原文入力:2010-10-18午前08:47:39(3156字)
OS・機器 による差別のない‘モバイル ブラウザー’世界1位
本社320人 国籍50ヶ所…自律重視‘水平文化’強点
ク・ポングォン記者
←オペラソフトウェア世界支店(※クリックすればさらに大きく見ることができます)
ノルウェー、オスロの本社へ行ってみると
ノルウェーの首都オスロに本社を置く‘オペラソフトウェア’(オペラ)は世界ソフトウェア市場で新たに浮上した強者だ。オペラは韓国では知名度が低いが国際的にはウェブ標準の遵守と速い速度で名が知られたウェブブラウザ専門業者だ。早い時期からモバイル環境に注力してきて、全世界モバイル ウェブブラウザ市場では25%の占有率でマイクロソフト(MS),グーグル、アップルなどに先んじる1位業者だ。この会社のウェブブラウザは個人用コンピュータ(PC)だけでなく、一般携帯電話やスマートフォン、ゲーム機など多様なデジタル機器に入っている。全世界インターネット利用者2億人の内、1億4000万人は一ヶ月に一度以上はオペラの作ったソフトウェアでウェブに接続している。
去る1995年、オペラ設立後 15年間最高経営者の席を務めたこの会社の共同創業者ヨン・フォン・テッツナーはソフトウェア業界の通念を拒否する。本社職員を含めせいぜい700人余りの職員を率いて、MSやグーグルのようなソフトウェア業界の‘巨人’に挑戦している。オペラはモバイル専用ウェブブラウザの‘オペラ モバイル’と‘オペラ ミニ’を作る時に徹底して‘ウェブは一つだ’という原則を守る。利用者がどんな機器、どんなOSを使おうが、同じ利用経験(UX)を提供しなければならないということだ。それでOSや機器により画面とメニューは異なっても、ウェブは差別なしに楽しめるようにしなければならないというのがオペラの製品哲学だ。2008年にはMSがヨーロッパ市場でコンピュータOSのウィンドウとブラウザーのインターネット エクスプローラを束ねて売ることが不公正競争だという嘆願を提起し、昨年ヨーロッパ連合執行委員会がMSの付録付き販売を中断させるようにした経緯がある。
オペラが世界的に注目されるまた別の理由は、特異な組織文化と企業哲学のためだ。開発者の自律性と創造力がソフトウェア会社の核心競争力であることを立証していることだ。オスロ本社で仕事をする320人職員の国籍は何と50余ヶ国だ。北ヨーロッパ企業特有の現象でもあるが、この会社の水平的組織文化と透明性は過剰なほどだ。最高経営者をはじめ すべての職員は出張に行く時、同じように‘エコノミー席の飛行機に乗り三ツ星宿舎’に泊まる。構内食堂の調理士や案内職員をはじめとして全員が正規職であり、事務室の中にはヘルスクラブ・休憩室など便宜施設が備わっている。既婚女性職員が赤ん坊を世話しながら仕事の出来る空間も用意されている。午前10時から午後2時までの‘核心勤務時間’さえ守れば出退勤時刻も自由だ。一日の勤務時間は一日7時間30分だ。
ノルウェー法規により理事会構成員の40%は女性で、男性職員も妻とともに出産休職を分けて使う。会社ホームページでは主要株主が主要人的事項と共に何株をどんな形で持っているか、将来どれだけのストックオプションを行使できるかを詳細に公開している。経営指標に関する資料だけでなく、一般投資家らの取り引き明細も取り引き者の身元を明らかにせずに毎日個別に公開している。どうして50ヶ余りの国籍の320人の職員が一ケ所に勤めることになったのだろうか? 人事担当副社長のトーブ・セルネスは「全世界から私たちの会社で仕事をしたい人を募集しているが、ひたすら能力だけを見て、人種・宗教・年齢などにともなういかなる差別もないためだ」と説明した。彼女は「ノルウェーは小さな国なので一層開放されている」として「多様な国から最高の人材を選ぶために、本社人事チーム8人もインド、イタリア、ブルガリアなど5ヶ国国籍で構成されている」と付け加えた。
構成員の多様性は一層透明で平等な企業文化とお互いの配慮を必要とする。構内食堂には菜食主義者などのためのメニューがあり、職員も宗教や政治など葛藤を産みかねない話は自ら慎む。必要な人材を最後まで面倒をみる点も格別だ。本国に帰るという職員たちのために現地事情を考慮し、新しく地域法人を作ったところも多い。ブルガリア、チェコ、米国、中国の法人がそのようにして作られた。
行き過ぎるほどに水平的で開放的な文化を維持しながら、どんな報奨体系で競争力を維持できるのかが気になった。共同創業者テッツナーは「すべての人々が仕事をしたいと思う会社を作ることが動機付与でありインセンティブ」と話した。彼は「給与など金銭的待遇は動機付与の一部であり、個人的人生と会社業務との均衡など全体的な人生の満足度を重視する」として「お金を入れた時にだけ作動する自動販売機のようなシステムは指向しない」と説明した。
オスロ/ク・ポングォン記者 starry9@hani.co.kr
エコノミー席に乗る創業者 ヨン・フォン・テッツナー
“お金より情熱、自己動機付けが重要”
トイレ前‘開かれた’事務室で執務
←ヨン・フォン・テッツナーヨン・フォン・テッツナー オペラソフトウェア共同創業者は、ノルウェーの平等で水平的な文化が染み付いた開発者出身の企業家だ。去る14日、オスロ市内でテッツナー(写真)とインタビューをした後、オペラ本社に移動することになったが、彼が“狭苦しいが私の車で行こう”と薦めた。彼の車は5年経った三菱の小型車‘コルト’だ(写真)。196㎝の長身であるテッツナーが運転席に座ったのも風変わりな風景だったが、企業の最大株主であり15年間にわたり最高経営者を務めたことを考慮すれば韓国では見慣れない場面だった。
オペラのホームページにはテッツナーがオペラ株式1499万9742株を保有していて、100万株のストックオプションがあり、全量ファンド形態で運営していると公開してある。保有株式価値だけで、韓国通貨で700億ウォン余りに達する金持ちだ。役員や職員の皆が職級に関係なくエコノミー席と三ツ星宿舎を利用することに不満がないのか尋ねた。彼は「北ヨーロッパでは変でも何でもない水平的文化の一部に過ぎず、私が他の国に行けば反対に特異な経験をすることになる」と話した。会社での彼の部屋はトイレの前にあり、たいていドアが開いている。職員の誰でもトイレに行く時、一回ぐらい立ち寄って話を交わせるようにするという意だ。
“競争力のためには金銭と職位を通じた報奨システムが必須ではないか”という度重なる質問に、テッツナーは“金を儲けるためにオペラに来る人には誤った選択だと話したい”として“開発者は誰でも偉大な製品を作ろうと思う、情熱を抱いた人々であり、これらが自ら動機付けできるようにすることが重要だ”と話した。世界18ヶ国から記者たちを招請しメディア行事を行った後、夜遅くまで続いた晩餐でテッツナーの姿が見えず、翌日 オペラの職員に彼が参加していたのかを尋ねた。“テッツナーが‘娘の誕生日なので参加できない’と言って‘申し訳ないと伝えてくれ’と言っていた”という返事が戻ってきた。個人の人生と会社の業務が調和した全体的な人生の満足度を重視する企業を作り経営する人の日常だった。
オスロ/ク・ポングォン記者