原文入力:2011/08/19 21:15(1846字)
クォン・テホ記者
米国実物指標 墜落に
欧州銀行 不良の不安感
世界成長率 展望値は4.2→3.9%へ下方修正
‘ダブルディップの兆候’が世界証券市場を揺り動かしている。今月に入り現れた心理的恐怖の連鎖反応の延長線ではあるが、実物指標の下落が一つ二つとさらに確認され、この‘どん底’から簡単には抜け出せないという認識が広がっている。 米国とヨーロッパの同時ダブルディップ(景気再沈滞)という最悪の暗雲がたちこめたという指摘が出始めた。
18日(現地時間)ヨーロッパ・米国、19日の韓国につながったグローバル株式市場の再暴落は、ヨーロッパの銀行に対する危機感が点火し米国の実物指標下落が引き金となった。
この日発表された米国景気指標は先週の新規失業手当申請が9000件増加、7月既存住宅販売3.5%下落、消費者信頼指数も2009年3月以後の最低値など、今後の景気に対する不安感が全方向的に広がっていることを示した。 また、米国当局がヨーロッパ系大型銀行の米国支社に対する監督を強化するという<ウォールストリート ジャーナル>報道がヨーロッパ銀行発グローバル金融危機の憂慮まで拡大し、市場は景気低迷が再到来するという展望に襲われた。
米国の投資銀行モーガン スタンリーはこの日、今年の世界経済成長率展望値を従来の4.2%から3.9%に下げた。 モーガン スタンリー報告書は特に先進経済圏の今年の成長率展望値を1.9%から1.5%に下げ「米国とヨーロッパが6~12ヶ月以内にダブルディップに陥る」と見通した。この報告書は米国の場合、4分期が「最も深刻な時期」になると見通した。 米国の投資銀行ゴールドマンサックスも今年の米国成長率展望値を1.8%から1.7%に下げた。代表的悲観論者のヌリエル・ルビーニ ニューヨーク大教授はツイッターを通じて「米国とヨーロッパのダブルディップが目の前」と明らかにした。 こうした中で米国最大の銀行であるバンク オブ アメリカ(BoA)が数ヶ月以内に少なくとも3500人を減員することにし解雇通知を始めるなど雇用悪化が可視化している。
この日、米国証券市場に対する否定的展望を示す‘恐怖指数’は35%急騰し42.7まで噴き上がった。 投資家は安全資産に集まり、米国債10年物の収益率は1950年以後初めて2%以下に沈み(債権価格上昇),金価格もオンス当たり1822ドルで史上最高値を記録した。 米国とヨーロッパ証券市場が4~5%暴落し、19日にもアジアとヨーロッパ証券市場の矢印が下へ向かった。
政策当局が当然な対策を出せずにいるという点も不安感をより一層あおっている。 これに伴い、連邦準備制度委員会が3次の量的緩和に出るかに市場の関心が集まっている。
悲観論が市場を掌握した中で、これに対抗する反論もある。 バンク オブ アメリカ-メリルリンチのニル ドゥータ エコノミストは「最近の否定的指標は実物経済活動より心理を反映したもの」としながら「実際経済活動を示す指標はそれほど大きくは悪化していない」 と話した。 米国の7月民間部門雇用規模は前月より15万4000人増加し、ブルームバーグが事前集計した展望値11万3000人より増加幅が大きかった。 7月の失業率も9.1%で6月より0.1%下落した。特に景気状況を直接的に示す7月の小売り販売が前月と比べ4ヶ月内の最大幅である0.5%増加した。 ウィリアム ダドレー ニューヨーク連邦準備銀行長は18日、財界人らと会い「(米国がまた再び)沈滞に陥る危険が6ヶ月前より多少高まったのは事実」としつつも「しかしそうなる確率は非常に低く、経済が下半期には前半期よりはるかに良くなるだろうと期待する」と話した。しかし、楽観論に対する市場の反響は悲観論が垂れ込めている今はほとんど聞こえない。
<ロイター>通信はこの日「持続的な株価下落は消費者と企業心理を萎縮させ、その場合、消費が減り投資が萎縮し株価はさらに下落する」とし、これを悪材料の悪循環、‘ネガティブ フィードバック’と表現した。 ワシントン/クォン・テホ特派員 ho@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/492548.html 訳J.S