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AIは経済成長を促進しているのか…「まだ否定的」

登録:2026-10-01 02:02 修正:2026-10-01 09:09
李在明大統領が6月30日、光州西区の金大中コンベンションセンターで開催される西南圏先端産業発展ビジョン国民報告会に先立ち、SKグループのAI半導体展示などを見学している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 2022年末に「チャットGPT(ChatGPT)3.5」がリリースされて以降、人工知能(AI)は突如として未来ではなく現実となった。人間より賢くなったAIに問いかけ、その答えを聞きながら、人類は一方では新たな時代の到来に歓喜し、もう一方では未来を懸念しはじめている。経済学者を含む楽観主義者たちは、AIは知識労働を代替し、労働生産性を大幅に向上させて経済成長を促進するだろうと主張する。しかし悲観論者は、AIの発展は大量失業を招くかもしれず、不平等を深刻化させて「ディストピア(暗い未来)」をもたらしうると批判する。さらに近ごろは、AIが自ら進化して人間の制御を脱すると巨大なリスクになり得るため、AIの開発ペースを落とすべきだという声も高まっている。果たしてAIは私たちにどのような未来をもたらすのか。それはおそらく、私たちの時代が答えるべき最も難しい問いの一つだろう。本稿ではまず、AIが果たして現在の経済成長にどのような影響を及ぼしているのかを見ていこう。

AI投資主導の経済成長

 生成AIの登場以降、AIは将来的に生産性向上と経済成長を大きく促進するだろうというシナリオがいくつも提示されてきた。果たしてそのようなバラ色の未来がやって来るかは見守るしかないが、まずは現状をみるべきだ。現在、AIは果たして経済成長を促進しているのか。その答えは「イエス・アンド・ノー」だ。

 まず前向きな面は、現在のAI好況が成長率を押し上げているということだ。まず米国をみてみると、2026年第1四半期の年率換算の実質国内総生産(GDP)成長率は2.1%、第2四半期は1.5%だった。だが、米国の最近の経済成長において特に興味深いのは、AI関連の投資が非常に重要になっていることだ。

 2025年9月、ハーバード大学のジェイソン・ファーマン教授は、同年上半期の米国の経済成長の92%がAI関連投資によるものであり、それを除くと成長率は0.1%と非常に低かったと指摘し、大きな注目を集めた。AI以外の部門は停滞したものの、AI投資のおかげで経済が成長したというのだ。これは、当時の米国の実質GDPの増加分のほとんどが、AIにかかわる情報処理設備やソフトウェアへの投資の拡大で説明できるからだ。2026年上半期の米国の経済成長も、ビッグテックのデータセンターを含む企業の投資の拡大がけん引した。同氏のやり方に倣って計算すると、情報機器やソフトウェアへの投資の拡大がGDP増加の69%を占めていたことになる。

 もちろん、そのような投資のすべてがAIと関係しているわけではないだろうし、米国は情報機器の輸入が輸出を上回っているため、それによる貿易収支の赤字が成長に悪影響を及ぼしていることも考慮すべきだ。したがって、AI関連投資が米国の経済成長に現在どれほど大きな影響を及ぼしているかについては論争があるが、最近のJPモルガンなどによる複数の報告は、経済成長に対するAI関連投資の貢献度が高まっており、「約3分の1から50%」にのぼると指摘している。

AI投資の経済成長効果=JPモルガンの資料//ハンギョレ新聞社

 最近の「AIブーム」を背景に半導体産業主導の好況期に入っている韓国経済も同様だ。韓国の第2四半期の実質GDP成長率は前年同期に対して3.7%、名目成長率は前年同期に対して実に26%で、これは半導体輸出が大幅に増加したため。上半期の半導体輸出は前年同期に比べ163%増で、輸出は48%増、そして貿易収支の黒字は約5倍となっている。経済成長全体に対する純輸出の貢献比率は、第1四半期が約47%、第2四半期が約43%にもなる。結局、米国と韓国で見られるように、AI好況は関連する投資と輸出の拡大を通じてGDPを押し上げ、経済成長を促進しうる。

 もちろん、このような成長の促進はAIや半導体のような関連産業の比重が大きい国に限られ、今後AIバブルがはじけたり業況が悪化したりすれば成長に衝撃が及びうるということに注意すべきだ。最近の国際決済銀行(BIS)の報告書でも指摘されているように、AI関連投資は鉄道のような過去の新技術に比べても規模が急速に拡大しているため、その多くが収益を上げにくい過剰投資であるとの見方も出ている。下の図が示すように、ブルッキングス研究所のカンファレンスで発表された最近のある研究は、米国におけるAIインフラ投資の規模は2025年から2032年にかけて年間GDPの3.6%に達し、過去のいかなるインフラ投資よりも大きいと報告している。

年間のAIインフラへの投資規模//ハンギョレ新聞社

 だとすると、今のこの巨大なAI関連投資が今後も持続可能かは疑問だ。エコノミスト誌は最近、オープンAIのようなAIサービス企業の売上と利益は急速に増加しているものの、急増したAI関連投資を正当化できるほどそのスピードは速くないと指摘している。また、前述の研究によると、5大ハイパースケーラー企業は2026年に営業キャッシュフローよりも資本的支出の方がはるかに大きくなり、負債や外部からの投資などによって積極的に資金を調達している。しかしリースを含め、データセンターの重層化し、かつ複雑な金融構造は、テック企業のバランスシートに表れず、相当なリスクも伴っていることが問題だ。歴史を振り返ると、革新的な新技術は長期的には成長につながったが、その過程で常に過剰投資やバブルを伴い、バブルが崩壊すると経済が危機に陥ってもいる。AI投資がけん引する現状においても、そのような景気変動がどれほど深刻に現実のものとなるのか、鋭意注視すべきだろう。

生産性向上効果はどこにあるのか

 しかし、最近のAI関連投資の拡大による経済成長は、AIを称賛する楽観主義者たちが想定する道筋とは異なることを忘れてはならない。しばしば語られる経済成長に関するバラ色の未来は、AIが人間の精神労働を代替し、同じ労働でより多くの生産を実現することで、労働生産性(GDP/労働時間)が大幅に向上するというシナリオだ。特にAIは、GDPの増加分から労働投入と資本投入の増加分を差し引いた、純粋な技術的・組織的生産性を示す「全要素生産性」(TFP:total factor productivity growth)の上昇を促進することが期待されている。実際に顧客サービスやソフトウェア開発など、企業の作業現場で実施されたいくつかの実証研究では、ミクロ的にチャットGPTのような生成AIの使用が労働者の生産性を向上させたと報告されている。

 しかし、果たして近ごろのAI技術の発展は、実際に経済全体の生産性向上を促進しているのだろうか。残念ながら、この問いに対する答えはまだ否定的だ。まず、下のグラフが示すように、米国経済全体のTFPの長期データを分析すると、生成AIが普及した2023年より前と比べて、それ以降TFPの上昇率が上がった様子は見られない。とりわけコロナ禍以降は、稼働率が調整されたTFPの上昇は相対的に低かった。これは、技術革新とは無関係に景気回復によって需要が拡大し、売上が増加したため、結果的に生産性が向上したことを示唆している。

米国のTFP上昇率の変化=サンフランシスコ連邦準備銀行の資料//ハンギョレ新聞社

 今年7月に英国の投資銀行「バークレイズ」が公表した報告書は、AI技術の導入が企業や家庭で徐々に進んでいる一方で、それによる構造的な生産性の向上の証拠は乏しいと指摘する。この研究は、コロナ禍後の一時的なTFPの上昇は稼働率の上昇と大きく関係しており、複数の実証分析を通じて、AI技術にさらされている産業ほど生産性の向上が速いわけではないことを強調している。楽観論者にとっては失望すべき結果かもしれないが、別の諸研究も似たような結論を示している。

 今年7月に発表された米連邦準備制度理事会(FRB)の研究によると、2024年以降、AI関連投資は増加しているものの、全般的に労働生産性の向上は促進されていない。この研究は、特に情報技術や金融のようにAIに多くさらされている産業、ユーティリティーや建設のようなあまりさらされていない産業のいずれにおいても、時間経過に伴う労働生産性のすう勢に特段の変化は見られないと報告している。もちろん筆者たちは、最近は産業によってその差がやや拡大しているため、今後の変化に注目すべきだろうと指摘している。

AIへの露出度が互いに異なる各産業の労働生産性上昇率=Board of Governors of the Federal Reserve System//ハンギョレ新聞社

 結局のところ、AIが個別の職務レベルで生産性向上をもたらしているとしても、現時点ではそれが経済全体の生産性向上につながっているわけではない。FRBはその理由について、ミクロレベルの諸研究は主に職務単位の生産性を測定するが、現実においては調整コストや生産工程上のボトルネックなどのせいで、その効果が企業全体の生産性向上につながらない可能性があると指摘する。かつてはコンピュータのような情報技術も生産性を大きく向上させることが大きく期待されたが、現実においてはその効果は限定的だった。経済成長論の大家であるソロー教授は1987年に、「私たちはコンピュータ時代をどこでも目にすることができるが、生産性統計では見ることができない」と書いている。

 では、AIもそれと似たような道をたどるのだろうか。もちろん、失望するのはまだ早い。多くの研究は、AIが今後大きな成長効果をもたらす可能性があると予測しており、経済学界でも活発に議論されているからだ。次回はAIの経済成長効果について、現在ではなく将来の状況を中心に展望してみよう。

イ・ガングク|立命館大学経済学部教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1280181.html韓国語原文入力:2026-09-30 16:10
訳D.K

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