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"非正規職を正規職の防壁に…平等の世の中を忘却していました"

登録:2013-03-29 10:37 修正:2013-03-31 16:41

 不法派遣認定と社内下請け労働者の正規職化を要求して、チェ・ビョンスン、チョン・ウィボン氏など蔚山(ウルサン)現代車社内下請け労働者2人が鉄塔に上がって28日で163日目をむかえた。 双龍(サンヨン)自動車労組のハン・サンギュン前支部長とポク・キソン首席副支会長の高空籠城は129日目だ。

 現代車は最高裁と中央労働委員会の相次ぐ不法派遣判定も認めず、社内下請け労働者を新規採用するという既存態度を捨てていない。 双龍車問題に対する国政調査を行うと公言した政界は、大統領選挙後に目と耳を閉ざした。 このような問題に全力で立ち向かおうとする正規職労組も見当たらない。

 世界最長の労働時間に最高の労災率を記録する韓国では、ひたすら労働をするためにすべてを賭けなければならない。 我が社会は何をしているのだろうか? 現代車非正規職労組スタート10年目をむかえた日、現代車蔚山工場の正規職労働者が会社の全面的態度変化と正規職労組の覚醒を促す文を送ってきた。

 チェ・ビョンスン、チョン・ウィボン氏など蔚山現代車社内下請け労働者2人が鉄塔に上がって28日で163日目をむかえた。 キム・テヒョン記者

このままでは現代自動車が滅びます

 2003年現代自動車で非正規職労働者が労働組合を作って、2004年労働部が現代車社内下請けが不法派遣だと判定して10年の歳月が流れました。 最高裁で現代車正規職としての身分確認判決を受けたチェ・ビョンスン組合員と支会のチョン・ウィボン事務長が現代車非正規職の正規職化を要求して鉄塔に上がって座り込みを始めてからも160日が過ぎ、間もなく半年になろうとしています。 チョン・モング会長に人間性が少しでも残っているならば、これ以上このままに放置してはなりません。

世界最長の作業時間にやつれた‘労働貴族’
半分の賃金で辛い仕事を任せて
正義は消え、意識は腐って行き…
正規職労組‘非難と孤立’の崖っぷちに

最高裁も中労委も不法派遣 結論
まるで施しをするかのような姑息な新規採用やめろ
使用側の不法経営に同調・放棄せず
非正規職撤廃連帯闘争を始めるべき

 会社経営のためにも非正規職問題をこれ以上放置してはなりません。 会社の課長級以上の管理者はすでに3年にわたり本来の業務をせずに非正規職労働者たちがひょっとして占拠座り込みをしないだろうかと、工場の出入口と屋上入口で歩哨勤務に立っています。 徹夜で歩哨勤務に立っても、個人業務に対する能力評価のために退勤もできず、うとうとしながら仕事をする人が増えています。 非正規職ストライキ現場に動員されて相互暴力にまきこまれケガ人も続出しています。 抜けたくとも人事評価で下位5%判定を受ければ、PIP教育(力量強化教育)という退出プログラムで追いやられます。 大学を出てきて歩哨に立つために現代自動車に入社したのかという自尊感の崩壊に苦しむ管理者たちは会社業務に集中できるわけもありません。

 現場には正規職と非正規職が混在して作業をしているのに、社内下請け業者の独立的経営と労務管理だと隠蔽するために互いに話もするなという指針が下されています。 品質問題改善の主体である管理者らは歩哨に立ち、現場でひっきりなしに発生する品質問題は正規職と非正規職間の疎通が断絶した状態になり既に3年も車を作っているのです。 当然、米国販売市場で現代車の各種品質指数は急落し販売は減少しています。 非正規職問題のために会社が滅びるという困った声があちこちから出ています。 10年経っても解決できない経営陣に対する願望が時限爆弾状態です。

非正規職問題で正規職労組も孤立しています

 私は現代車支部の正規職組合員教育講師に志願しました。 歪曲されゆがんだ大工場の正規職労働運動、資本主義に奉仕する正規職労働者の人生の問題を攻撃的にあばき出し正すために最後の努力をしています。 古い慣行と誤った常識が一気には直せなくとも、今の状態が正しくないことを知っている組合員が増えれば、今よりは良い方向に転換されるだろうという期待を持っています。 世界最長時間の労働で過労死していくいわゆる‘労働貴族’の現実と、労働者間の身分差別と格差の象徴、社会両極化の象徴である非正規職問題の解決なしには現代自動車労働組合運動の正当性は認められることができず、社会的孤立で労働組合もまた滅びるほかはないという点を強調しています。

 正規職の半分の賃金を受け取っている非正規職が存在する限り、労働貴族、大工場正規職責任論、高賃金論、大工場利己主義、飽食な闘争から抜け出せません。 正規職の雇用安定もまた、会社はいつでも半分の賃金で済む非正規職に変えようとするために常時的雇用不安に苦しめられます。

 組合員のあやまちでありません。 このような有り様になったのは労組幹部と活動家の誤りです。 組合員に対して反省し告白し謝ります。 組合員は与えられた条件で非正規職を雇用安定の防壁として使おうという会社の誘惑に自分が生きるために選択したことであり、重労働の辛い仕事を押し付けて仕事が楽になり、それで非正規職の存在を望んだわけです。 そうした結果、差別を撤廃し平等な世の中を建設しようという約束を忘却し、意識は麻痺しました。 善悪を分ける正義感は消え去り、正規職労働者の意識は腐敗し堕落し労働者が労働者を絞り取る現場になりました。 自分が生きるために他人を殺すのは、強盗であり殺人です。 現代車正規職が生きるために非正規職を先に解雇させようという談合と共同謀議は、社会的非難の対象になってあまりあることなので、私たち皆が反省することから始めようと訴えます。

大工場正規職労働運動の機会

 私たちは87年に労働者大闘争をしながら熱心に働く人が良い暮らしをする世の中を作ろうと約束しました。 その道だけが労働解放であり、人間解放であるということを誰も否定しませんでした。 ところが、今の現代車現場を覗いて見れば正規職より熱心に働く非正規職を良い暮らしをできなくさせました。 平等な世の中を建設するという労働運動の目標を喪失して失敗した結果として現れています。

 現代車工場の塀の中でどんなことが起きているのかを知っている国民は、会社ではなく正規職労働運動を非難と指弾の対象にしました。 朝中東(訳注:朝鮮日報・中央日報・東亜日報)をはじめとする保守言論、経済新聞らはこの隙間に食い込み、相対的に高賃金を受け取っている正規職労働者に向けた非正規職労働者の憎悪心と敵がい心に火をつけました。 敵を以って敵を制圧するという‘以夷制夷’という悪魔の罠にかかったのです。 社会的孤立で立つ瀬がなくなった大工場労働者が非正規職問題解決の最も先頭に立たなければならない理由です。

 しかも最高裁は2度も現代車に不法派遣という判決を下しました。 去る3月19日には中央労働委員会が最高裁より一部縮小されたものの不法派遣という判定を下しました。 不法派遣は存在しないという現代車の主張は偽りであることがはっきりしました。 この間、まるで施しでもするかのように新規採用で不法派遣を隠蔽しようとしていた術策も、有用効果を喪失しました。 当事者の直接交渉を回避するすべも無く、法的交渉権者である金属労組が非正規職支会を交渉委員として通知して交渉をしようと言えば出て来なければなりません。 ここに正規職支部が元下請け共闘を復元し特別交渉に力を加えるならば、鬼に金棒です。 現代車正規職支部が闘争の大義名分を確保するためにも、大工場正規職労働運動がこの社会の真実を追求し‘正義の刃’という固有機能を回復する良い機会は今内部より外部で作られています。

再び正規職と非正規職が団結しなければなりません

 最高裁の判決と中労委の不法派遣判定は、現代車労使間で合意した非正規職関連のすべての合意が不法であることを判定したものなので、不法合意は原因無効になります。 現代車正規職支部は不法合意原因無効を宣言し、不法経営にこれ以上同調することも協力することもないことを明らかにし、元下請け共闘を復元して非正規職撤廃闘争に立ち上がらなければなりません。 現代車も非正規職問題を解決しなくてはならない最後の状況まで追い詰められているのです。

 会社だけに不法派遣の撤廃と正規職化を要求して、正規職支部が当然にしなければならないことを放棄していてはなりません。 当事者との合意を通じて非正規職労働者の正規職支部加入を遮断している支部運営規定を改正し、組合員として迎え入れなければなりません。 そうして不法派遣正規職化から除外されている非正規職労働者が団体協約の適用を受けられるよう道を開かなければなりません。 労働組合および労働関係調整法第35条の一般的拘束力と第36条の地域的拘束力に基づいて現代車支部に加入した非正規職労働者にも団体協約の効力を拡張し差別を撤廃し、処遇を改善する方向で積極的に先頭に立たなければなりません。 これがこの間労使談合で非正規職労働者に苦痛を抱かせ解決に積極的に取り組めなかった過去の過ちを赦されるための唯一の方法です。

 私は決心しました。自分から始めて、組合員と執行部、代議員と活動家と共に元下請け連帯闘争の復元の先頭に立って不法派遣を撤廃し、正規職化闘争を必ず勝利に導くために全力を尽くします。 まもなくチェ・ビョンスン、チョン・ウィボン組合員の鉄塔高空籠城が半年になります。 人間的に限りなく申し訳ありません。 はやく解決して、元気な姿でまた会って笑いながら焼酎一杯飲めるよう努力し実践します。

ハ・プヨン(金属労組現代車支部教育委員、前現代車労組副委員長)

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/580360.html 韓国語原文入力:2013/03/29 09:04
訳J.S(4146字)

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