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チェ・ジャンジブの民主主義論、市民政治運動を見過ごした"

登録:2011-11-23 12:32

原文入力:2011/11/22 20:16(2346字)
チェ・ウォンヒョン記者


政党・制度政治の限界を見れず
民主主義の根源価値である
‘自己統治’の重要性も見逃す
社会の政治潜在力を見るべき


←チェ・ジャンジブ名誉教授


既存政党に属していないアン・チョルス ソウル大教授が有力な大統領選挙走者として議論され、市民社会陣営候補であったパク・ウォンスン美しい財団常任理事が政党候補らを破りソウル市長に当選した。市民社会の活発な動きが政党中心の政界を圧迫している。2008年米国産牛肉輸入反対ろうそく集会が続いた時とも似ている。 これに対して「既存政党政治に対する不満と嫌悪の表出」という分析は共通的だが、その中に含まれる考えは交錯している。‘既存政治勢力に対する市民社会の勝利’と見る考え方がある反面、我が国社会の代表的政治学者に選ばれるチェ・ジャンジブ名誉教授(写真)はこれを‘ポピュリズム現象’と診断する。市民の政治的要求をまともに反映できるようにする政党体制改革が何よりも緊急な課題という主張だ。

←去る19日、ソウル高麗大で開かれた‘チェ・ジャンジブの韓国民主主義論’シンポジウムで参席者がチン・テウォン高麗大研究教授の司会で総合討論を行っている。この日のシンポジウムではチェ・ジャンジブ高麗大名誉教授の民主主義理論に対して批判的検討と問題提起がなされた。 高麗大民族文化研究院提供

19日高麗大学校民族文化研究院はチェ・ジャンジブ教授の民主主義理論を批判的に評価し、その成果と限界を整理するためという趣旨で‘チェ・ジャンジブの韓国民主主義論’という学術シンポジウムを開いた。韓国民主主義に関する新しい談論と理論的モデル、制度的展望を模索する研究を行う‘到来する韓国民主主義’企画研究チームが主導した行事だ。この間チェ教授の理論に対してはあちこちから批判が多く出されていたが、今回のように最初から討論会の主題として捉え全般的な検討をしたことは珍しい。

チェ・ジャンジブ教授は民主主義には、社会の多様な葛藤と利益を政治的に代表できる政党と政党体制が重要だと見る。しかし韓国社会は権威主義から民主主義に移行する過程で冷戦反共体制に基づく保守的政党体制を克服できず、それに伴い代表性と責任性を持った政党体制が整わなかったために民主主義の危機が続いていると分析する。まさに‘民主化以後の民主主義’談論だ。彼の理論は特に運動のみに寄り添って政党政治と議会政治を度外視した進歩・改革勢力に対する警告でもあった。

しかしこの日のシンポジウムではチェ教授の民主主義論に対し‘制度政治だけに食い込むために限界がある’という批判が提起された。発表者は急進民主主義、マルクス主義、生態主義、中道主義など各自それなりの枠組みで接近したが、議論が集中する地点は類似していた。 運動政治を排除して代議制・政党政治だけを主張するチェ教授の民主主義論が‘自己統治’という民主主義の根源的価値をなくしたのではないかということだ。こういう批判は制度政治の限界を克服できる動力を運動政治から発見しなければならないという主張に連結される。

パク・ヨンギュン建国(コングク)大研究教授は「チェ・ジャンジブ教授が‘現代の民主主義は人民の統治ではなく人民の同意に基づいた統治体制’と主張する時、彼は民主主義の理想的価値である‘自己統治’を放棄している」と指摘した。イ・スンウォン聖公会(ソンゴンフェ)大研究教授は「(チェ教授の理論に従えば)多様な政治主導者の姿と新しい政治空間がこれ以上現れずに、むしろ現在ある数多くの政治的なものが削除される」と指摘した。制度政治を強調するチェ教授は時には直接民主主義形態であらわれる市民の熱望を‘ポピュリズム’とし否定的に眺めるが、結局は制度政治を変える動力は運動政治に求められるのではないかという主張だ。

チェ教授の民主主義論に含まれた‘エリート主義’の危険性に対する警告も出てきた。ハ・スンウ慶煕(キョンヒ)大フマニタス(humanitas)カレッジ客員教授は「チェ教授の主張には大衆の政治参加に対する警戒心が隠れている」と指摘した。彼はチェ教授理論の土台に自然と社会を行政的に秩序化し統治しようと思う近代的熱望が敷かれていると指摘し、 「民主的政治体系の確立も重要だが、政治社会と市民社会を区分せずに社会の政治的潜在力を強化させられる多様な努力が必要だ」と主張した。

一方、チン・テウォン高麗大研究教授は自由主義政治哲学者のチェ・ジャンジブ教授をフランスのマルクス主義政治哲学者であるエティエン パリバルと比較する風変わりな試みを展開した。すぐには接点がないように見えるが、民主主義を躍動的に把握し‘民主主義の民主化’という談論を提起し代議制の重要性を強調するなどの共通点があるということだ。

しかしチェ教授が政党に抱き込まれたり統合されることを前提とする時にのみ運動を肯定的に評価する反面、パリバルには運動に対しても本質的な重要性を付与するという差異点があると話した。民主主義制度は根本的に不安定で脆弱であるため、少数のエリート支配に流れる余地が大きい。それで‘政党と制度’だけでなく‘運動と闘争’も共に必要とするという主張だ。この日提起された批判はチェ・ジャンジブ教授の‘答弁’と共に今後、本に編集され出版される計画だ。

チェ・ウォンヒョン記者 circle@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/506640.html 訳J.S