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[チェルノブイリ原発災難25年] 災難体験しても原発増やし…‘エネルギー独立’はずれた選択

登録:2011-04-27 11:20

原文入力:2011-04-26午後10:31:51(2536字)
国民の傷痕・恐怖は気にかけず "原子力拒否 難しい" 継続 拡充
政府が原発反対運動を弾圧
"ロシアに技術依存、ウラニウムは輸入…エネルギー独立とは言えない"

ナム・ジョンヨン記者

←主要原子力発電所事故にともなう原発政策の変化

(中) ウクライナ・ベラルーシ‘原発開発の逆説’
25年前、チェルノブイリ原子力発電所事故は人類に重い質問を投じた。人類は果たして原子力を管理できるのだろうか? チェルノブイリ原発4号機から洩れた放射性物質は全ヨーロッパを恐怖に追い詰め、科学技術に向けられた盲目的支持に対する反省が起こり相当数のヨーロッパ国家は原発を廃棄する方向に進んだ。だが、事故が起きたウクライナとベラルーシでは放射能の傷痕が未だなくなることもしない状況であるにも関わらず‘原子力ルネサンス’の風が強く吹いている。両国で起きている‘原発論難’を取材した。

1986年、ウクライナのチェルノブイリ原発で爆発事故が起き、放射性物質は大部分がベラルーシの森と大地に入り込んだ。国境を接した両国はチェルノブイリ事故の最大被害者だ。25年が過ぎた今、両国ではどのような変化が起きたのだろうか?

先ず、ウクライナで原子力は最大エネルギー源になった。電力生産に原子力が占める比率は1990年の26%から2009年には48%へと2倍近く増えた。68%から41%に減った石炭・ガスなどの化石燃料発電量を原子力が埋めたのだ。ウクライナ政府は今後も原子力発電所をさらに拡充する方針だ。政府は最近‘2030エネルギー戦略’で2030年までに原子力発電所22基を追加建設すると発表した。現在稼動中の原子力発電所15基の内、2010年代に設計寿命が尽きる10基も修理・補強工事を経て稼動するものと見られる。ヴィクトル イワノビッチ パルロハ非常事態部長官は去る18日、記者会見で「原子力発電所問題は世界的な問題だ。地域的には解決できない」とし「電力の半分を原子力に頼る私たちは拒否することが難しい」と話した。

チェルノブイリ被害者の集い‘ママ86’等、ウクライナの16ヶ市民団体は26日‘チェルノブイリ25周年’を迎えヴィクトル ヤヌコビッチ大統領に原子力発電所の安全点検と原子力発電所の縮小を要求する公開書簡を送った。 環境団体の‘ウクライナ エコセンター’のアルトゥル テニセンコ エネルギー局長は「ウクライナの原子力発電所は1970年代の後れた技術で建てられており危険だ」として「チェルノブイリが福島で反復されたように、ウクライナで再び事故が起きないとは言えない」と話した。

ベラルーシでも同様な状況が展開している。ベラルーシは今年9月、アストゥラベツに1200メガワット級の原子炉2基を作る工事に入り、2017年に完工する予定だ。ベラルーシ最大の原子力発電所だ。ベラルーシは現在、原子力発電所を建設するロシア政府と交渉している。ロシアは原子力発電所建設に60億ドルを貸すという立場であり、ベラルーシは90億ドルを要求している。

環境団体‘エコドーム’(エコホーム)のイリーナ スヒ顧問は「政府は原子力発電所予定地住民の反対署名用紙を押収するなど、原子力発電所反対運動を弾圧している」とし「私たちの団体が原子力発電所反対意見を言うことができた機会は昨年の大統領選挙討論会一度しかないほどに自由な議論が遮断された状態」と話した。

反面、ヨーロッパの大部分の国々はチェルノブイリ事故以後、原子力発電所を縮小する方向に動いた。イタリアは事故の翌年、国民投票を経て原子力発電所を廃棄し、ドイツは1998年に社会民主党-緑色党連合政府が出帆し、すべての原子力発電所を閉鎖する側に方向を定めた。1979年のスリーマイル原子力発電所事故を体験した米国は新規原子力発電所の許可を出していない。

←26日午前1時24分(現地時間)、ウクライナの首都キエフで開かれたチェルノブイリ犠牲者追慕ミサでクレバロチカ ライサ(64)が涙を流している。彼女の夫は事故当時、チェルノブイリで生活必需品を供給する仕事をしていたが4年前に癌で亡くなった。 ナム・ジョンヨン記者

ウクライナとベラルーシは‘エネルギー独立’のためには原発を避けることはできないと主張している。電力の一部をロシアから天然ガスを輸入して充当しているためだ。実際、ウクライナは2009年 価格論争の末にロシアが天然ガス供給を中断して苦しめられた。だが、ロシア環境団体‘持続可能性のための北部連帯’のアンドレ オジャロプスキー エネルギー局長は「ロシアが天然ガスの代わりに原子力発電所を売るということに過ぎない」とし「ウクライナとベラルーシはロシアの原発施設と技術に依存し、ウラニウムを輸入しなければならないためエネルギー独立はできない」と反論した。彼は「風力とバイオディーゼルなど活用可能な再生エネルギーに対する研究投資が殆どない」として「真のエネルギー独立は再生エネルギーでこそ可能だ」と付け加えた。
両国の原子力発電所建設は国際的論難を産んでいる。ベラルーシのアストゥラベツ原子力発電所はリトアニアの首都ヴィリニュスから50kmしか離れておらず、リトアニアの反対にぶつかった。オーストリアは昨年‘国境地域環境影響評価’を実施するなど憂慮を示した。25年前のチェルノブイリのように原発事故の被害は国際的であるためだ。

両国はチェルノブイリの傷痕と実利の間で葛藤している。イ・ホンソク エネルギー正義行動代表は「市民団体など強力な牽制勢力がなく、きちんとした社会的議論がなされていないことが問題」として「最大の被害者がチェルノブイリの教訓を再確認できずにいる」と話した。 キエフ・ミンスク/ナム・ジョンヨン記者 fandg@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/475014.html 訳J.S