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[特派員コラム] 福島をすでに忘れられましたか? /チョン・ナムグ

登録:2011-06-10 10:54

原文入力:2011/06/10 10:19(1648字)

今回の原子力発電所事故で癌患者が50年間に40万人増えるだろうとECRRが予測した

←チョン・ナムグ東京特派員

日本、福島第1原子力発電所事故が起きて3ケ月になろうとしている。聞こえてくる話ではもう韓国では福島の話はほとんどしていないという。去る4月初め放射能雨が降ると京畿道の一部学校が休校までしたことを考えれば驚くべきだ。過剰反応と早すぎる忘却が交差するのはやはり放射能に対してよくわからないためという気がする。
放射線は目に見えるわけでもなく、臭いもない。大量被爆にあってもからだに直ちに痛みがこない。だが、ゆっくり現れるその被害はとても恐ろしい。1999年9月、日本JCO核燃料加工工場で大内久氏など2人が大量被爆にあい病院に運ばれた。当時、大内氏は右手が少し腫れただけだった。しかし血液中のリンパ球が破壊され全身の細胞が次第に壊死しながら83日後に死亡した。低線量を受けた時はその影響が長くて10~30年後に癌として現れたりもする。

今回の福島第1原子力発電所放射能流出事故で誰かが大量被爆にあって死んだり致命傷を受けたという報告はまだない。だが、放射能物質は大量流出したし、今もずっと洩れている。

東京都議会の共産党議員が専門家たちと共に測定し数日前に公開した東京の放射線量は私にはかなり衝撃だった。我が家の近所の公園の放射線量は時間当り0.134(砂場の上1m)~0.233(草むら表面)マイクロシーボルトだった。文部科学省が東京、新宿の地上18mで計測した時間当り0.06マイクロシーボルトに比べて最高4倍であった。年間に換算すれば成人の被爆許容値1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)を越える1.17~2.04ミリシーベルトであった。金町浄水場がある葛飾区では時間当り0.3マイクロシーベルトを超す値が計測され、原子力発電所避難区域に接しているいわき市より高かった。

原子力発電所から300km離れた神奈川県の生緑茶葉から野菜基準値(1㎏当たり500ベクレル)を越える放射性セシウムが検出され、日本政府が最近 出荷停止措置を取った。汚染はこのように広がっているが食物摂取や呼吸で放射能物質を吸収し被る内部被爆量は把握する方法がない。時間が経つほどさらに多くの人々に危険が現実にせまっている。

信じたくないがヨーロッパ放射能リスク委員会(ECRR)は去る4月、福島事故で原子力発電所半径200km内で今後10年間に20万人、その後40年にわたり20万人以上の癌患者が増えると予想した。原子炉3基の燃料棒が全て溶けて流れた今回の事故の深刻性に比べればこの程度の被害で終わっても‘運の良い方’だろう。

韓国に及ぼす影響は極めてゆっくり現れるだろう。日本癌学会の報告書によれば、各国の核実験が本格化した1950年代初期、10万人当たり3人だった日本の小児癌患者が1960年代後半には6人まで増えた。大気中の放射能の増加は知らない内にこのように生命を蚕食する。

中国や韓国の原子力発電所がどれほど危険なのか私は知らない。しかし地震多発地域に建てた日本の原子力発電所54基では今回よりはるかに深刻な事故がいつまた起きても不思議はない。‘原発怪物’の実状を認識した日本人たちは福島事故3ケ月をむかえる11日、全国40以上の都市で原発反対集会を開く。彼らはこの日、世界各国で100万人が核災難の再発を防ぐための行動に共に出て欲しいと訴えている。我が国でも数ヶ所で街頭行進があるという。直接出席はできなくとも、この日一日だけは皆が原子力発電について調べてみて、再度深く考えてみることを切実に望む。 jeje@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/482013.html 訳J.S