原文入力:2011-05-24午後09:06:58(5691字)
「経済協力事業 壊滅状態…中国企業だけにメリット」
「開城工業団地以外、多くは直撃弾受け
中断された事業は中国が埋める」
「被害を受けるのは南の企業のみ
無条件的な超強硬策は誤り」
カン・テホ記者 イ・ジョンア記者
←「5・24措置解除と南北関係正常化を促す宗教・市民社会・政党共同記者会見」が開かれた24日午前ソウル国会図書館大会議室で、参席者が南北対話の即時再開と民間交流全面保障など要求事項を書いた小プラカードを上げて見せている。 イ・ジョンア記者leej@hani.co.kr
昨年天安(チョナン)艦事件を契機に南北経済協力などほとんどすべての南北関係を断絶した5・24措置1年を迎え、23日に「5・24措置 1年、南北交流協力および韓半島情勢」(ハンギョレ統一文化財団・野4党政策研究所・南北経済協力フォーラム・南北物流フォーラム共同主催)、24日に「南北経済協力断絶措置1年、どのように解くべきか」(ナム・ギョンピル国会外交通商統一委員長室・南北経済協力事業者協議会・開城(ケソン)工業地区企業代表者会議・金剛山(クムガンサン)地区企業協議会共同主催)と、二つの討論会が相次いで開かれた。 これを中心に南北経済協力の現実と危機状況に置かれた経済協力企業の回復のための対策などを点検する。
カン・テホ ハンギョレ平和研究所所長 kankan1@hani.co.kr
統一部当局者が先日記者たちと会って24日で1周年をむかえる5・24措置の「終着駅がどこかは断定的に言うことは難しい」と話したという。 しかし政府は分からなくても企業らは分かっている。 24日「南北経済協力断絶措置1年、どのように解くべきか」の討論会で、ヤン・ムンス北韓大学院大学教授は南北経済協力が23年の歴史の中で最大の危機的状況に直面していると話した。 開城(ケソン)工業団地を除くすべての経済協力事業は壊滅状態に陥ったということだ。
昨年12月から今年2月までの5・24措置による南北経済協力企業の被害実態と現況を調査したキム・ヨンユン南北物流フォーラム会長は「ほとんどの対北事業体が、絶望と全身ににじみ出る悲壮感とで現実に立ち向かっている」と伝えた。 キム会長は23日ハンギョレ統一文化財団と野4党政策研究所などが共同で主催した「5・24措置1年、南北交流協力および韓半島情勢」の政策フォーラムでその“現場の声”を伝えた。
「南北経済協力断絶措置によって南の経済協力企業が味わっている苦痛は、政府や一般の人の思うよりはるかに大きく深い。 彼らの多くは実際のところ口で言えない切迫した状況に置かれているといっても過言ではない。 彼らは血を吐く思いで『これは違う』、『絶対違う』と叫んでいる。 彼らの叫びに耳を傾けてくれることを念願する思いでこの文を書く。」
例えばある運送物流分野の企業家は「北に苦痛を与えるとして経済協力を中断したけれどもその空いた空間を中国が満たしており、そういう点で被害を受けているのは南側だ」と話した。 この企業家は統一部が支援だと言って資金の特別貸し出しをしているが「事業がストップしているのに金を借りて何をしろというのか」と言い、実質的支援になり得ないと指摘した。
キム会長によれば南北経済協力断絶措置で大部分の企業は20%以上雇用人員を縮小したし、金剛山(クムガンサン)地区の場合は100%縮小した。 また、繊維・衣服・皮革産業分野が最も大きい影響を受け、平壌(ピョンヤン)など内陸地域で事業をする企業が最も大きい打撃を受けた。
企業家たちは“無条件遮断式超強硬でない柔軟な政策”を要求していた。 北にお金を持って行ってやるわけでもないのに、私たちの財産権を行使して保護するために行くというのに、政府が北訪問及び北との接触を許さない理由は何なのかということだ。 また、同じように北と経済協力をするのに、開城(ケソン)工業団地はよくてそれ以外は何故だめだというのかと、公平性の問題を提起しもした。何よりも政府主導の大規模投資開発事業と違い、小規模の民間交易だけは政治・軍事的な影響を受けないで経済論理により進められなければならないというわけだ。
■診断/北朝鮮経済の中国化
チュ・ウォンソ「経済協力断絶の実効性、始めから限界」
チョ・ポンヒョン「北に磨きあげた設備投資、中国の手に渡る」
5・24南北経済協力断絶措置は、北の対外依存が大きくなく中国という代案があったので始めから実効性面で限界があった。 南の対北交易・経済協力企業がこの20余年間北で造り上げた事業基盤が根こそぎ中国に渡っているという憂慮が現実化している。 北朝鮮-中国経済協力は東北3省との交易および協力が強化されて、輸出構造では北の地下資源輸出が40~50%ずつ増加する様相を見せている。政府内では北の急変事態対備策が必要だという話をしているが、中国がある限り南側ができることは何もない。
もちろん北朝鮮-中国経済協力を否定的にだけ見てはいけない。 北の改革・開放と産業基盤拡充に役に立ち得るし、北が中国の力の前に無条件屈服することはしないだろう。 南北経済協力と北朝鮮-中国経済協力を調和させるべきで、今の韓国経済の規模から見れば南北経済協力の比重は微小だが中国・ロシア・モンゴルなど北方大陸への協力拡大は韓国経済の持続的な成長発展のために必須だ。
←チョ・ボンヒョン/企銀経済研究所研究委員南北経済協力企業家たちは22年間大事に大事に育ててきた子供を一日でなくした心情であろう。 政府は5・24措置で北がこうむった打撃を3億ドル水準と推定しているが人道的支援中断、北の船舶の南側海域運航禁止にともなう運送費用増加などを考慮すれば4億ドルに達するだろう。 しかし中国企業は今表情管理をしているところだ。 200余の中国企業が何らの追加設備投資なしに、過去に韓国企業が投資し教えた北の熟練労働者を中国の10分の1水準の低い賃金で雇用し進出している。 この程度なら中国の北朝鮮経済掌握に長い時間はかからないと見る。
今回のキム・ジョンイル国防委員長の訪中は昨年二回にわたる訪中の結実をおさめるためのものと見られる。 6月を基点にこれまで合意した契約が着工され履行されることが予想される。 5・24措置をすぐに解除するわけには行かないだろうが、中国を牽制して新しい経済協力分野を発掘すべきであり、未来のための投資の観点から柔軟な戦略で接近しなければならない。
チョ・ボンヒョン/企銀経済研究所研究委員
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■対策/被害企業支援方案と当為性
ヤン・ムンス「政府-企業間葛藤解消方法の摸索を」
イ・オヨン「損害賠償請求、包括的検討必要」
5・24措置による韓国企業の被害がますます大きくなっている状況で、企業の被害補償問題を巡り政府と企業間の見解の違いがますます明確になっていて葛藤が表面化する兆しも見せている。 5・24措置以後のあるアンケート調査で、韓国企業は10ヶ所中8ヶ所が「経済協力条件が正常化しても新規進出や投資拡大はしないつもりだ」と答えた。 この問題を円満に解決しなければ、南北関係が改善されるとしても南北経済協力が従来の水準に復元されるのに障害物として作用する恐れがある。
統一部は5・24措置以前に搬出されたか契約・発注された原・副資材の搬出入を許容し一時的に委託加工企業と一般交易企業等が息をつけるようにし、中小企業庁と南北協力基金特別貸し出しなど金融支援をした。 こういう猶予および緊急救済措置が終わる今からが深刻だ。 南北経済協力企業の被害補償問題を巡る政府と企業の見解の違いを縮め、葛藤を解消するための方案を模索する必要がある。 ヤン・ムンス/北韓大学院大学教授
←イ・オヨン/弁護士・南北経済協力フォーラム理事長5・24措置により北も打撃を受けているが南の経済協力企業と国民の損害も大きく且つ直接的であるという点で、5・24措置が“自害行為”だという指摘はそれなりに根拠がある。 その上南北経済協力企業としては自身の帰責事由でない、企業外部の政治的・軍事的な要因でこうむった被害を企業が全面的に負担することが妥当なのかという問題を提起することができる。
しかし5・24措置に違法性がなく不法行為を構成しないならば、企業が被害を受けたとしても損害賠償責任は認められないだろう。 ただしこの場合も5・24措置の過剰措置の如何(比例性) と公平性(開城工業団地との対比)についての問題提起はあり得るのであって、被害企業の損害賠償請求に対しては5・24措置だけでなく以後の状況を含めて個別的・具体的検討が必要だろう。 もちろん最も望ましいのは、南北経済協力を正常化させ、いかなる外部状況にも中断されず持続できるように法的・制度的方案を講じることと言えよう。 イ・オヨン/弁護士・南北経済協力フォーラム理事長
■ある企業家の訴え
経済協力のための高価な装備が“殺処分”されています
←イ・トギュン/CSグローバル代表開城(ケソン)工業団地事業以外のすべての対北事業中断はもちろん北に行くことまで中断させた5・24措置が1年過ぎました。
私どもの会社は臨津江(イムジンガン)上流北側のサチョン江の砂を陸路を通じて首都圏に搬入する会社です。 北側に生産設備90億ウォン、南側に荷置場40億ウォンなど150億ウォン以上を投資し、年間200万立方メートル以上の生産・搬入を目標に250人余り(南側120人)が働きました。 北に投資した費用は砂代で償還するという非常に合理的な契約でした。 しかし2008年金剛山(クムガンサン)事件以後一連の事態と政府の事業不許可により、足掛け4年間事業が中断の状態にあります。
事業初年度の2004年には首都圏の砂波動解消と南北交易への功労が認められ、建設交通部・統一部から表彰も受けました。 分断59年目にして初めて行なわれた陸路搬入事業であり、政府やマスコミから大いに激励も受けました。
そんな中で1次核実験があり、二日後の2006年10月11日大統領府懇談会に出席しました。 当時ノ・ムヒョン大統領とイ・ジョンソク統一部長官は大統領府外交安保首席など参謀陣が同席する中で、政治的理由で事業が中断された場合、政府が賠償の責任を負うと約束しました。 その約束を信じて多くの投資が続きました。
しかし結局、政治的理由で事業は中断されました。 政権が変わったのだというけれど、大統領・長官の約束が全くでたらめな反古同然の約束になってしまいました。 また、その困難な条件で黙黙と一生懸命仕事をしてきた多くの企業・事業家は、極端な言い方をすれば“北に与えるばかりの親北・従北勢力”と非難され、多くの制裁を受けました。
相手に与えようとばかりする企業・事業家がいったいどこにいますか。 砂業種だけ見ても首都圏の砂価格安定に2000億ウォン以上の経済的波及効果があったと自負します。 事業中断後も事業再開の日を期待しつつ双方が、悪条件の下でも装備管理に最善を尽くしました。 しかし5・24措置以後は、始動用燃料・部品搬出、技術者派遣など全てが中断されてしまいました。
高価な装備全てが生命体だと考えます。 口蹄疫が流行ったとき家畜はワクチン注射でも打ってもらったそうですが、事業再開は二の次ぎとして、このように100億ウォン台の装備を柔軟性も融通性もなしに“殺処分”するのが現政府の実用主義ですか? 例のありふれた統一部主催セミナーとか討論会の一度もないのが疎通ですか? 開城(ケソン)工業団地は稼動させ、それ以外の業者は皆殺しというのが“共生”で“公正な社会具現”ですか? 1千余りの対北事業体を殺して、それで北側にどれほど多くの経済的打撃と圧迫を与えたんですか?
南北交易が中断されて、中国など他の国と北との交易が何倍も増大したことを政府はよく知っていると思います。 実に残念でもどかしいです。 長官が国会答弁で、統一部の主任務は平和統一と交流協力増進だと答えました。 平和統一の二つの車輪の一つは、政経分離の原則による絶え間ない交流協力だと考えます。 サッカーして戦争し、卓球して修交するのが歴史であり人間史ではないですか?
もちろん政府の対北政策樹立における大きな苦悩は理解します。 しかし対北事業体との疎通ゼロは納得できないことです。 政府が対北政策においてこれらの事業体を人質にしたりしてはならないと思いますが、そうしようとするならどうか“殺処分”を中断し実質的な恩恵のない支援策でなく確実で適切な補償をしなければなりません。
1千余りの事業体と関連事業を皆殺しにしておいて、何の平和統一、何の交流協力増進ですか? 大多数の企業はこれ以上統一部との疎通は期待できないと見ています。 遅きに失した感はありますが、今からでも大統領と大統領府が動かなければなりません。 経済協力・交易・金剛山(クムガンサン)・開城(ケソン)工業団地・賃加工関連業者代表らと虚心坦壊な懇談会が切実な時期です。 疎通ゼロの政府でなく疎通のある政府になることを切に望みます。 イ・ドギュン/CSグローバル代表
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/479518.html 訳A.K