原文入力:2011-02-06午後08:08:31(2539字)
同じ疾病群に分類されれば診療内容・治療費 同等
病院が過剰診療すれば損害
包括酬課制 導入後、患者入院日数が減り医療サービス満足高まる
キム・ソヨン記者
←ドイツでは健康保険の保障性が高く病気に罹った時に治療費を心配する人が殆どいないという。 ドイツ タルムシュタット ティブルク病院のある看護師が老人患者を世話している。
[健保改革 ヨーロッパに答を探す]
①ドイツの包括酬課制
②フランスの国庫支援
③専門家座談
先月4日に訪れたドイツ、フランクフルト近隣のタルムシュタット ティブルク病院。 20人余りの人々がロビーに座り話を交わしていた。 壁には美術作品が架かっていてアルコールの臭いが全くせず病院の感じがしなかった。ティブルク病院の院長 クリスティアン ケラーは「ドイツが去る2004年から全面実施している包括酬課制(DRG)により病院経営がとても透明になった」 と明らかにした。 心臓疾患・盲腸など患者の病気と苦痛の程度により同じ病気群に分類されれば、ドイツのどこの病院でも同等の診療を受け診療費も同じであるためだ。ケラーは「特定病院が収益を出すために過剰診療をしたり、患者たちが特別な理由なしに病院にもっといたいと要請しても診療内容、入院日数などが標準化されており、ほとんど不可能だ」と話した。
ドイツも高い保障性と高齢化にともなう医療費増加で健康保険財政負担が大きい状態だが、数回の改革を通じ足早に対処してきている。 ドイツが最も気を遣った分野は、病院診療費の支払い構造改善だ。 ドイツは去る2003年のモデル事業に続き2004年から精神科診療と特殊病棟を除くすべての入院診療に包括酬課制を全面導入した。 7ヶの病気群に限り、希望する病院にのみ適用している我が国とは異なり、法的に義務化した。ドイツで入院診療を受ける場合、包括酬課税導入前は医者たちが患者に実施したすべての診療項目を集め診療費を疾病金庫(韓国の国民健康保険公団)に請求していた。 だが、この包括酬課制導入後は病気群に該当する診療費だけを請求しなければならないため過剰診療をすれば病院だけが損害をこうむる構造に変えた。
行為別酬課制中心の韓国では、病院と医師が「患者の状態が異なるのに、それを標準化すれば医療サービスの質が落ちかねない」 とか「医師の診療権限を侵害する」等の理由で包括酬課制の全面導入に反対している。 これに対してドイツの医者たちはどう思っているのだろうか?
ティブルク病院医師のミシャエル ヴァルツ(内科専門医) は「包括酬課制を適用すれば医療の質が落ちるということは理解できない論理」 として首を横に振った。ヴァルツは「患者の状態が違えば医師の判断により補充検査や診療ができる」として「ただし医師が行った追加診療に対する診療費を受け取るためには疾病金庫に明確に説明しなければならない」 と話した。
医療権侵害の主張に対してもヴァルツは「包括酬課税を診療過程で基本指針書と考えている」 として 「患者もどの病院に行こうが標準化された診療を受けられ肯定的」 と強調した。
医療サービスの質はドイツでも重視される部分だ。ドイツは各週ごとに ‘医療の質 保障機構’ が1年に一回ずつ各病院の医療サービスを評価している。また、ドイツの病院は1年に一度、手術副作用、診療内容、衛生状態など医療サービスの質に関する報告書を国民の誰もが見られるように公開しなければならない。 これに伴い、病院ごとに医療の質を引き上げるための競争を行っている。ドイツの7ヶの疾病金庫の一つである ‘バルマー’(BARMER)のヨハイム ポイルラルト健康保険給付担当者は 「ドイツで包括酬課制が施行され医療の質が落ちたという報告書はただの一度も出たことがない」 として 「むしろ上向平準化している」 と明らかにした。
入院日数の減少傾向も続いている。 1991年に14日間だった平均入院日数が、去る2009年には8日まで減った。 ただし高齢化などの影響により医療費合計額は減らなかった。
‘バルマー’ のカルゲオルク ポルプ代表は 「明らかなことは包括酬課制の施行で医療費の急激な増加は防げたという点」 とし 「病院経営が透明になり健康保険財政に対する予測がある程度可能になるなど長所が多く、ドイツは包括酬課制に満足している」 と話した。
フランクフルト/文・写真 キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr
※包括酬課制(DRG:Diagnosis Related Group)
診断名を基準としてあらかじめ決められた診療費を支払う制度だ。 患者は病気の軽重と主診断名および副傷病名、手術、診療結果などにより同等な疾病群に分類される。 診療行為が標準化されており、不必要な医療サービスの乱用を減らせ、‘非給付’ 診療が多い我が国の場合 ‘非給付’ 項目を包括酬課に含ませ給付化すれば保障性の拡大も期待できる。米国はもちろんドイツ、フランスなどヨーロッパでは大部分が各国の特性に合う包括酬課制を実施している。
行為別酬課制
医療関係者が提供する各種検査と診療行為の一つ一つに項目別に価格を付け診療費を支払う制度だ。 医療関係者が診療行為を多く行えば行うほど利益が生じるので過剰診療が行われる可能性が高い。利潤を出さなければならない民間病院が90%も占める我が国では、行為別酬課制が健康保険財政支出を増やす原因となっているという指摘が出ている。
総額契約制
病院・医師など医療供給者と保険者(国民健康保険公団)が国民の医療サービスに対する年間診療費を総額で契約し支給する方式だ。医療機関は総額限度内で診療行為を行わなければならない。 台湾、オランダなどが実施しており、ドイツとオーストリアは包括酬課制を基礎にした総額契約方式を施行している。
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/health/461980.html 訳J.S