原文入力:2011/09/28 15:45(1635字)
“正義社会”渇望増幅させる
ソン・ホジン記者、チェ・ジェボン記者
映画<ルツボ>熱風の理由は
映画<ルツボ>は当初、投資家たちからは敬遠された作品だった。 製作会社サムゴリ(三叉路)ピクチャースのオム・ヨンフン代表は「重たい内容である上に結末が勧善懲悪でない、すっきり割り切れない感じで終わるため、ずいぶん心配されていた」として「私たちが考えたよりずっと(観客動員と社会的関心が)早く展開され、当惑しているほどだ」と言った。
22日封切りした<ルツボ>は先週末から、700万観客を動員した<最終兵器 弓>を引き下ろして興行首位にのぼった。 前売り率と座席占有率ともに1位だ。ネチズンたちの主要ポータルサイト評点も10点満点で9.5点に達する。 劇場街のかき入れ時である秋夕(チュソク)の連休が終ってから出てきた青少年観覧不可の映画というだけでなく、障害者性暴行の実話という目を背けたい話である点を考慮すれば、異例の熱風だ。
2009年に出たコン・ジヨン作家の原作小説『ルツボ』(創作と批評社)も9月第3週のベストセラー順位で『痛みがあるからこそ青春だ』を押しのけて1位にのぼった。 創批社側は「映画化されてから今月だけでも18万部を越えたし、今も一日1万数千部ずつ売れている」と伝えた。 有名人らも応援に出た。 チョ・ググ ソウル大法学大学院教授は27日ツイッターに文を載せて「<ルツボ>のような事が再発するとしたら、ぞっとする!」と言い「<ルツボ>ファンクラブのような組織で社会福祉事業法改正運動を主導したらいいと思う」という意向を明らかにした。 放送人キム・ジェドン氏も去る16日試写会に出て「<ルツボ>は必ず知らせなければなければならないと思う」と話した。
予想を超えた<ルツボ>突風は、忘れられていた障害者性暴行事件と権力者の偽善を正面から告発して観客の涙と公憤を呼び起こした点が興行要因に挙げられている。 俳優コン・ユとチョン・ユミ、子役俳優たちの演技も観客の没入度を高める。 しっかりした原作のあらすじに従いながらも、小枝を払って素早く法廷場面へ進ませた映画的“選択”も一役買った。 ファン・ドンヒョク監督は「力の論理によりこの事件がどのようにして葬られて行くかが一層衝撃的なので、法廷場面に早く移ったことが映画の集中度を高めたようだ」と語った。 評壇でも「スリラー的な感じを生かしながらも、権力の暴力性を告発する社会モノとして拡張させた演出力が引き立って見える」(イ・ヨンチョル映画評論家), 「ここ何年か韓国映画で、<ルツボ>のように、私たちの社会で何が正しい価値であり、私たちは何をしなければならないかということを積極的に扱った作品はほとんどなかった」(アン・シファン映画評論家)といった好評が出ている。
社会全般的に正義に対する渇望が高まっている状況で<ルツボ>が観客の心に内在する正義と怒りの“コード”を刺激したという見解もある。 カン・イル創批副社長は「社会現象とかみ合わさったようだ」として「正義に反し原則のない社会の不条理に対する不満があちこちで噴出しようとする状況で映画が出てきており、俳優、作家、SNS等と結合して突風を起こしたもの」と指摘した。
一方製作会社側は映画の社会的反響が大きくなるや、高校生などさらに多くの観客が見ることができるように観覧等級を低くする再審議を要請することにしたと27日明らかにした。 ファン監督は「一部の暴行やセクハラ場面を削除して他の場面を補強して来週ぐらいに等級申請を再度するつもりだ」と話した。
ソン・ホジン、チェ・ジェボン記者 dmzsong@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/498304.html 訳A.K