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【 ハンギョレ in 】“質の悪い働き口”社内下請け ⑤社内下請けの解決法は?(1)

登録:2011-10-15 00:05

原文入力:2011/10/13 22:29(2842字)
不法社内下請け規制・制裁・・・公企業の非正規職 解消を


キム・ソヨン記者


社内下請けは経営権と労働権が正面から衝突する領域だ。 経営界は企業が景気変動状況で競争力を持つには雇用の柔軟性が確保されねばならないとして、正規職解雇が難しい状況で社内下請け使用はやむを得ない選択だと言う。 一方労働界は、韓国の労働市場はすでに十分に柔軟であると反論する。 毎年莫大な収益を上げている大企業が労働市場の両極化など弊害については意に介さず利潤を極大化するために社内下請けを乱発しているというのが労働界の判断だ。 労働市場を見る視点からして“平行線”を走っているのだ。


韓国、雇用柔軟性高い方に属す
集団解雇 OECD30ヶ国中3位

←OECD主要国家の雇用柔軟性の順位


■我が国の雇用柔軟性の水準は?
各種統計に照らしてみる時、我が国は雇用柔軟性が高い方に属する。 経済協力開発機構(OECD)が5年ごとに発表する「雇用保護法制指数」を見れば、2008年を基準として韓国の雇用柔軟性はOECD会員国30ヶ国の中で13位となっている。 労働者個人の解雇では19位で柔軟性は高くないが、集団解雇は3位を占め、柔軟性が非常に高い国という調査結果である。経営上の危機による整理解雇・希望退職・名誉退職などが活発になされているためと見える。 政府統計でも、企業が決めた平均定年は57才だが実際には相当

数の労働者が53才を前後して退職している。


←韓国の労働者の勤続年数

勤続年数も他の国と比べて短い。 韓国労働社会研究所キム・ユソン所長が昨年発表した「労働市場の両極化と社会政策課題」という報告書を見れば、我が国の長期勤続者(10年以上勤務)の比率は16.5%でOECD平均33.4%の半分ほどにしかならない。反面、短期勤続者(1年未満勤務)比率は37.2%でOECD平均17%の倍以上だ。 平均勤続年数も4.9年でOECD9.7年よりはるかに短い。


経営界は正規職労組による雇用硬直性のせいだとも言う。 正規職労組が構造調整をどうしても受け入れないときには社内下請けを活用するほかないというのだ。 だが、雇用労働部の「2010年300人以上事業場社内下請け現況」の資料を見れば、大企業は労組があってもなくても関係なく社内下請けを使っているという調査結果が出ている。 “無労組”で有名な三星グループも三星電子、三星テックワン、三星トータル、サムソンSDI、三星精密化学、第一毛織など系列会社全般で社内下請けを使っていた。 現代自動車など一部大企業労組の事例が社会一般の現象として過剰解釈されている側面があるという話だ。 我が国の組合組織率は10.1%に留まっている。


公共部門非正規職推奨を撤回し
“良質の働き口”創出に加算点を


■公共部門が模範示さねば
社内下請けの実態が深刻なだけに、政府の政策意志を反映させることができる公共部門から率先して常時業務に正規職を採用するなど“良質の働き口”創出に模範を示さなければならないという指摘が出ている。 我が国の公企業は75.8%が社内下請けを使用していて、民間企業(58%)よりその比率が高い。 公共部門効率化政策が“質の悪い働き口”を増やす原因に挙げられている。 社内下請けなどで非正規職を増やして人件費を節減すれば、公企業経営評価で良い点数が取れる。“人件費節減”に焦点が合わされているためだ。 このような状況の結果として、仁川(インチョン)国際空港の場合、正規職労働者は993人である反面下請け労働者は6倍の5936人にもなる。仁川空港は社内下請け労働者が運営しているという話が出るほどだ。


韓国労働研究院のウン・スミ研究委員は「人件費節減を掲げて非正規職を推奨する公共部門の指針をなくし、“良質の働き口”を多く作り出す公企業に点数を加算するなど、公共部門評価基準を新しくしなければならない」として「公企業で雇用親和的な革新を強く推進すれば、5年以内にそれこそ大きな変化を引き出すことができるだろう」と話した。 特に政府は調達過程で民間企業と取り引きをするのだから、公共部門の親雇用政策は民間企業に直接的な影響を与えることもできる。 ウン・スミ研究委員は「政府事業のために競争入札を行なう際に“良質の働き口”を多く創出した企業に加算点を与える方式を用いればいい」と説明した。


■社内下請け保護法案必要
社内下請け問題を解決するには、まず派遣と請負を厳格に区分して労働市場の秩序を正さなければならないという意見が多い。 労働界は政府の基準が緩くて社内下請けの相当数が不法派遣の素地があると見ている。 最近不法派遣に対する裁判所の判断が次から次と出てきている以上、これを反映する必要があるということだ。


元請けの事業場に人員だけ投じる“人員請負”を禁止しなければならないという主張も出ている。 キム・チョルヒ労務士(労務法人 チャムト所属 노무법인 참터)は「仕事の完成を目的とする請負契約の性格上、下請け業者が技術力や生産施設などを持たずに人間だけ投入する“人員請負”はもともと請負契約の趣旨に外れるもの」と指摘した。


社内下請け 差別是正対象に含め
元請けの使用者性認定も課題


社内下請け労働者に対する差別改善と労働3権保障も必要だ。 企業や業種により差はあるが、下請け労働者が正規職と同じ仕事をしたり或いはよりきつい仕事をしても、賃金など労働条件はお話にならないほど低い。


同じ“間接雇用”である派遣労働者は正規職と差別をすることができないように法に規定されているが、社内下請けは除外されているので差別是正対象に含めることが何より至急な課題だと労働界は指摘する。


元請けの使用者性認定も解決しなければならない課題だ。 ソン・ジョンスン韓国非正規労働センター研究委員は「勤労契約は下請け業者と結んだとしても、実質的な影響力を持つ元請けが下請け労働者の使用者であるということは最高裁の判例と国際労働機構(ILO)勧告などにより、もうこれ以上避けて通ることはできない状況だ」と話した。


元請け・下請けや財閥グループの共同交渉を通じて、労使が自律的に問題を解決しようという意見もある。 キム・チョルヒ労務士は「力のある元請けの労働者と弱者である下請けの労働者が共同で交渉をして団体協約を同じように適用すれば、法改正をしなくても社内下請けの差別と労働3権問題は解決可能だ」と話す。 <終わり>


キム・ソヨン記者dandy@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/500722.html 訳A.K