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金になる映画を作らなかっただけです…大ヒット「朝鮮名探偵」製作のキムジョ・グァンス代表

登録:2011-02-15 11:20

原文入力:2011-02-14 午後07:24:04(2366字)

公開3週目で観客360万人突破
俳優・監督・脚本の調和で興行突風
10年間インディペンデント映画を作って莫大な借金
「挑戦的映画、また撮りますよ」

←『朝鮮名探偵:トリカブトの秘密』を製作した青年フィルム キムジョ・グァンス代表

『朝鮮名探偵:トリカブトの秘密』が先週末、公開3週目で観客360万人を突破した。「朝鮮時代版シャーロック・ホームズ」があまりにも魅力的なのに加え、キム・ミョンミン、オ・ダルスの演技派俳優のコミック コンビに、ハン・ジミンのしっかりとしたヒロイン演技を格別な演出で組み合わせたキム・ソギュン監督の手腕が大きな役割を果たした。だれもが楽しみたい旧正月に封切りを合わせたことも的中した。『朝鮮名探偵』の興行突風は、これまで注目される作品を着実に作ってきたもののヒットとは縁遠かった青年フィルムのキムジョ・グァンス代表(46・写真)の「初の商業映画」という点でも注目を引く。

キムジョ代表は、1999年『ハッピーエンド』を始め、10年以上にわたり作品性の高いインディペンデント映画を作ってきた。その間に積もった借金が20億ウォ ンを越えるという彼は「しなかったから そうなのであって、青年フィルムも金になる商業映画を作れる」ということを示そうと思ったという。

「2005年『赤い靴』が150万を記録した以外に、これといったヒット作がありませんでした。1年で約1億の借金が増えてしまい、限界に達しました。冒険をしたつもりだったのですが、多くの観客に来てもらえて幸いです。信じて待ってくれた投資家の方々に感謝します。」

『平壌城』より1ヶ月、『グローブ』より2ヶ月遅く撮影を始めたが、『朝鮮名探偵』は早く撮影を終えて冬シーズンに封切りできた。シチュエーションコメディ番組のプロデューサー出身であるキム監督の手際のよさの賜物だ。後半の作業をしながら、競合作品が感動中心路線で行くことを確認し、キャラクターコメディーに方向を定めたと語った。演技の達人キム・ミョンミンにコミックの達人オ・ダルスの出演作なので、資金調達に格別の困難はなかった。

干渉はなかったのだろうか? 「心配しましたが ありませんでした。むしろ投資者である(映画配給会社の)ショーボックスに、観客の好みの変化を聞きました。元々、ミステリー推理とキャラクター・コメディーの比重が同程度でしたが、編集してキャラクター・コメディー性格が強くなったのはそちら側の意見を反映した結果です。個人的に製作と投資の完全分離を望ましいとは考えていません」

『朝鮮名探偵』は、キム・タックァンの小説が原作だが、二人の主人公は原作には登場しない。キム・タックァンとの対立はなかったのだろうか。「シナリオ作業初期には話しませんでした。先送りに先送りを重ねて、昨年春に話をしましたが修羅場だったんですよ。撮れないようにするという話まで出てきましたね。ですが、あの方の進歩的指向が私たちと相通じましたし、自身の作品が映画化されるのを見 たがりました。版権が売られたことはありますが、まだ映画になったことがなかったんですよ。結局、チョン・ヤギョンの名前を抜いて、キム・ジンで落ち着きました。 VIP試写でも、おもしろくできたねと言ってくれたんです」

彼は最初、フュージョン史劇を指向していたと言った。正祖時代の保革対決構図を想定していたのだが、一部の観客が正祖から金大中元大統領や盧武鉉前大統領を連想するとは考えられなかったと話した。

青年フィルムは、1999年、インディペンデント映画を作っていた「フィルム製作所 青年」をディレクター中心に改編し再スタートした。ジャングルのよう な映画業界で10年を超えて生存した数少ない映画会社だ。しかし、昨年6月に職員たちと事務室を整理した。今は有給職員1人だけであり、事務室は他の会社から臨時に借りて使っている。ディレクターたちは、プロジェクト別に離合集散する。同じ夢を持ち15~20年以上も共同作業してきたことであり意に介さない。

「事情はよく分かっているから『今までありがとうございました』と言うんです。払えなかった月給や退職金もあるのに、今まで一度も電話がないんです。もう私が電話をしなくてはね。利子まで付けて返すと…」彼は <朝鮮名探偵>を機会に金がなくてあきらめていた「挑戦的映画」をまた作れるようになり嬉しくて幸せだと語る。

カミングアウトした同性愛者のキムジョ・グァンス代表は監督でもある。今までに同性愛を扱った映画2作を撮った。2008年『少年、少年に会う』(13分)、 2009年 『友人の仲?』(30分)。『少年、少年に会う』は4000人、『友人の仲?』は8000人の観客が入った。2つの作品の全製作費の2/3を後援支援金で充填した。一つの作品を20回以上見た人が結構いるという。「感謝しています。1万~10万ウォンを後援するというのに、大部分の方が字幕に名前が載 り封切り前に映画を見られることで満足してくれます。私が演出する映画にエキストラで出演したりもしました。」

今回演出する映画は、結婚の圧力を受ける30代ゲイの話だ。彼は俳優らがベッドシーンを負担に感じて、キャスティングが遅れていると「強く心配」した。

文:イム・ジョンオプ先任記者 blitz@hani.co.kr
写真:キム・ミョンジン記者 littleprince@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/463362.html 訳M.S