原文入力:2011-05-01午後09:40:40(2232字)
‘民主労総 脱退’ソウル地下鉄労組員らの意識変化
子供の教育・老後の心配…昇進・賃金などに目配り
第3労総 積極的に支持と言うより "一度、船を乗り換えてみよう"
キム・ソヨン記者、パク・ヒョンジョン記者
"我々は労働福祉社会の実現と先進民主国家建設の旗手となる。我々は労働運動の健全な発展を図り民主労組の社会的使命をつくす。" 1987年8月、ソウル地下鉄労働組合がスタートする際に作った労組綱領の一部分だ。ソウル地下鉄労組は綱領に書かれた通り、全国労働者協議会(全労協)の核心事業場として活動し、1995年全国民主労働組合総連盟(民主労総)の結成に大きな役割を果たした。このように一時‘民主労組’の象徴とも言えたソウル地下鉄労組が去る27~29日の組合員総投票を経て民主労総脱退を決議した。組合員の53%が賛成票を投じた。彼らはなぜ民主労総を捨てたのだろうか?
ソウル地下鉄で20年を超えて仕事をしているキム・キチョル(仮名・40代後半)氏は 「率直に言って闘争よりは安定的に過ごしたかった」とした。キム氏は「若い時は労組活動を重要だと考えたが、今は子供たちの大学授業料問題、高齢の両親の病院費、老後生活などの方がもっと気になる」として「非正規職労働者たちより相対的に安定的ではあるが、家族が私の月給だけで生活しているので楽ではない」と話した。
実際、ソウル地下鉄労組設立当時に20代だった‘青年’らは今は40~50代の‘おじさん’になった。2011年現在の地下鉄労組組合員(8700人余り)の80%以上が40~50代だ。1997年の経済危機をたどりながら公共部門人材採用があまりなされなかったせいだ。
キム氏は「この頃は平均寿命が長くなり100才まで生きるというが、定年は58才」とし「仕事をする時間もいくらも残っておらず、常に不安な心」と語った。こういうキム氏には闘争も民主労総も希望にはなれなかった。彼は「何回もストライキをしてみたが公企業だからか解雇される人が増えるばかりで闘争で得るところがあまりなかった」と打ち明けた。また「社会的弱者のために仕事をする民主労総が正しいと考えるが、現場組合員との距離がとても遠く感じられ‘彼らだけの労働運動’と見えた」と話した。
教育・雇用・住宅・老後問題などで心が不安になった結果、組合員は労働運動という‘名分’より‘実利’側に振れた。10年前ペ・イルド前委員長が第3労総を推進した時も、2009年チョン・ヨンス現委員長の最初の民主労総脱退企図にも‘民主労総死守’を選択したソウル地下鉄労組であった。車両整備業務を遂行するパク・サンシク(仮名・40代初盤)氏は 「民主労総が実利の前に崩れた」と惜しんだ。ソウル地下鉄労使は民主労総脱退投票12日前の4月15日、労使協議会で昇進停滞解消、賃金構造改善などに対し大きな枠組みで合意し、細部的な内容は今後議論することにした。パク氏は「会社管理者が民主労総脱退にならなければ合意事項が‘水の泡’になると組合員を説得して回った」とし 「その上、投票結果が43ヶ支会別に公開されるが、その結果により成果給金額(0~400%)と人事が決定されるといううわさがぱっと広がった」と話した。
昇進と賃金、成果給は組合員にとって最も切実な問題だ。機関士のハン・ギウォン(仮名・50代初盤)氏は「政府指針のために7~8年にわたり賃金が凍結されているも同様なため成果給が重要で、職員採用と退職が活発でなく昇進の停滞はソウル地下鉄の慢性的な問題」として「これを解決するにはソウル市が乗り出さなければならないが、チョン・ヨンス委員長が交渉力があるので期待をしてみる」と話した。車両整備の仕事をするイ・チャンス(仮名・40代初盤)氏も「ソウル地下鉄労組は20代の‘若い労組’ではなく、家庭の責任を負わなければならない40~50代が大多数」とし「労組活動というものは純粋な心がなければならないが、組合員も実利が先に目に映るのだろう」と話した。
墜落する民主労総の地位と正規職労働者らの力に余る整理解雇反対闘争も組合員らの‘票心’に影響を及ぼした。パク・サンシク氏は「李明博政府になり民主労総の地位が市民団体水準に落ちたようだ」として「最近、双龍車整理解雇闘争を見ながら‘あれほど戦ったのに容易ではない’という無気力な考えになった」と話した。
民主労総脱退には賛成したが組合員が第3労総を積極的に支持しているわけでもない。キム・キチョル氏は「自律と共生など新しい労働運動を語り、結局ハンナラ党国会議員になったペ・イルド前委員長に対する記憶があったためか、組合員が第3労総に対して大きな期待はしていない雰囲気」として「ただ一度見てみようということ」と伝えた。ハン・キウォン氏も「第3労総がチョン・ヨンス委員長の個人的野望であることをよく知っている。だが、民主労総がゼネストにだけ執着するなど地下鉄組合員にこれ以上希望になれないから‘一度船を乗り換えてみよう’という気持ち」と話した。
キム・ソヨン、パク・ヒョンジョン記者 dandy@hani.co.kr
原文: 訳J.S