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"私の名前は李忠成(り ただなり)…堂々と生きる"

登録:2011-02-24 12:51

原文入力:2011-02-23午後09:01:14(2683字)
日本にアジアンカップを抱かせた在日同胞 イ・チュンソン

"祖国を捨てたのではなくサッカーを選択しただけ"
"日本社会に帰化した後、露骨な差別はない"
"芸能人あゆみ(訳注:日本ではICONIQ名義で活動)と交際中…大きな力になってくれる人"

キム・ヨンギ記者

←イ・チュンソン

今年、韓国・日本のスポーツ界で最高の話題の人に浮上した人は在日同胞4世サッカー選手イ・チュンソン(25・日本名 り ただなり・サンフレッチェ広島)だ。彼は2011アジアンカップ サッカー決勝戦で絵に描いたようなボレーシュートをさく烈させ日本に優勝カップを抱かせた。この‘歴史的一発’の津波が揺さぶったのは日本列島だけではない。韓国では在日同胞に向けられた‘斜めな視線’を確認させた。民族、祖国、国籍、差別、帰化などイデオロギー臭が濃く漂う‘20世紀の単語’が相変らずこの土地に健在だということを示した。

イ・チュンソンは2004年、U20韓国国家代表チーム選抜のための最終合宿訓練に招集されもした。だが、最終メンバーには選ばれず日本に帰らなければならなかった。彼は後日「当時‘半日本人’という後ろ指を指された」として、差別論を提起し衝撃を与えた。以後2007年には韓国国籍者としては初めて日本サッカー国家代表に選ばれるために日本に国籍を変え、再び周囲を驚かせた。そして2011年。彼が体験した傷がどれほど治り、何のために帰化を選択したのかが気になった。17日、所属チームの現地訓練地である日本、宮崎で彼に会った。

-‘その日’以後、家族と周囲の反応はどうですか?

 "私は変わっていないが周囲が変わりました。同胞社会の方々は「君はやり遂げた。涙があふれた」として激励を送って下さいます。しかし、父は‘人気も今月までだ。ゴール一つ入れたからと偉そうに振る舞わず、いつも謙虚で’と忠告してくれます。"

-決勝ゴールを入れた後、親指でユニフォームに書かれた‘LEE(李)’を指しましたが・・。

 "在日同胞としての自負心を言いたかったのです。韓国は今日の私があるようにした祖国です。それで心の底で常に悲壮な覚悟を抱いていましたよ。"

在日同胞の大部分は日本名を別に持っている。さらに帰化をする場合には姓も変えるのが一般的だ。格闘技スター チュ・ソンフン(35)は2001年10月に帰化した当時、姓を秋山に変えた。しかし、イ・チュンソンは姓をそのまま維持した。

←日本サッカー国家代表攻撃手イ・チュンソン(サンフレッチェ広島)が17日、現地訓練地の宮崎イベント広場でファンたちにサインをしている。

-なぜ帰化しながらも姓をそのまま使うことにしたんですか?
 "自然にそうなりました。韓国系という事実を隠すことより、堂々と明らかにして生きたかったのです。帰化したと言っても、私が韓民族血統ということは変わりません。このようにすることが後で後輩たちにも可能性と道を作ることになると考えます。"

-どんな可能性を言っているのですか?

“姓を変えなくても日本代表として突っ走り良い選手になることができるという可能性です。帰化を準備する後輩選手たちが自ら韓国系であることを明らかにすることができずに悩むケースが多いのです。その後輩たちに私の歩みが一つの答になればうれしいです。私は帰化したけれど、死ぬまで先祖に対する責任感を持って生きていくでしょう。そのような信念を持って生きれば自分を理解できます。”

-帰化を決心した時、周囲から反対はありませんでしたか?

“サッカーをしたかったのです。もちろん私は韓半島に根を置いているけれど日本で生きていかなければならない‘ザイニチ’(在日)です。ザイニチとしてサッカーを継続したかっただけでした。私の決定に対して色々な話が出てきたことをよく知っています。それで一層熱心に走らなければならないと誓いましたよ。祖国を、民族を捨てたのではなく、サッカーを選択したのです。周辺でもこれを理解してくれました。”

←日本サッカー国家代表攻撃手イ・チュンソン(サンフレッチェ広島)が17日、現地訓練地の宮崎イベント広場でファンと写真を撮っている。

-帰化せずに韓国国家代表になろうと努力する若い選手たちが大勢いますが。

“難しく考えない方が良いです。時間が多く流れただけに、今はそんなこと(差別)もあらかた消えたでしょう。自身が後悔しないよう熱心に走ればそれで充分です。”

-逆に日本社会に差別が残っていますか?

“100%ではありませんが殆どありません。日常生活ではどうかわかりませんが、サッカーをしていて露骨な差別や偏見はもうありません。”

-今後、韓国代表チームと出会う機会が多いと思いますが。

“サッカー選手として試合に出たいのは当然です。攻撃手なのでゴールを入れたい欲も多いはずですしね。単純に韓国・日本の定規だけで眺めなかったら嬉しいですね。”

-サッカー選手として自分に何点をあげられますか?

“今後の成長可能性を含めて点数をつければ70点です。広い視野と瞬発力、そして精神的武装は誇れると思います。短所といえば球の処理が多少慎重でない時があるということです。体力とスピードももっと上げなければなりません。”

←イ・チュンソン プロフィール

-韓国チームからスカウトの提案が来ればどのようにされますか?

“まずはうれしく思います。それだけ私の実力を評価してくれたということですから。でも、人気を得たからといって今のチームを捨てて去るようなことはしたくありません。”

-芸能人あゆみと熱愛説がありますが。結婚を念頭に置いた交際なのでしょうか?

“まだ結婚よりサッカーが優先です。それでも今、私がサッカーをする上で多いに力になってくれています。”

-今後、どんな選手になるのが目標でしょうか?

“私がうまくなるほど私たち在日同胞たちにはそれだけ大きな勇気となるでしょう。私のようにマイノリティの人生を送る道もあり、またその道を黙黙と歩いていけば成功できるということを見せてあげたいです。それが私が一生抱いて行かなければならない宿命的課題です。”

宮崎/文・写真 キム・ヨンギ記者 ykkim@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/sports/soccer/464891.html 訳J.S