原文入力:2010-12-06午前08:45:34(2430字)
[診断&展望] 税金と国家財政
政府・与党、所得・法人税 最高税率 2012年 引下方針
確定すれば税収減少分を埋めるために間接税比重 増える憂慮
ある国家がどのような税率を採択するかは、時の経済状況と財政状態だけではなく、高齢化、所得分配状況、そして国家政策方向と執権政党など、各国が処した条件により異なるだろう。4~5年単位で見れば、税率の騰落が現れるが、過去の主要国の税率変化をもう少し長く調べれば、数十年間持続している減税・増税トレンドを発見できる。
1920年代から最近まで、米国の連邦所得税税率の流れが代表的だ。(グラフ参照) 1920年代に20%台に留まっていた米国の最高所得税率は、1929年大恐慌を基点に増税局面に入る。大恐慌を克服するためのニューディール政策で財政支出を大きく膨らませると同時に所要財源確保のために高所得層の所得税率を‘税金爆弾’水準に急激に上げる政策を展開した。民主党のルーズベルト大統領は1931年に25%だった最高所得税率を翌年には63%に引き上げ、その後1939年88%まで税率を高めた。2次世界大戦で莫大な戦争費用が必要とされ、1944~45年には94%まで高まった。
1960年代に入り米国は減税局面に反転する。リンドン・ジョンソン大統領は税金減免を通じた民間経済活性化政策を選択し、1964年には最高所得税率をそれまでの91%から77%に引き下げ始め、以後 減税政策を着実に実施した。減税政策にもかかわらず、米国の経済成長率は継続的に下落し租税収入が減ることにより財政赤字を避けられなかった。失業率が上昇し福祉関連支出は増加し、インフレーションのために低所得階層の生活水準はますます悪化した。
この時に登場したレーガン政府は福祉縮小と結合した労働市場柔軟化、脱規制戦略で対応する いわゆる‘市場原理主義’を指向し、1982年に以前よりさらに果敢な税金減免を推進した。レーガンは平均所得税率を3年間で25%下げる法案を通過させ、最上位所得階層の最高税率は70%から50%、最下位所得階層の最高税率は14%から11%に引き下げた。大幅な税率引き下げで米国はこの時から財政赤字が雪だるまのように増えたにもかかわらず、1986年所得税追加減免措置を通じて最上位所得階層の所得税率を28%へ、最下位所得階層の所得税率を10%に下げた。
莫大な財政赤字を受け継ぎ1993年に執権したクリントン大統領は、就任後自身の任期末までに赤字を半分に減らすという政策を発表する。このため最高所得税率を39.6%に上げ、最下位所得階層の税率を15%に上げ米国連邦予算は小幅ではあるが黒字に戻ることに成功する。
だが、共和党ジョージ・ブッシュ大統領は今後10年間に予想される黒字の半分を利用し、所得税を大幅に削減するという公約を実行に移し、2003年から最高所得税率を39.6%から35%に再び引き下げた。米国の場合、1960年代以後 減税トレンドが続いていることを見ることができる。
我が国も1次石油波動以後の1975~79年には最高所得税率が70%だった。その後、税率を継続的に低め、現在は課税標準額8800万ウォン超過区間に該当する最高税率が35%で、30年前に比べ半分水準に低くなった状態だ。(グラフ参照) 米国と同じ減税トレンドが我が国にも現れているということだ。
しかしグローバル金融危機以後、最近 世界各国は再び増税局面に反転する兆しを見せている。米国は危機以後により一層悪化した財政を健全化するために年間所得25万ドル(約2億7500万ウォン)以上の高所得層は現行35%から39.6%に原状復旧する予定だ。英国は15万ポンドを越える所得に対する税率を40%から45%にすでに上方修正した。
我が国でも減税論争が熱い。論議の焦点は2012年から施行が予告された所得税・法人税最高税率引き下げに集中している。政府と与党は2009年から所得税最高税率を現行35%から33%に、2億ウォン超過の法人税率を現行22%から20%に下げ用としたが、種々の反対にぶつかり、ひとまず施行時期を2012年に留保している。幸い最近 減税論議の枠が決まっているようだ。断定するにはまだ早いが、減税撤回側に大きな方向が捕えられたと見てかまわないだろう。所得税の部分は最高税率区間を追加作成し補完するのは、根本的な解決策ではないがそれでも折衷案という側面で幸いだという考えだ。
一般的に財政支出を大きく減らさない状態で減税政策を駆使する場合、減税分を間接税で埋め合わせる現象が蔓延する。間接税比重は2007年の47.3%から今年は52.1%に高まる。目に見える所得税や法人税など、特定部分の税金を割り引き、減った税収を賦課しやすい間接税を通じて国民多数に転嫁させる構造だ。2012年に法人・所得税税率が調整されれば、間接税比重はさらに高まるほかはない。年間の税金減免額5兆ウォン程度を埋めなければならないためだ。法人税を低くすれば投資が活性化し、関連税収が増える余地がある。だが、高所得に対する所得税率を低くすれば内需増大効果は少し生じるものの税収不足分は庶民・中産層が直間接的に抱え込むことになる。税制の貧益貧 富益富構造が固定化される恐れがある。暮らしが難しい庶民・中産層の経済事情を考慮し高所得に対する所得税減免は再考しなければならない。合わせて間接税を‘税金を取り立てる妖術棒’と見做す政策発想もまた再考する必要がある。 ソン・テジョン/ウリ金融持株会社首席研究委員
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/452258.html 訳J.S