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「バイヤーは背を向け・・・赤字ばかりが積もる」

登録:2011-01-31 00:05

原文入力:2011-01-19午前09:25:07(2553字)

「対北制裁 長期化」開城(ケソン)工業団地企業の溜め息
工場建設中断措置で数十億の投資 放棄状態
取引先途切れ事実上の休業、職員は離職続出
「政府は支援できないくせに不安助長ばかり・・・枯死直前」

チョン・ウンジュ記者

開城工業団地現況.(資料:統一部)
 設立目的:南北の共同繁栄と交流協力に寄与
 設立根拠:南北経済協力4大合意書、開城工業地区合意書、開城工業地区支援に関する法律
 位置:北朝鮮 開城市 ポンドン里
 着工日:2003年6月
 面積:330万平方メートル(100万坪 1段階)
 進出企業(工場稼動):122(2011年1月基準)
 北側の労働者数:4万5332名(2010年11月基準)
 年間生産額:2億9429万ドル(2010年基準)
 総投資額:1兆2583億ウォン
 経協保険:4859億ウォン(2010年6月基準)

「開城工業団地企業を枯死させる気か」 政府の対北制裁長期化に伴い、開城工業団地の入居企業が崖っぷちに追い詰められている。 入居企業代表8人が最近、名前を伏せることを前提に<ハンギョレ>と連続インタビューをした。 彼らは政府の新規投資禁止措置で工場建設が中断され、数億ウォンを棒に振るなど状況がさらに絶望的になっていると打ち明けた。 それでも彼らは南北双方の当局に憎まれるかと思い、公式的には不平の一言も言えずにいる。

■設備投資費 利子ばかり積もる
政府は昨年天安号沈没事件に対応して北との交易および交流中断(5・24対北措置)を宣言した。開城工業団地は既存設備だけ稼動させ、常駐人員を半分(500人)に減らして追加設備搬入は禁止した。このため新しく工場を建てていた業者16ヶ所が直撃弾を受けた。

縫製工場を建てるのに南北経済協力支援資金50億ウォンを投資した衣類業者のK社は、工事を90%ほど進行した状態で中断となった。 輸出入銀行で貸し出しの90%だけ保証人になってくれているので、直ちに数億ウォンの元利金償還負担をK社が抱え込まなければならなくなった。 政府の補償金が出るまでは輸出入銀行保証貸し出しに対する年利子1600万ウォンも会社が出さなければならない。K社の代表は「南北経済協力事業をしろと金を貸しておいて、交流を中断して損失だけ与え、政府が国民を相手に“利子取立ての商売”をするのか」と腹立たしそうに問い返した。 これまで開城工業団地に投入された資金は総額1兆2583億ウォン、このうち入居企業が出した設備投資費が7300億ウォンで最も多い。

■職員が辞めていく
衣類業者のN社は本来南側職員7人が北側労働者330人と一緒に仕事をしていた。 しかし政府が常駐人員を半分に縮小しろと指示したため今では南側常駐職員は3人だけが残っている。 2人は会社を辞めた。 N社代表は溜め息をついた。「退社した職員は10年以上も一緒に仕事をしてきた40代の家長だ。 朝6時に起きて70~80kmを出退勤するのも大変だし、その上政府が「身辺保護」を云々し、かえって不安感を煽るので家族が開城の工団に出勤するのを止めさせたんです」

人をまた採用することもできない。 面接をして出勤日まで決めたのに、二ヶ月余り前 延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件が起きた後は新入社員が辞めてしまった。本社がソウルにあるN社はましな方だ。 出退勤が不可能な大邱(テグ)、光州(クァンジュ)、釜山(プサン)にある会社の職員は京畿道(キョンギド)文山(ムンサン)でモーテルを転々としている。 T社の代表は「開城工業団地のりっぱな社員寮を空けておき、もう何ヵ月も職員が時間と金と体力を浪費している」として「離職率が高まるのは当然だ」と話した。

R社の代表は南側職員の身辺を保護しようとするなら政府が常駐人員をもっと増やしてくれなければいけないと強調した。「身辺安全の保障が難しいならば1人も開城工業団地に残してはいけないだろう、500人ならよくて1000人はだめというのは話になるか?」

■それでも放棄できない理由
不安感から取引先も途切れた。 衣類業者のM社は生産量の70%を購入してくれていたバイヤーがこの年末離れていった。 「バイヤーは対北制裁措置で原材料搬入が難しくなるからと心配していたが、『政府が開城工業団地を見捨てたようだ』と言って結局取り引きを中断した。 注文がなくて休業しても労働者に賃金は与えなければならないから赤字が日々積もって行く」とM社代表は打ち明けた。 南側職員の出入りが減って工団内商業施設であるソンアクプラザのマートとビヤホール、カラオケなど6つの業者も廃業した。

P社代表は「国会が満場一致で可決した開城工業団地支援法を見れば、大韓民国のどこの地域でもやっているように自由に企業活動ができるよう政府が支援・保障することになっている」として「法律でもない長官の命令で財産権と企業活動を制限する行政便宜的発想のせいで、我々は枯死寸前だ」と鬱憤をぶちまけるように言った。

崖っぷちに追い詰められた状況だけれども、彼らは「開城工業団地閉鎖」にはきっぱりと反対する。その理由をS社代表はこのように説明した。 「初めは文化的・理念的違いのためにスムーズにはいかなかったが、今は北側の労働者が企業を理解している。 納期日をなぜ守らなければならないのか、品質をなぜ高めなければならないのか、なぜたくさん作らなければならないのか、十分理解している。南北同質性を回復し統一費用を減らす役割を開城工業団地がしているのだ」 O社代表も「戦争の可能性も工業団地にいる南北の労働者のために抑制されているのだ」として「平和と共生のために南北が疎通できる平和の経済特区として発展させなければならない」と提案した。
 
チョン・ウンジュ記者 ejung@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/459388.html 訳A.K