世界最大のファウンドリ(半導体受託生産)企業である台湾のTSMCは、1.6ナノ級のA16プロセス技術の開発と検証を完了し、今年第4四半期に量産に入るという。
台湾の自由時報は20日、業界の消息筋の話を引用し、TSMCがA16プロセスの開発・検証に成功し、「スーパーパワーレール(SPR)」という裏面電源供給技術が用いられていると報じた。TSMCは今年下半期にA16の量産準備を完了する計画であることを公式に発表した。
従来の半導体は信号と電力の配線をすべてウェハーの表に配置しているが、プロセスが微細になるほど配線が混雑し、電力の損失が大きくなることが知られている。A16は電力供給網をウェハーの裏に移し、表には信号配線のためのスペースを確保。TSMCはこれによってデータ移動のボトルネックを緩和し、電力効率を向上させた。
TSMCは、A16は2ナノ改良型半導体に比べ、同じ電力で処理速度が8~10%速いと説明している。電力消費が大きい人工知能(AI)アクセラレータや高性能コンピューティング(HPC)用の半導体に特に適しているとされる。A16は、TSMCが2028年の量産を目標に開発中の1.4ナノ級A14への移行を橋渡しする製品になる見通し。
0.1ナノ級の次世代微細プロセスをめぐる競争は激しい。インテルは1.8ナノプロセスの開発と検証を終え、昨年から本格的な生産を開始しており、1.4ナノプロセスを開発中だ。サムスン電子も、裏面電源供給技術を用いた1.4ナノプロセスを2027年から量産する計画だ。