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希望バスは、不安な現実への「抵抗の象徴」

登録:2011-07-11 00:16

原文入力:2011/07/10 19:41

パク・ヒョンジョン記者 キム・ソヨン記者 キム・グァンス記者

市民7000人以上、彼らはなぜ希望バスに乗ったのか?
非正規職に対する差別・整理解雇が日常化した社会
「韓進重工業だけの問題ではない」
資本の貪欲さへの怒り、一般市民が連帯して手を握る


▲韓進重工業の第2次希望バスの参加者が地面に絵を描いている。写真リュ・ウジョン記者

韓進重工業の釜山影島造船所85号クレーンの上で座り込みをし整理解雇撤回を叫び続けて186日目(7月10日時点)となったキム・ジンスク民主労総釜山本部指導委員と組合員たちに、「希望」を手渡すために発足した「整理解雇・非正規職のない世界のための希望バス」は、労働者・庶民の生活を脅かしている雇用不安に対する抵抗の象徴として位置づけられている。

激しい雨が降った9日午後、第2次希望バス150台と乗用車50台余りの行列は、キム・ジンスク指導委員と組合員6人が闘争している影島造船所に向かった。第1次希望バスには700人が乗ったが、第2次希望バスには5000人余りが全国各地から乗った。参加者の範囲も第1次より多様化した。所属団体のない市民や政党の党員、労組活動家、大学生、医療関係者、宗教家、法律専門家だけでなく、障害者、性的少数者、再開発で立ち退きを迫られた人々、移住労働者、青少年など、社会的弱者も大挙参加している。

整理解雇をめぐる労使対立が起こっている地域のひとつの事業場に、このように多様な人々が自発的に集まり、「連帯の場」を広げる理由は何だろうか?

人々は韓進重工業組合員たちが経験したことが「もはや他人事ではない」と危機意識を感じたという。実際この日の夜、希望バスの参加者たちが集まった中、「希望と連帯のコンサート」が開かれた釜山駅では、「あなたたちは私たちだ、韓進重工業は私たちだ」というスローガンが叫ばれた。希望バスを提案した詩人ソン・キョンドンも、参加者数が増えた理由をここに見る。ソン詩人は、「我々は、非正規職・整理解雇を推し進める不安な社会に住んでいる」と語り、「人々は語らずともこれらへの怒りを内在しており、まさにこの部分のために連帯にいたった」と分析した。社会的セーフティネットが不十分な状況下での整理解雇・非正規職の拡大は、庶民の生存権を脅かしている。このような現実を直・間接的に経験した人々がキム指導委員の献身的な闘争に力を与えたのだ。

脳性麻痺障害者で車椅子に乗って第2次希望バスのイベントに参加したムン・エリンさん(31)は「表面的には韓進重工業と障害者の問題は関係がなさそうだが、障害者の労働環境はより劣悪なのが現実」とし「彼らのことはまさに私のことでもある」と話した。授業料半額化闘争に参加していたクォン・ギホン東国大総学生会長(23)は、「卒業すれば労働者になるけれど、(労働者を迫害している)現実が変わらなければ、韓進重工業組合員に起こったことは私たちのことにもなりうる」と憂慮した。

希望バスの熱気は、人を排除して収益だけを追求する資本の貪欲さを制御しようという要求として広がっていくようだ。第1・2次の希望バスに乗った会社員パク・チョンヒさん(27)は「キム指導委員が演説で『彼らが私を捨てると言っても、私は捨てることができない人々』という表現を使ったが、その人々とは韓進重工業組合員だけでなく、いつでも解雇されうる無力で後ろ盾のない私たちすべてを総称していると思った」とし、「韓進重工業問題が重要なのは、資本の不正な利益追求を社会がどのように制御すべきか苦悩する場を開いているからだ」と話した。第2次希望バスに参加したペク・ウォンダム聖公会大東アジア研究所長は「経営成果が悪くなくても労働者を追い出し非正規職にするのは、韓進重工業だけでなく、他の事業場でも起こる」とし「今国会でもこの問題を議論しなければならない」と述べた。

雇用不安を全身で体験した双竜自動車、柳成企業、ヴァレオ空調コリアなどの長期闘争労働者も9日から2日間、釜山に滞在し、「希望」を探した。違法派遣による正規職化を要求して解雇された現代自動車の社内下請労働者30人も、蔚山で「希望の自転車」に乗って釜山に来た。パク・ヨンヒョン現代自動車社内下請労働者は、「現代自動車の非正規職労働者たちは、昨年冬の25日間の占拠座り込みで104人解雇、1000人余りが懲戒を受け通帳まで押収さる弾圧を受けている」とし、「希望のバスに象徴される市民の連帯を見て、立ち上がり闘う力を得た」と話した。

第2次希望バスは、40~50代の釜山市民たちを再び街に呼び集めた。昨年末、韓進重工業が整理解雇の方針を立ててから、多くの集会が開かれたが、市民の参加は低調だった。釜山駅で会ったパク某さん(54、慶南昌原市)は、「80年代大学に一緒に通っていた先輩後輩たちと、公演を見てデモ行進にも参加することにした」と話した。主婦のシン某さん(44、釜山チャンソン洞)も、「見るだけでも学ぶことが多いと思い、小学生の子供2人と一緒に行事に参加した」と話した。

パク・ヒョンジョン記者 キム・ソヨン記者 (釜山)キム・グァンス記者
原文: http://hani.co.kr/arti/society/society_general/486640.html 訳K.H