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"彼らの事情より自分の授業料の方がもっと切迫

登録:2011-09-20 09:19

原文入力:2011/09/19 22:42(2107字)
悪口言われ手も良心の呵責は感じない"
パク・テウ記者


‘私は韓進重用役(雇われガードマン)だ’ある19才アルバイト学生の話
喧嘩が強いと即刻採用
‘2時間勤務・2時間休息’
24時間ずっと繰り返し
"苦楽を共にした先輩を殴る殴る労組員に怒りも沸く"


 "あのおばさんはいったいいつ降りてくるのか…"
去る6月28日午後、釜山韓進重工業影島造船所の東門を挟んで労組員と下請け警備員の対立が果てしなく続いていた。炎天下、熱気が85号クレーンを熱していた。東門の内側を守る雇われガードマン ユ・フンビン(仮名・19)氏の黒いTシャツと帽子も汗に濡れていた。

労組員が喚声を上げ東門から入ってこようとすれば門の内側のユ氏はギクリとした。ユ氏の頭の中には「労組員が10人未満ならばお前らが無条件に防ぎ、それ以上なら逃げろ」という警備業者チーム長の言葉が駆け巡った。ユ氏は「労組員と同じくらい彼らが会いに来たというクレーン上のキム・ジンスクというおばさんが恨めしかった」と話した。


ユ氏はそれほど天気が良くなかった去年の夏、ずっと雇われガードマンとして過ごした。釜山韓進重工業影島造船所、忠南、牙山(アサン)の柳成企業、ソウル、明洞(ミョンドン)3区域撤去現場など、今年に入って葛藤と衝突が繰り広げられた代表的な現場は全てユ氏の仕事場だった。彼が下請け警備の仕事を知ったのは夏休みが始まった6月末のことだった。ユ氏はアルバイト募集のホームページを検索し日当5万ウォンに宿泊も提供するというソウルのC警備業者に電話をかけた。電話を受けたチーム長だという人はユ氏に身体条件と運動経験を尋ねるやすぐに来いと言った。家が地方にあるユ氏は翌日、黒いスーツなど服を幾つか持ってソウルに上京し面接を受けた。背丈184㎝、体重90㎏、柔道初段のユ氏は「喧嘩は強いか」というチーム長の質問に「幼いときから喧嘩には自信がある」と答えた。その場で採用が決まった。


すぐに翌日、ユ氏は韓進重工業影島造船所に行くことになった。特殊部隊員出身で筋肉質の前腕に描かれた入れ墨が妙に目立つ同社の職員4人もユ氏とともに釜山行バスに乗った。ユ氏は労働者たちの集会が主に開かれていた影島造船所東門やキム・ジンスク民主労総釜山本部指導委員が籠城中の85号クレーン付近の86号クレーンを同年代の雇われ警備員5,6人と共に守った。警備員は職務に関する教育を受けなければならないが、ユ氏が受けた教育は「目に力を集中させしっかり立っていろ」とだけ言われた。


ユ氏は強く降る雨と炎天の下で2時間勤め、45人乗りバスの中で背を丸めて眠り2時間休息することを24時間ずっと繰り返した。時々労組員やその家族らと向かい合えば「汚い下請け警備野郎」という悪口を言われた。「時間が経つにつれ精神がマヒして面倒になって非難されても押し黙っていた」とユ氏は語った。彼は釜山にきて10日目の7月初め、釜山を離れ忠南、牙山の柳成企業に一日留まった。労組がストライキをしたそこでのユ氏の任務は工場内部を巡回することだった。その後、ソウルのある再開発組合の総会で再開発に反対する組合員ら引き離す仕事もした。仕事のない日には‘兄さん’と呼んだ同じ会社の職員たちの武勇談を聞いたりした。その度に職員はユ氏に「この仕事を長くしていれば、ゴロツキのようになって当然だが、生きて行くためにはこんな仕事でもしなければならない。金をもらってやる合法的な仕事だから堂々と熱心にやれ」と助言した。ユ氏は数週間、苦楽を共にした先輩たちの話に首を縦に振り「生きていくために命を賭けて仕事をする先輩たちを殴る労組員らに対する怒りが生まれた」と話した。


7月末、ユ氏は撤去作業が進行されていたソウル、明洞(ミョンドン)3区域で黄色いヘルメットをかぶった撤去要員になった。撤去作業に投入される重装備が明け方5時から入ってくる予定だったため、ユ氏はサウナで一夜を過ごした後、夜明けに出勤し15時間にわたり現場で勤めた。ユ氏は「借家人が何と言っているのかにはほとんど気にもせず関心もなかった」と語った。


地方大の美術科1年のユ氏が初めての夏休みに5週間 全国を巡って働いた代価は120万ウォンだった。彼はその金で一学期間の授業料の一部と生活費を賄うことになった。ユ氏は雇われガードマンのアルバイトを選択したのは純粋にお金のためだったので、そのことに何の良心の呵責も感じることはないと言った。ユ氏は「彼らの事情がどうであれ、自分にも授業料と生活費を稼がなければならない差し迫った事情がある。金を受け取ってする仕事だから、やれと言われればやるしかない」と淡々と打ち明けた。彼は「今度の冬休みにもできればこの仕事をやりたい」と話した。 パク・テウ記者 ehot@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/496876.html 訳J.S