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「借金を返すならこれ以外は」…「高所得のわな」韓国配達労働者の逆説

登録:2026-08-25 02:33
ソウル麻浦区孔徳洞の横断歩道。配達労働者がオートバイに乗ったまま渡り、走り去っていく=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 稼げるから始めたものの、稼ぎがよいせいで辞めるに辞められない。借金を返すために配達プラットフォーム労働に飛び込んだ金融ぜい弱層のことだ。配達単価が下がっているため、より長くより危険に働かなければならないが、職を変えようにも当面の収入が減ってしまうため、仕事を休んで職業訓練を受ける余裕もない。配達プラットフォーム労働者がはまる「高所得のわな」だ。

 23日に韓国雇用情報院が発表した研究報告書によると、深層インタビューの対象となった信用回復委員会による債務調整の30人の経験者のうち7人が配達プラットフォーム労働者だった。研究チームは、様々な年齢層と職業の債務調整経験者を30人選んで深層インタビューを行い、彼らが債務に陥った過程と回復過程を聞いた。特に配達プラットフォーム労働者は、目先の高い収入を追い求めて不安定な労働市場にとどまるという特徴が顕著だった。

 自動車部品メーカーで働いていた34歳のAさんは退職後、飲食店の厨房、携帯電話の販売、クーパンの宅配センターなど、さまざまな職業を転々としているうちに5000万ウォン(約575万円)の借金を抱え、それを返すために配達の仕事に飛び込んだ。交通事故で腰椎ヘルニアになったが、退院してから1カ月半で再びオートバイに乗った。他の職業では配達と同じレベルの収入を得るのが難しいと考えたからだ。Aさんは「これ以外にやることがない。何をすべきか分からない。給料に合わせて金も返さなければならないし」と語った。

 株式投資の失敗と過度な消費で6000万ウォン(約690万円)ほどの借金を抱えた28歳のBさんは、返済のために4年間働いたカメラ販売の仕事を辞めて配達の仕事に飛び込んだ。Bさんは、配達は週40時間労働で税引き後およそ500万ウォン(約57万5000円)稼げるとして、「給与だけをみれば続けたい気持ちはある」としつつも、配達にとどまればとどまるほど正社員になる機会を失う可能性が高まることについては「自分の就ける職がない」と不安を抱いていた。

 報告書は、配達単価の下落により労働条件が次第に厳しくなっている現実も記している。配達業に従事して8年になる38歳の男性Cさんは、一日20万ウォン(約23万円)を基準に設定し、それを達成するために12時間以上働いているという。Cさんは、クーパンイーツと配達の民族の無料配達競争によって配達単価が大幅に下がったとして、以前と同じ収入を維持するためには「人間ではないレベルで働かなければならない。信号無視などの危険を冒さざるを得ない」と語った。

 稼ぎは減り、労働は強化されているにもかかわらず、配達の仕事から抜け出すのは容易ではない。他の仕事よりも高額な目の前の所得と職業訓練を受けることの難しさのせいだ。研究に参加したある債務相談士は、「転職したくて来たのに、配達を10日間やればこれだけ稼げるわけで、実際に別の職に就こうとすると就ける仕事があまりない」という配達労働者の証言を語っている。学習塾の講師を辞めて配達の仕事に飛び込んだ53歳の男性は、大工の職業訓練を受けたかったものの、訓練期間で6カ月間収入が無くなってしまうと生計が立ち行かないので諦めたという。

 報告書も、単なる転職斡旋や訓練手当だけでは彼らを配達労働から抜け出させるのは難しいとしている。報告書を作成した韓国雇用情報院のチョン・ヨンソク研究委員はハンギョレに、「配達は数件だけでも訓練手当より稼げるため、参加者はプログラムに参加してもすぐに来なくなってしまう。短くて柔軟な職業訓練を導入するとともに、正社員になれた事例を活用した集団相談など、プラットフォーム労働者の特性に合わせた支援が必要だ」と語った。

アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1274249.html韓国語原文入力:2026-08-24 05:00
訳D.K