本文に移動

米軍基地 枯れ葉剤 汚染、調査も補償を受けることも難しい

登録:2011-05-21 07:39

原文入力:2011-05-20午後08:37:02(1748字)
駐屯軍地位協定により米軍側同意なしにはできず
調査着手 1,2ヶ月 かかる見込み
被害事実確認されたとしても米‘汚染者負担’認定せず
住民 補償を受けるのは容易でない

ナム・ジョンヨン記者

←駐韓米軍が1978年 枯れ葉剤を大量に埋めた場所と推定される慶北、漆谷郡、倭館面キャンプ キャロル内部ヘリコプーター着陸地の姿. 漆谷/キム・ポンギュ記者 bong9@hani.co.kr

20日、環境部と慶北道などが慶北、漆谷郡、倭館邑の‘キャンプ キャロル’の枯れ葉剤汚染有無を調査し始めたが、今後の汚染実態と環境被害調査には相当な期間がかかる展望だ。
環境部はこの日、米軍基地に入らずに周辺で河川と地下水位置など汚染経路を把握するための事前調査を行った。

環境部関係者は「駐屯軍地位協定(SOFA)のために米軍基地内調査は韓国政府だけでは着手できない」として「緊急な問題であるだけに駐韓米軍と共同調査をする前に先ず周辺調査を始めた」と説明した。

駐屯軍地位協定により米軍基地内の土地は韓国が駐韓米軍に提供した‘供与地’だ。米軍がこの土地を使用・統制する権限を持つため韓国政府でもそこを調査をしようとするには協議を経なければならない。

これに伴い、環境部は去る19日に開かれた駐屯軍地位協定環境分科委員会でキャンプ キャロルの枯れ葉剤埋却と関連した資料を米軍側に要請し、次の会議で‘基地内共同調査’を正式案件に取り上げ公論化すると明らかにした。

だが、韓米共同調査が本格化するためには少なくとも1,2ヶ月以上が必要とされるものと予想される。コイ・チソン緑色連合政策委員は「過去の事例を見ても基地内が汚染された証拠がなければ米軍は最大限に調査を先送りする態度を示した」とし「ソウル、緑莎坪駅一帯の土壌汚染も初めて疑惑が提起された以後 共同調査が本格化するまでに1年近くかかった」と話した。

韓米共同調査で枯れ葉剤埋却と環境汚染が確認されたとしても越えなければならない障害物は多い。駐屯軍地位協定により韓国と駐韓米軍が結んだ‘環境保護に対する特別了解覚書’が‘汚染者負担原則’を認めていないためだ。

汚染者負担原則は汚染発生者が環境被害を復旧しなければならないという環境法体系で通用する原則だ。

環境部関係者は「全世界に駐留した米軍は‘健康に対する急迫し実質的な危険’(KISE)に対してのみ環境浄化費用を負担するという立場を維持している」として「2009年韓国政府が実施する汚染危害性評価にともなう汚染度も反映することに合意したが、環境浄化費用を算定する際に韓国と米軍が意見の差は相変らず大きいだろう」と話した。また、環境浄化に合意しても米国連邦議会で予算承認を受けなければならないなど実際に浄化作業を終えるところまでは数年がかかるものと見られる。
住民たちの被害補償手続きも同じだ。駐屯軍地位協定により住民たちが補償を受けようとすれば先に韓国政府を相手に被害補償訴訟を提起しなければならない。住民たちが裁判所で勝訴すれば韓国政府は賠償金をまず支給し、韓国政府は駐韓米軍に求償権を請求することができるようになっている。米軍が周辺環境被害を認め一括的に賠償金を支給した例はない。

汚染された米軍基地の事後手続きはのろまと言えるが、環境汚染はそれと関係なく広がる。土の中に埋却された枯れ葉剤は地下水を通じて河川に流入すれば癌発生率増加など公衆保険上の莫大な被害をもたらす。この日キャンプ キャロル周辺に飲料水として利用される地下水の管井は5ヶ所と確認された。

保健医療団体連合は声明を出し「駐韓米軍は駐屯軍地位協定に関係なく環境汚染調査を前向きに受け入れ、韓国政府は米軍と協議がうまくなされなくとも国民健康保護のために強制的にでも調査を進行しなければならない」と主張した。

ナム・ジョンヨン記者 fandg@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/479004.html 訳J.S