか7年のベンチャー企業に渡す決断を厭わなかった。ダウムの持分の13.7%を持つイ・ジェウンの合併会社の持分は4.1%に減り、筆頭株主から5大株主へと影響力が弱まる。これに対し、カカオが新法人の名でダウムを前面に出したという後日談も聞こえてくる。

 今後、イ元代表はこれまで行ってきた“社会的企業”の育成にまい進する計画だ。 ダウム関係者は「今までイ元代表は会社の持分を売り、ベンチャー企業のインキュベイティングやエンジェル投資などをしてきたが、今後はそちらの仕事に専念する予定だ」と語った。イ元代表が投資するベンチャー企業から、第2のカカオやネイバーが出てこないとも限らない。3人の因縁は現在も進行中である。

キム・ジェソプ記者 jskim@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/639143.html 韓国語原文入力:2014/05/26 22:12
訳J.S(2621字)

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