本文に移動

日本 脱原発を阻む‘3重壁’

登録:2011-07-04 13:10
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/485630.html

原文入力:2011/07/03 21:25(1542字)
チョン・ナムグ記者

住民たち 失職・地方自治体交付金のために老朽原発再稼働に賛成
財界、料金値上げにともなう経済悪化を理由に脱原発に反対

福島第1原子力発電所放射能流出事故を契機に菅直人日本総理が原発増設計画を白紙から再検討すると明らかにした。しかし「老朽原発から順次閉鎖せよ」という世論に対しては未だに沈黙している。そうした中で経済産業省が点検のために運転を止めていた佐賀県、玄海原子力発電所2,3号機の再運転を該当地方自治体に促し賛否の論議が熱い。この原発が位置した玄海町町長(自治団体長)と佐賀県知事は再運転に肯定的な態度だ。何が‘脱原発’の決断を難しくさせているのだろうか?

■原発に依存する地域経済
玄海原発がある玄海町住民に原発再運転についてどう思うかと尋ねれば、答えをはぐらかす人が多い。「子供たちが原発で仕事をしていて…」というのがその理由だ。8万人内外の日本原子力発電所労働者の内、7万人が協力会社などで仕事をする非正規職だが、その内の半分ほどは原発がある地域の住民だ。代案が十分に用意されない限り、彼らにとっては脱原発がそのまま働き口を失うことになる。

原発がある地方自治体は原発の運転中断に一層否定的だ。130万kW原子炉1基当たり地域にあたえる交付金が運転開始前10年間で450億円、運転開始後35年間で1240億円に達するためだ。地方自治体によっては交付金が総収入の半分に肉迫したりもしている。玄海原発の再運転に最初に賛成したのは玄海町だった。

■電気料金 負担増加を憂慮
原料価格に連動する日本のエネルギー料金体系で、原発の稼動中断が電気料金引き上げにつながるだろうという憂慮も多い。<読売新聞>は3日、日本学術会議資料を引用し、原発を現行通り維持すれば2030年には電気料金が月372円(現在 月6000円の標準家庭基準)減るが、来年夏までに原子力発電所を全て撤廃すれば月2121円増加すると報道した。2040年までに順次廃止しても2020年には月659円、2030年 月1748円ほど負担が多くなるという。経団連は企業負担の増加とそれにともなう経済悪化を掲げ脱原発に強力に反対している。

もちろん別の分析結果もある。茂木源人 東京大教授は2050年までに原発を段階的になくし太陽光発電でこれを代替する場合、2020年代中盤に月300Kwを使う家庭の電気料金は180円ほど増加するが、大量生産が現実化される2030年代には元どおりに戻るという試算結果を出した。だが、こういう主張をする側はまだ少数だ。

■原発族の強い力、脆弱な対抗勢力
全国を10ヶ所に分け地域別に独占している日本の電力業界は、原子力発電所を作りさえすれば収益が保障される料金体系下で簡単に金を儲けてきた。巨額の広報費でマスコミを無力化し、天下り人事と政治献金を媒介に政官界とも癒着した。福島事故で‘原発族’は一部打撃を受けたが、原発を持続推進するという自信と意志は相変わらずだ。石原伸晃 自民党幹事長がイタリアの国民投票で原発反対意見が圧倒的と出てきたことに対し‘集団ヒステリー’とこきおろしたほどだ。

市民社会に脱原発世論が広がってはいるものの、それを組織的に支援する基盤は脆弱だ。通信・インターネット大企業であるソフトバンクが再生エネルギー事業に参入することで、今まさに力を寄せ始めた程度だ。東京/チョン・ナムグ特派員 jeje@hani.co.kr

原文: 訳J.S