原文入力:2009-02-11午前08:08:14
ウォン・セフン国家情報院長 候補 聴聞会
シン・スングン記者カン・ヒチョル記者
←10日午前ソウル,汝矣島,国会情報委員会ウォン・セフン国家情報院長候補者人事聴聞会パク・ジョンシク記者anaki@hani.co.kr
ウォン・セフン国家情報院長候補者が10日国会人事聴聞会で‘政治情報収集不可避論’を展開した。また、しばらく停滞していた国家情報院関連法改正意志を蘇らせて国家情報院組織改編方向を明らかにした。こういう発言はイ・ミョンバク大統領の最側近であるウォン候補者が‘国家情報院の親衛隊化’に積極的に出ようとしていることを見せている。
■政治情報収集陽性化
情報収集日陰→日の当る場所…収集範囲・概念は曖昧
ウォン候補者の“政治情報収集は避けられない”という発言は、この間日陰で国会や政党を対象になされてきた国家情報院の政治情報収集を‘おおっぴらにやる’という意と見える。正しい政策決定と体制転覆勢力から政界を保護するというのが名分だ。
しかしこうなった場合、政治情報収集という名の下で政治査察につながる可能性が大きい。しかもウォン候補者が明らかにした政治情報の収集範囲と概念が曖昧でこういう疑惑をより一層大きくしている。
ウォン候補者は政治情報収集と政治査察または政治関与は明確に違うとし、聴聞会の間一貫して“政治介入は根絶する”と繰り返し明らかにした。だが彼は国家情報院が収集する政治情報の範囲を特定できなかった。結局、国家情報院が政策情報収集を名分にして国会と政党などに対していくらでも情報を収集することができる。ハンナラ党内の親イ・ミョンバク系統議員らがろうそくデモ局面で国家情報院の情報収集能力不足を叱責し法曹界出身のキム・ソンホ院長が‘政務的情報活動’をできないという理由で院長交替論を力説してきたという点を考慮すれば国家情報院の逸脱の可能性が非常に大きい。
さらにウォン候補者が‘体制転覆勢力の浸透’予防を政治情報収集の根拠として提示したことは、軍事独裁政権時期に情報機関が政治的公安事件を作った論理と似ている。この日民主党のウォン・ヘヨン,パク・チウォン議員などが“国家情報院の政治介入意志を明らかにしたもの”と批判して発言の誤りを認めることを強く要求したのもこういう憂慮を反映したのだ。
だがウォン候補者は“国家主要政策が政治圏で決定されるので(体制転覆勢力の)浸透目標になることがありえ、この部分に知識をもって情報活動をするものの政治介入や政治査察だという声が出ないように努力する”という言葉ばかり繰り返した。
■国家情報院法 テロ防止法 推進
国家情報院長 権限肥大化…恣意的法適用 憂慮
ウォン候補者が国家情報院法改正と国家対テロ活動に関する基本法制定に乗り出すという意向を明らかにしたことも論難が予想される。国家情報院が国際安保環境の変化,テロ危険の増大などを理由にこれら法案に対する改正に同意するということはよく知らされた事実だ。 しかしウォン候補者のように情報機関長が直接公開的に推進意向と目的を明らかにしたことはとても異例的だ。
ウォン候補者はこの日聴聞会で国家情報院法改正と関連して、2つの意味深長な返答をした。最初に“法律上の不一致で国家情報院業務遂行がかなり難しい”として“今回、業務不一致程度は直さなければならない”と話した。二番目は国家情報院法に政治情報収集規定がないのにどうしてそのような活動をするのかというウォン・ヘヨン議員の質問に“これから国家情報院法が(改定)されればそういうことも考慮する”と明らかにした。国家情報院法改正を通じて政治情報収集の道を開くということだ。
ウォン候補者のこういう発言は、ハンナラ党が国家情報院の職務範囲を‘国益に関する政策情報収集’に拡大する法案を提出し政治査察許容批判に押され撤回し急速に弱まった国家情報院法改正動力を甦らせるという意も含まれている。
ウォン候補者はこの間論議が度重なったテロ防止法に対しても、“世界的傾向”として“今回の機会に法制化する”と明らかにした。しかしテロ防止法は去る16~17代国会で推進し失敗に終わったことがあり相当な論難が予想される。国家情報院長傘下に‘対テロセンター’を設置しセンター長も国家情報院長推薦で大統領が任命するようにする内容で、国家情報院長の権限肥大化,包括的な‘テロ団体’規定などで国家保安法の‘利敵団体’条項のように国家情報院の恣意的な法適用が憂慮されるためだ。
■国家情報院組織改編
国内外情報統合…政治的使用 牽制装置必要
ウォン候補者は“グローバルな世の中なので情報を国内・国外に分けにくい”として国内と国外の情報を統合し運用するという構想も明らかにした。国家情報院の内部事情に明るい人々はこの話を‘米中央情報局(CIA)モデル’を持ってくるという意味に読んでいる。現在国家情報院組織は海外・国内・対北朝鮮などに分野が分かれており、収集した情報も各分野別に分析・加工・報告される自己完結的体系を備えている。各分野間には‘分離と遮断’の原則が適用される。しかし米中央情報局は大きく見れば情報の‘収集’・‘作戦’(工作)と‘分析’に分かれている。すなわち国家情報院が対象中心に組まれている反面、米中央情報局は機能中心に動く。
ウォン候補者の言葉が実現されるならば現在、海外2.5,国内3.5,対北2,企画調整2で配分されている国家情報院の業務・人材体系も再編される可能性が大きい。国家情報院高位職を務めたある要人は「ウォン候補者の構想は過去政府でも国家情報院発展計画が議論される時ごとに入っていた常連メニュー」として「発展的に試みる必要がある」と評価した。彼はしかし「そのように収集・分析した情報を統治権者の政治的目的のために使わないように牽制する装置が必要だ」と指摘した。
ウォン候補者はまた「情報機関を実務的に構成し色々な政策を決める方向で活動する」と話した。政府各機関で生産される情報を国家情報院が集約して政府政策と結びつける‘統合調停者’の役割をするという意だ。それだけ国家情報院の権限と地位を他の情報機関より強化するということだ。
シン・スングン,カン・ヒチョル記者skshin@hani.co.kr