原文入力:2011/08/28 21:47(1868字)
メディア恐竜 総合編成チャンネルの襲撃(上)
マードック 言論帝国の弊害
"フォックスが私達を助けるのではなく
私たちがフォックスために働く格好"
米国 共和党でさえ巨大マスコミの表情伺い
世論多様性 失踪深刻
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朝中東総合編成(総編)チャンネルが我が国のメディア生態系に及ぼす悪影響の極端な姿はルパート マードック所有のケーブル ニュース チャンネル<フォックス ニュース>の弊害に見ることができる。<フォックス ニュース>は米国政治を事実上意のままにしながら世論の流れをわい曲している。右派指向の有権者の集いである‘ティーパーティー’を全国的な圧力団体に育て、議会中間選挙と予算限度増額交渉でトーンを高めさせたのが<フォックス ニュース>だったと言っても過言でない。ティーパーティーが主張する‘金持ち増税反対’や‘医療保険改革阻止’はもちろん、知らず知らずに露出するムスリムと有色人種に対する軽蔑は<フォックス ニュース>の常連メニューでもある。
<フォックス ニュース>の戦略は右派ポピュリズムと商業主義を適切に配合し、経済的利益と政治的影響力を極大化することだ。そのため サラ ベイリン前副大統領候補や、日本大地震を "神が怒った結果" と話すグレン ペクのような極右的人物を進行者や討論者の椅子に座らせ 刺激的な話を吐き出す。客観性や公正性のようなジャーナリズムの基本原則も勝手に無視する。討論プログラム出演者を偏向的に3対1で構成したり、進行者が進歩的出演者に「黙れ」などの暴言を吐くことも珍しくない。
米国人はこういう<フォックス ニュース>をののしりながらも、ドタバタドラマを見るように嵌ってゆく。実際<フォックス ニュース>を信頼しないと言う米国人は多いが、<フォックス ニュース>の視聴率は極めて高い。夕方のゴールデンタイムの視聴率競争ですでに<CNN>や<MSNBC>のような巨大ライバルを上回った。そのおかげで<フォックス ニュース>は昨年8億1600万ドルの利潤を残し、マードックのポケットを膨らませた。その結果、穏健な共和党議員らもティーパーティーとその背後にある<フォックス ニュース>の顔色を伺わざるをえない。保守派は<フォックス ニュース>が代弁し、<フォックス ニュース>は共和党が代弁するという話が出るほどだ。前任ジョージ ブッシュ大統領の演説原稿作成秘書であったデビッド フロムは「初めはフォックスが私たち共和党のために仕事をしているものと思ったが、気がついてみたら私たちがフォックスのために仕事をしていた」と話した。
<フォックス ニュース>の弊害は巨大メディア企業の影響力が肥大化すると、どのような副作用を及ぼすかをよく示している。所有主の影響と広告主の影響力が大きくなるほど編集の独立性と世論の多様性が萎縮する。政治家たちがメディアの顔色を伺う傾向が激しくなり民意がわい曲されることが一度や二度ではなくなる。インターネットやツイッターのようなニューメディアが代案言論の可能性を開いているが、日常の権力は巨大メディア企業の手中を抜け出すことはできない。メディア政治経済学の大家であるロバート マクチェズニ米国イリノイ州立大教授は「現代社会で民主主義を脅かす最も強力な力の一つがメディアの所有集中」と警告する。
マードックが所有する新聞社の不法盗聴事件はこういう副作用に対する市民社会の憂慮を水面上に引き上げた。ジョナサン プリドロンドゥは先月15日付<ガーディアン> 1面にのせられたコラムで、マードックにうなされていた市民がついにメディア改革を公開的に語り始めたとし、英国で東欧圏没落と肩を並べる‘革命’が進行中だと話した。メディアの公共性を高めようとする試みは全世界で新自由主義の流れが退潮することとも相まっているということだ。
メディアの公共性を強化するためには政界に対する市民社会の圧力が必要だ。英国ではツイッターを通じて地方区議員にマードックの衛星放送<BSkyB>完全引き受けに反対する手紙を送る市民運動がマードックの屈服を引き出した。
イ・ポンヒョン ハンギョレ経済研究所研究委員 bhlee@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/media/493742.html 訳J.S