原文入力:2010-08-13午後03:31:22(3931字)
[最低生計費で1ヶ月] 貧民街貧困リポート
②三仙洞長寿村の暮らし "暖房費 節約しようと足が凍り、病院では切断しろと…"
キム・ソヨン記者、イ・ジョンチャン記者
←ソウル、城北区、三仙洞長寿村のある住民が、去る4日午後 リサイクル品を集めるために村の路地のゴミ回収場周辺を歩いている。長寿村には計150世帯ほどが集まって暮らしているが、老人世帯が55%に及ぶ。 イ・ジョンチャン先任記者 rhee@hani.co.kr
<ハンギョレ>キム・ソヨン記者が参加連帯の‘最低生計費で1ヶ月’キャンペーンに参加し、7月の一ヶ月間 ソウル、城北区、三仙洞の再開発予定地域である‘長寿村’で生活した。先週のキム記者の経験記に続き、今回は実際に長寿村で最低生計費水準の生活費で暮らしている人々のの現実を伝える。
住居所有 90世帯 国公有地 占有
毎年 使用料 290万ウォン‘借金の山’
長寿村の中で64.3%は国家とソウル市、城北区が所有する国公有地だ。長寿村は日帝時代から板張りの粗末な家が建ち始め、韓国戦争後には貧しい人々が集まり無許可で家を建てた。1968年、政府の無許可住宅陽性化措置が出た後、本格的に住民たちが定着した。だが、1994年から国公有地を使う家主たちに土地使用料(弁賞金)が賦課され村の住民たちには大きな負担になっている。
住居環境の改善を要求し村の住民と市民団体らが設けた‘代案開発研究会’の実態調査報告書によれば、長寿村の約90世帯が国公有地を使っていて、世帯当り使用料として年間290万ウォンが賦課されている。だが、こちらに住む住民たちは概して貧しく、弁賞金をきちんと払えずにいる。世帯当り平均滞納額は1600万ウォンであり、総滞納額は何と14億5000万ウォンにもなる。2004年に再開発予定地域に指定された長寿村が仮に‘開発’されても、村の住民たちは補償金で弁賞金を返せば路上に居座らなければならない境遇だ。長寿村は住居環境も劣悪だ。都市カスが入っておらず、冬に石油ボイラーを使うので暖房費が多くかかる上に、20年以上経った‘老朽不良住宅’比率が97%になる。長寿村に住む住民たちは自身の家を持っているかどうかに関わらず大部分がかろうじて暮らしている。
キム・ソヨン記者
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基礎受給・次上位世帯の現実
■基礎生活受給2人世帯、 貧民街に閉じ込められて暮らすコ・マンチョル(79・仮名)氏はからだの半分を動かすことができず、一日中横になって過ごす。脳卒中で倒れ18年にわたり部屋に閉じ込められて過ごしている。貧民街の長寿村は急な階段が多く車椅子があっても外出が難しい。コ氏は外に突き出た小さな窓から日が昇り沈む様子を押し黙って眺めているだけだ。妻のキム・スヨン(70・仮名)氏がコ氏を影のように見守っている。
夫妻は5年前から基礎生活受給者として暮らしている。生計・住居給付として約60万ウォン、コ氏が障害1級なので障害手当16万ウォン、基礎老齢年金14万4000ウォンなど1ヶ月に90万ウォン程を受け取る。今年の2人世帯最低生計費が85万8747ウォンなので、コ氏夫妻が生計・住居給与として約60万ウォンしか受け取れない最も大きな理由は基礎老齢年金のためだ。基礎老齢年金金額と同じ位、給付が削られるので年金を受け取らなくても同じだ。これに医療費や教育費のように国家が間接的に与える恩恵費用まで除いたら60万ウォン程度が手に残る。基礎生活需給 老夫妻
家が古く都市ガス なく
石油・電気 月 数十万ウォン‘爆弾’
基礎老齢年金は受給から除外
コ氏夫妻が10年前に長寿村に居を定めた理由は部屋代が安いからだ。今、暮らしている部屋2間の貸切 1500万ウォンで借りた。ソウルで容易には見つけ難い部屋だ。こちらの部屋代が特別に安い理由は、建物が古くなり地域内バスも通らないばかりか、都市ガスさえ入らない程に後れているためだ。
コ氏夫妻の生活費は1年単位で見てこそ正確な事情が分かる。都市カスが入らないので暖房費など冬にかかる費用が夏より3倍以上多い。キム氏は「冬には石油ボイラーと電気カーペットで耐え忍ばなければならないので、春、夏にお金を貯めておかなければ冬に凍えて死ぬ」と話した。石油1ドラムが20万ウォン程度するが、越冬するのに月に2ドラム程度が要る。冬には月の暖房費(石油+電気代)で50万ウォン程かかるわけだ。
暖房費を意識して石油を節約しようとしたが、大変な目にあった。彼女は「1年6ヶ月前に石油を少し節約しようと部屋をちょっと寒くしたところ、マヒ状態の夫の左足が凍えて病院で切断しなさいと言ったよ」として「夫が足を切るのを望まず今もそのままだ」と苦しんだ。コ氏の左足は今でも石の塊りのように固く黒い。彼ら夫妻が‘暖房費爆弾’から抜け出そうとするには都市ガスが入る所に移らなければならない。だが、1500万ウォンで借家を見つけられず、家賃に回したくとも適当な箱部屋や考試院は月に25~30万ウォンはするので意欲が出ない。キム氏は「岩の間に挟まり微動だにできない境遇と同じだ」と話した。現在の最低生計費に予定された2人世帯住居費14万8104ウォンと光熱・水道費5万7374ウォンはコ氏夫妻にはあまりにも非現実的な金額だ。
この他に彼ら夫妻は毎月の食料品費として30万ウォン、水道料1万~1万3000ウォンがかかり、3~4ヶ月に一回ずつ3万8000ウォンするLPGガスも買わなければならない。介護をする妻キム氏も糖尿に高血圧を病んでいて病院に通う。彼女は「精密検査を受けなければいけないが、金がなくて先送りしている」と言った。コ氏夫妻には700万ウォンの借金がある。「生きてゆくのがあまりに荷が重いです。その上に私がからだの動くうちに おじいさんがあの世に行かなければいけなくて…. 私がいなければあの人は何もできないじゃない。」キム氏の目がしらが濡れた。
次上位階層5任家族
子供3人の教育に少なくとも20万ウォン
突発事態が多くて病院費が大きな負担
教育・医療費 14万ウォン どうにもならない
イ氏の子供は上が小学校5年で、二番目が6才、末っ子が22ヶ月だ。イ氏の子供たちは塾に通っていないが、5人世帯の最低生計費で教育費として策定された7万2472ウォンは‘話にならない’金額だ。
上の子供は毎月の学習誌だけでも6万2000ウォンかかる。二番目の学習誌費用も6万4000ウォンで、子供の家の特技適性費に5万ウォンが出て行く。政府が支援する子供の家費用17万ウォン以外に17万6000ウォンが教育費として‘追加’される状態だ。上の子供の全科や問題集は知っている人から受け継ぎ解決するが、二番目が子供の家で現場学習や遠足に行けば別に金を出す。イ氏は「いくら節約しても月20万ウォンはかかる」として「最低生計費は子供を育ててみたことのない人々が決めるようだ」と話した。
子供を3人育てていれば、突発事態が少なくなく病院費も多くかかる。二番目の子供が喘息に喉頭炎があり、今年だけですでに2回も応急室に運ばれていった。この前、二番目の子供が歯科で虫歯を治療したが、少しどころか50万ウォンもかかった。イ氏は病院費として月平均20万ウォンは出て行くようだといった。だが、最低生計費に予定された5人世帯の保健医療費は7万2472ウォンだ。
家族が多くて食料品費に50万ウォン、交通・通信費に20万ウォン以上かかるが、何よりも住居環境が最も大きい問題だ。イ氏の家族は2500万ウォンの貸切で暮らしている。半地下なので湿気が多い。22ヶ月になる末っ子の健康ために除湿機を動かすのに毎月の電気代が5万7000ウォンもかかる。その上、多子女家族恩恵で1万ウォンの割引を受けたがその程度だ。都市カスが入っておらず3万8000ウォンのLPGガスを2ヶ月に一回入れて、冬には石油ボイラーのために暖房費が30万~40万ウォンずつかかる。金がなく劣悪な家で暮らすと不必要な支出が増える‘悪循環’が続くということだ。
イ氏の家も借金が3000万ウォンだ。1ヶ月の利子だけで20万ウォンかかる。家に一台だけのコンピュータが故障して換えなければならないが、子供たちに‘来月買うから’として偽りの約束を繰り返している。末っ子は1才の誕生写真も撮って上げられなかった。「熱心に働いて、お金も節約して使っているのに、なぜこんなにギリギリで暮らさなければならないのか本当に分かりません。」李氏が長いため息を吐いた。
キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/434864.html 訳J.S