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夢に見た会社員にはなったが…

登録:2011-09-15 07:34

原文入力:2011/09/14 20:24(2066字)
"月給150万ウォン 家賃として70万ウォン払う"
ユ・ソンヒ記者


レントプアーを量産する社会(上)家賃のために抵当に取られた新社会人の夢


ソウルのある中小企業に通うシン・某(29)氏は‘家賃の支払日’が巡ってくる度に息がつまる。シン氏が月給として税金などを控除されて手にするお金は1ヶ月に150万ウォン程だ。シン氏は現在、保証金1千万ウォンで家賃65万ウォンと管理費5万ウォンを払いソウル江南区(カンナムグ)、新沙洞(シンサドン)にある7坪のワンルームに暮らしている。からだを横たえるこの小さな空間のためにシン氏は月々稼いだお金の半分近くを注ぎ込んでいるわけだ。

忠北(チュンブク)、清州(チョンジュ)にある私立大を出た彼は昨年12月‘殺人的な就職競争’を突き抜けソウルに入城した時は蒼々たる未来を夢見た。たとえ中小企業でも熱心に仕事をすれば家も買い結婚もできると信じた。だが、住む家を探してまわりながらシン氏は‘不安な現実’と向き合わざるを得なかった。職場がある江南区(カンナムグ)側の不動産屋10軒余りを歩き回り借家を探したが、帰ってきた返事は「チョンセ(貸切)、特にワンルームの貸切は物件が全くない」という言葉だけだった。


当初予算の家賃40万ウォン程度で住める部屋は半地下だけだった。結局、シン氏は70万ウォンを要求した家主に哀願するようにして5万ウォンを値切り現在住んでいる部屋を契約した。保証金1千万ウォンは父親が融通した。


家賃(管理費含む) 70万ウォンに食費と交通費を含む生活費40万ウォン、携帯電話料金5万5千ウォン、保険料4万ウォン、公課金10万ウォンなどを払えば月給から残るお金はいつも20万ウォンにもならなかった。シン氏は費用を減らすために9年間吸っていたタバコをやめ、酒の席もできるだけ避けた。そのようにして7ヶ月間 財布の紐をきつく締めてはみたが、現在 彼の通帳残高は70万4830ウォンだ。


シン氏は「ガールフレンドが1~2年以内に結婚しようと言うが、どうやってお金を貯めれば結婚できるか」として「家賃の支払いですら手にあまるというのに今後家を買い家庭を設けることを考えれば目処が立たない」と話した。


借家大乱の余波で‘レントプアー’(Rent Poor)が大幅に増えている。特に低金利のために住宅賃貸市場でワンルームなどを中心に月払い家賃の物件が増え、家賃価格が大幅に上がり、シン氏のような低賃金の新社会人がレントプアーに転落している。レントプアーとは過度に金を借りて家を買い住居価格の下落と元利金償還負担に苦しむ人を意味する‘ハウスプア’(House Poor)に例えて言った言葉で、暴騰する住宅賃貸費用を賄うために所得の相当額を支出しなければならず貯蓄余力のない人を称する言葉だ。


専門大を卒業した後、貿易会社で臨時職として仕事をしているソン・某(25)氏は最近インターネット借家直取引カフェに‘同居人’を求める文を載せた。現在住んでいる部屋は保証金2千万ウォンに家賃60万ウォンだが、一人ではとうてい家賃を賄えないためだ。保証金無しの家を求めている人を探して、家賃60万ウォンの内の35万ウォン程度を負担させるつもりだ。ソン氏は「同居人が見つからなければ考試院に移るつもり」と話した。


レントプアーの道に一度入れば抜け出すことはできない悪循環が続く。任用試験を準備し学院講師をしているユン・某(28)氏はレントプアーのどん底に陥った典型的な事例だ。小さな補習学院で社会科目を教え100万ウォン余りの月給を受け取るユン氏は、保証金2千万ウォンに家賃55万ウォンの2部屋の住居に大学生の弟と一緒に暮らしている。彼は「初めは保証金2千万ウォン、家賃35万ウォンで契約したが、2年後の契約更新の時に家主が‘保証金2千万ウォンを上積みするか、家賃を20万ウォン上げてくれ’と言った」として「2年間、骨が折れる仕事をしたが2千万ウォンどころか500万ウォンも貯められず、結局 家賃の引き上げに応ずるしかなかった」と話した。


家賃価格は今後もずっと騰勢を維持すると予想されており、若いレントプアーたちの苦痛はより一層加重されるものと見られる。統計庁資料によれば、前年同月対比の家賃価格は今年に入り8ヶ月連続で上昇し、特に先月は上昇率が3.0%で15年ぶりの最高値を記録した。ソン・デイン キム・グァンス経済研究所副所長は「状況がこうであるにも関わらず、政府の賃貸住宅対策は せいぜい投機で家を何軒も持っている人が借家物件を出せば税制優遇を与える程度であり今後もレントプアーはますます増えざるを得ない」と批判した。

ユ・ソンヒ記者 duck@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/496126.html 訳J.S